傍観していたい受付嬢

湖里

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探すのはモノ?ヒト?

魔王様の復活を

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ユユ視点


「……?」
ふと、シェルの魔力がエクスリュート神国から消えていくのを感じた。
おとなしく仮屋でシェルの帰りを待っていたのだが、何かあったのだろうか?

そんな心配事を胸に抱いたユユは両手を胸の前で強く握った。
「最近、魔力も何か……変だし、さ。……ワーリド、いるんでしょ?でてきてよぉ。」
誰もいない部屋の中のはずなのに、微かに香るのは懐かしい思い出。ここ最近は嗅いでいない、古い記憶。
きっと、ユユは弄ばれてるんだ、ワーリドに。
今もクスクスと遊んでいるかのような声が耳元でしている気がする。グルリと部屋を見回した。

目に入ったのは、外に出るための扉だった。
______ユユは危ないし、私にもし何かあった時のためにここに居てね。
ふと、シェルから言われた言葉を思い出す。しかし、ワーリドは近くにいる。
近くでユユを誘い出そうとしている。ユユをシェル達のいる場所から切り離そうとしている。
「シェルとも一緒にいたい……、でも、ワーリド達とも会いたい。」

それにユユ達、四天王には敬愛するべき魔王様がいる。出来るのならば、魔王様の近くでその身をお守りしたい。

魔族の本能とも言える強い思い。それが、ユユの足を玄関へと向けた。しかし、動くことはない。
「シェル……待っててって、言ってたよね。」


「相変わらず、あなたの周りには選択肢が多いですねぇ?ユユ」
フワリ、と頬を風がなでて後ろから声がした。
「わー………りど?」
黒髪に痩せた体。漆黒の瞳は楽しそうにユラユラと揺れているかのようだ。
「僕はワーリドであり、ワーリドではない存在。……久しぶりと言うべきか、はじめましてと言うべきか、僕も悩んでるんだよねぇ。」

んふふ、なんて軽い笑いを含めた彼はユユに手を差し伸べた。



「魔王様が僕達を待っておられるよ?一緒に帰らないかい?」
「か、える?」
魔王様は今はまだ、眠っている状態でしょう?
乾いた口を開こうとする前に1つの仮設が思い浮かんだ。

肉体は眠っていても、意識は起きている……?
若しくは、誰か他の人物によって意識のみ起こされた?
「魔王様の身体は、まだ眠っている……はず。」
それは、魔力探知の苦手なゆゆにでも分かることであった。しかし、眠っている意識を確認するすべはない。起きているのかはわからない。

「僕らの魔王様の、後継者だよ。ユユ……、僕はとても感動しているんだ。」
「ずっと探してたんだ。今度こそ、完璧を!魔王様の復活を!……人間共に復習なんて考えてないけど、魔王様がいないこの世界には意味がないよね。」
幸せそうに頬を染めた彼、その目の下には大きな隈が残っている。

「ずっと、ずっと生きてきたけれどもこれ以上の言葉に表せない感情はないよ。」
フワリと、しかし冷たく彼はユユに向かって微笑んだ。

























______こんなにも胸がときめくなんて、いつぶりなんだろう?
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