社畜冒険者の異世界変態記

ぐうたら怪人Z

文字の大きさ
上 下
97 / 119
第二十九話 ジャン・フェルグソンの不幸な一日

①! お昼までのお話

しおりを挟む
■朝



 朝――と呼ぶにはもう日は大分上ったか。
 そんな頃合いに、一人の青年がウィンガストの道を歩いていた。

「ふ、ふっふっふっふっふ」

 口には不敵な笑み。
 そのにやけ顔が不審さを招き、道行く人々に怪訝な顔をされいてるのだが――本人は気付いていない。

「やるぜ――俺はやるぜ――!」

 握りこぶしを作りながら、独りごとを呟く。
 不審さがさらに上がり、他の歩行者から距離を置かれているのだが、お構いなしだ。

(やってやる、この精力回復ポーションで!
 一日中、セックス三昧してやるぜ!!)

 流石にこの部分は声に出さない。
 その程度の分別はついている。
 ……振舞だけでなく、中身まで不審な男であった。

(待ってろよ、イルマ!!)

 心の中で最近付き合いを始めた少女の名を叫ぶ。

 イルマは、青年が寝泊まりしている宿屋『蒼の鱗亭』の一人娘だ。
 栗色のおさげが可愛らしい、まだ幼い容貌の女の子だ――いや実際、青年よりも大分年下ではあるのだが。
 ただその外見に反し、胸はかなりのボリュームだったりする。
 その上、形も整っており、若さゆえにハリも抜群――

(――だと、思う)

 というのは、青年の妄想であるが。
 実はこの男、まだその少女といたして・・・・いないのだ。
 健全な交友を続けているのである。

(……だが、それも昨日までだ!
 順調に距離詰まってきてる気がするし!
 今日こそは!!)

 特に確証は無いが、彼には自信が溢れていた。

(あのおっぱいを自由にできるってんだから――
 へ、へへ、滾るぜっ!!)

 つまるところ、この青年は、そのイルマという少女とセックスする気満々なのだった。
 それはもう、精力を回復させるというポーションを何本も懐に忍ばせている程に。
 この日のため、せっせと金を溜めていたというのだから、彼の情熱が推し量れるというものだ。

 これから起こることに心を弾ませながら、青年は恋人の待つ宿へと歩を進める。
 ――彼の名は、ジャン・フェルグソンと言った。






「え、今日は無理?」

 そしてジャンの企みはあっさり頓挫する。
 デートの申し出を断られてしまったのだ。

『は、はい、今日は――そ、の――体調が、悪くて――』

「そうか……」

 がっくりと肩を落とす。
 どうも彼女、風邪を引いてしまったらしい。

 ここは、宿の2階にあるイルマの自室前。
 風邪をうつしてはまずいと、彼女は部屋の中から出てこない。
 ジャンは廊下に立ったまま、扉越しに少女と話をしていた。

『ご、ごめん、なさ、い――ん、あっ――埋め合わせは、します、から――あふっ――』

 相当無理をしているのだろう、イルマの声を所々途切れがちだった。

「いいって、気にすんな!
 そんなことより、今日はしっかり休むんだぞ?」

『は、はい―――――あぅっ!?』

「ん? どうした、イルマ?」

『い、いえ、なんでも――あっ、そこ、ダメっ――なんでも、無い、です』

「そうか?
 それならいいんだけど」

 本格的に調子が悪いようだ。
 余り長話するわけにもいかないだろう。
 ジャンは早々にその場を立ち去ることにする。

「長居するのもなんだな、ちょっと外出してくるよ。
 ちゃんと布団にくるまって寝てるんだぞ」

『は、い――今、ちゃんと、くるまられて・・・・・・・・ます・・

 ちゃんとベッドで寝ているようだ。

「寒くしないようにな。
 暖かくしてろよ?」

『え、ええ、すごく、温かくて――――あ、熱いの、擦りつけられ、て――!
 ――――あ、だめ、クロ――――そこ、違うとこ―――――!』

 どうやら、きちんと暖かくもしているらしい。

「なにか、入用なもんあるか?
 買ってくるけど」

『い、いいえ――――お、おお、お――入って、きちゃって、ま、す――――い、要らない、です。
 もう、私――コレ・・だけ、で――十分――んんんっ――』

 今の状況に不備はない模様。
 これなら、そう心配することもないだろう。

「そうか。
 じゃ、俺、そろそろ行くわ」

『んっ――おっ、おおぉお、おおっ――い、いって、らっしゃい。
 ―――――私、も――――すぐ、イき、そうっ――――』

「ああ、またな」

 最後に一言挨拶を口にしてから、ジャンは扉の前を後にする。



 彼が、宿の階段を降りるのと。

『おおっ! おぉおおおおっ!!
 すご、すごひぃいいいいいっ!!
 お尻でイクっ!! イきますぅううううううっ!!!』

 ……少女のけたたましい喘ぎ声が廊下に響き渡るのは、同時であった。






■昼



「――さて。
 宿を出たはいいが、これからどうすっか」

 当然ではあるが、今日は他の予定を入れていない。
 とはいえ、ジャンはこの街に来てもう長い。
 時間の潰し方なんて幾らでも思いつきはするのだが――

(な、なんか――おさまりがつかないんだよな――)

 ハッキリ言えば、ジャンは欲求不満だった。
 イルマとの初体験を迎える準備を万端整えていたところへ、お預けを食らったのだ。
 健全な青年である彼が性欲を持て余したからと言って、誰が責められよう。

(問題は……)

 このムラムラをどう解消すべきか、だ。
 そういうお店・・・・・・へ行くのも手だが、仮にもジャンは恋人を持つ身。
 他の女性と関係を持つというのは、少々抵抗がある。
 浮気は良くない。

 となれば――

(――よし、ヒナタに会いに行こう)

 ジャンは即決した。
 室坂陽葵とは、イルマと付き合いだすまで彼が想いを寄せていた超美少女だ。
 上手いこと押し倒して関係を持ったこともある。

(アレは最高だった……)

 思い出すだけで、股間が反応してしまう。
 陽葵ほどの美少女と体を交えるなど――いや、知り合いになることすら、まずありえないことだろう。
 一国のお姫様だって、あそこまでの美貌を持っているかどうか怪しい位なのだ。

 そして、ここが重要なところなのだが。
 なんと陽葵は、生物学的には『男』に分類されるのだ。
 つまり、

(ヒナタとセックスしても、浮気にはならない!!)

 いや流石にそれはどうだろう?
 ……と、ツッコミを入れる者はここに居ない。

 ジャンは浮かんだ名案に心を弾ませながら、道を歩いていく。
 行く先は、陽葵の家だ。

(ここ最近、ヒナタの奴なんか忙しいみたいであんまし会えなかったけど……)

 直接自宅へ行ってしまえば、流石に会えるだろう。
 仮に留守だったとしても、待っていれば帰ってくるはず。

「うし、待ってろよ!」

 気合いを入れ、強く足を踏み出した。






 歩くこと、しばし。
 ジャンは目的地に到着した。
 ここは室坂陽葵の住む家の前――ではなく。

「いらっしゃいませー!」

「あ、ども」

 自分に声をかけてきたウェイトレス・・・・・・に、軽く挨拶をするジャン。
 そう、ここは陽葵の自宅などではなく、少し前から通いだした酒場兼食堂。
 その名も、『黒の焔亭』である。

(あっるぇー、おかしいなぁ?)

 実にワザとらしい。
 ジャンは、上機嫌に鼻歌などしつつ、ホールの角――余り人目につかない・・・・・・・・・席へと座った。
 彼がここに来た目的は一つ。

(いやぁ、ヒナタと会う前の景気づけに、ね?)

 実はこの店、余り大っぴらになってはいないものの……ウェイトレスに、イタズラし放題なのである。
 追加料金を払うような、“特別サービス”というわけではない。
 ただ、この店のウェイトレスは、ナニ・・をしてもされるがままなのだ。
 しかも働いている娘は美人・美少女揃い。

 そのことに気付いてからというもの、ジャンは何度もここへ足を運んでいる。
 今日もまた、綺麗なウェイトレスにアレコレしてしまおうという算段だ。

 ……浮気は駄目とかいう台詞はいったい何だったのか。

(いやほら、本番とかしなけりゃ大丈夫だよ!)

 定義の狭い浮気もあったものである。

(まあそんな細かいことは置いといて!)

 ジャンは店内を見渡す。

(……この前の女の子はまたいないみたいだなぁ)

 初めて黒の焔亭へ訪れた時に見たウェイトレス。
 快活な笑顔の可愛い娘で、この店一番の美少女とジャンは見立てている。
 残念ながら、最初に会った時以来一度も姿を見ていないのだが。

(やっぱもう辞めちゃったのかな?
 だとしたら残念だ。
 もっと早くこの店のことを知ってれば……)

 軽く肩を竦める。
 しかし過ぎたことを嘆いても仕方ない。
 今ここにいるウェイトレスさんで楽しまなければ。

「はい、お水だよ。
 注文は決まったかな?」

「ああ、はい。
 料理は―――――と?」

 物思いの最中、席へ水を届けに来てくれた店員へ、慌てて対応するジャンなのだが。
 そのウェイトレスの顔を見て、固まってしまった。

「――――み、ミーシャ、さん?」

「あれ、誰かと思えばジャン君。
 君、このお店に来てたんだ」

 銀色の髪を短く揃えた、白い肌の小柄な女性。
 他の店員も着用している、エプロンとミニスカートが特徴的な制服姿がとても愛らしい。
 一見して幼い少女にも見える彼女だが、外見相応の年齢でないことをジャンは知っていた。
 実際、顔つきは可愛いというより綺麗に整っているし、物腰も落ち着いている。

 だが、目の前の女性の年齢が分かったのは、何もそういうところを目敏く察したからではない。
 単に顔見知りだったからだ。
 その店員はジャンにとって先輩にあたる女冒険者、ミーシャだったのである。
 直接の知り合いというわけではないのだが、ジャンによく絡んでくるサンという口煩い冒険者を介して、何度か顔を会わせたことがあった。
 何でそんな口煩い馬鹿とつるんでいるのか不思議になる程、面倒見の良い女性だ。

「ミーシャさんこそ、いつからここで働いてたんですか?」

「つい最近だよ。
 サンやアーニーが、しばらく探索は休むなんて言い出すから、その間の資金稼ぎにね。
 結構、バイト代いいんだよ、ここ」

「へー」

 言われてみれば、ここのところよく街でサンに出くわすような気がする。

(迷宮に潜るのさぼってやがったのか。
 高ランク冒険者のくせに)

 ランクが高いからこそ、しばらく<次元迷宮>へ行かなくても十分暮らせる元手があるのかもしれないが。
 その辺をよくよく考えると、まだEランクである自分が惨めに思えてくるので、そこで思考を止める。

「で、最初に戻るけど注文は?」

「あ、はい、すぐ決めますんで、ちょっと待って下さい」

 促されて、メニューに目を落とすジャン。

(―――――待てよ?)

 そこで、頭に疑問がよぎる。

(この店で働いてるってことは、まさかミーシャさんも――)

 手を出すことができるのか?
 他のウェイトレスと同じように?

(いやいや、でもミーシャさんだぞ。
 仮にもBランクにまで上り詰めた冒険者が、こんなところで――)

 頭を振って、浮かんできた考えを否定する。
 本当に、ただ高いバイト料に釣られてこの店に勤めているだけの可能性だってあるのだ。
 しかし、

(……いや、でもミーシャさん、サン相手にも結構優しく接してるしな。
 案外、男を選ばないタイプなのかも)

 失礼な想像までしてしまう。
 そうこう考えている内に、

「まだ決まらないかな?
 じゃあ、もう少し経ってからまた来るよ」

「い、いや、もう決めます!
 決まりましたから!」

 席を離れようとするミーシャを慌てて引き留める。
 次に注文を取りに来るウェイトレスが、彼女とは限らないのだ。
 “ナニか”をするなら、今決めた方が良い。

(ええい、ままよ――!)

 ジャンは腹を決めた。

(もし違ってても全力で謝れば許してくれるだろ――!!)

 やや後ろ向きな覚悟の決め方ではあったが。

「あの、ちょっとメニューで聞きたいことあるんですけど」

 メニュー表を片手に、質問する体でミーシャへと近づく。

「うん、なにかな?」

 無警戒に接近を許す彼女。
 こちらの意図をしらないのだから、当然と言えば当然だが。

「このAランチなんですけどね――」

 台詞の途中ですっと、手を伸ばし。
 ミーシャのお尻を触る。
 軽く、しかし偶然とは言い訳の利かない仕草で。

「――!」

 彼女の顔が一瞬強張った。

(ど、どうだ――!?)

 ここで拒まれたら目論見は外れたことになる。
 第3者から見れば数秒にも満たない、しかしジャンからすれば永遠に続くように感じられる空白時間の後――

「――う、うん、Aランチがどうしたの?」

 ミーシャは、尻を触られているにも・・・・・・・・・・かかわらず・・・・・、普通に応対を始めた。
 気付いていない――なんてことは、ありえない。
 高レベルの冒険者が、ジャンの行動を察知できないはずがないからだ。

(ビンゴーーーー!!)

 内心で喜びの声を上げる。
 彼は賭けに勝った。
 ミーシャもまた、男にどう弄られれても構わない――いや、男にその肢体を弄られたい欲求を持つ女だったのだ。

「はい、Aランチなんですけど、コレ、おかずの一部をBランチと交換できます?」

「それは――――あっ」

 銀髪のウェイトレスがピクッと震える。
 ジャンが彼女の尻をスカート越しに揉みだしたからだ。

(……ちょっと、固い、かな?)

 外見の通り、そこまで尻に肉は付いていないらしい。
 他のウェイトレスに比べて、ミーシャの肉はやや柔らかさに欠けていた。

(でも、その分ハリというか、揉み応えはあるな)

 ぐにぐにと、小柄の女性の尻を揉み続けるジャン。
 手に返ってくる感触が実に心地よい。

「ん、ん――はぅ――」

 軽く吐息を履くミーシャ。
 ジャンの手を振り払うでもなく、なすがままだ。

「ねえ、ミーシャさん」

「な、何――?」

「なにじゃなくてですね。
 どうなんすか、コレできます?」

「ええっと、僕じゃよく分からないから店長に―――あっ!」

 紛うこと無き艶声が、ミーシャから漏れる。
 ジャンの手がスカートの中へ入り込み、直接彼女の素肌を触り出したからだろう。

(うおおお、すっげぇスベスベしてるっ!!)

 きめ細やかな肌の触感に、彼の股間もむくむくと反応してくる。
 何よりも――

「は、んっ!――あっ――んぅっ!」

 ――日頃見知った女性の普段は見せない艶姿が、至極官能的だった。

「どうしたんです、ミーシャさん。
 さっきから様子おかしいっすよ」

「そ、それは、君が――」

「俺?
 俺がどうかしました?」

 言いながら、彼女の股間をショーツの上から擦る。
 “そこ”は既にじんわりと濡れていた。

「あっ――うぅぅぅ」

 身悶えするミーシャ。
 その様が、ジャンの嗜虐心を強く刺激する。

「ほら、教えて下さいよ!
 AランチのおかずとBランチのおかず、股間できるのかどうか!」

 股間の割れ目・・・に沿って、指を強く前後させる。

「あ、ああっ!
 そ、そこっ! あぁあああああっ!!」

 びくっと彼女の身体が震えた。
 股間を擦る指先に熱さを感じる。
 愛液がさらに漏れ始め、下着を濡らしているのだ。

「へへ、ミーシャさんがこんなエッチな人だったなんてね。
 俺の指が、そんな気持ちいいんですか?」

「い、言わないで――あ、あ、あ、あ、あっ」

 股を撫でまわしてやると、面白いように反応するミーシャ。
 幼い容貌の彼女が喘がせる行為には背徳感もあり、それがジャンの興奮を加速させた。

(―――ん?)

 指先に感じる違和感。
 固い、小さな突起物を触った感触。
 ショーツの下に、“何か”ある。

(―――クリトリスか!)

 正体を察し、ジャンはにんまりと笑う。
 それは大きくなった陰核に違いなかった。
 彼は迷わず、その突起を抓んだ。

「――あぅっ!!?」

 これまでよりも大きく身を揺らすミーシャ。
 気を良くしたジャンはクリトリスを抓んだまま、その指先をぐにぐにと動かす。

「あっ! あっ! あっ! あっ!」

 銀髪のウェイトレスは堪らず身悶えする。
 恍惚とした顔で、瞳を閉じてただ喘ぐ。
 ジャンの責めに感じ入っているようだ。

(どうだっ! このっ!)

 指の力をさらに強める。
 手を動かせばぴちゃぴちゃと小さく音が立つほど、ショーツには愛液がしみ込んでいた。
 そして、

「はぁああああああああっ――――」

 大きく息を吐ぎながら、ミーシャは小刻みに震えた。
 彼女の身体から力が抜けていき、ジャンへとしなだれかかってくる。
 ちょうど、彼の肩に彼女の頭がのっかるような形だ。

(うおっ!)

 間近で見るミーシャの顔に、今更ながらドギマギしてしまう。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 熱い吐息がジャンの顔にかかる。
 頬を紅潮させた彼女の表情に、彼は躊躇を無くし。

「……ミーシャさん」

「あ、ジャンく―――――んぅっ」

 ミーシャの唇を奪う。
 小柄な少女とのキスは、仄かに甘く、柔らかかった。

「ん、んんっ――んちゅっ――れろれろっ――んぅううっ」

 互いの舌が絡み合う。

(あー、ミーシャさんの舌、すごく滑らかで気持ちいいなぁ。
 それに――へへ、なんだよ、やっぱやる気まんまんなんじゃないか。
 こんな積極的にベロ絡ませてくるだなんて)

 そんなことを思いながら、口づけの感触に酔いしれるジャン。
 2人はそのまま数十秒にわたって唇を重ね続けた。

「ん、ん、ん、ん―――んはぁ」

 ミーシャの顔が離れる。
 名残惜しいが、ずっとこうしているわけにもいかない。
 ここはただの・・・食堂なのだから。

「じゃ、じゃあ、おかずを交換したAランチ、で、いいんだね?」

「はい。
 よろしくっす」

「わ、分かった」

 もじもじとした仕草で顔を赤らめながら――それがまたジャンの欲情を掻き立てるのだが――ミーシャは注文を厨房へ伝えに行った。

(――はー、良かったー)

 その後ろ姿を見ながら、ジャンはつい顔をにやけてしまう。

 やはりこの店は凄い。
 これからも通って行こう。
 そう決心する。

(ま、今日はこの後メインディッシュヒナタが残ってるからな。
 ミーシャさんとはまた今度だ)

 食事をしたらすぐに陽葵の家へ行こう。
 そう考えていた――この時はまだ。




 ―――――――――――――――――――




 厨房での会話

「おいミーシャ!
 お前、変な注文とってくんじゃねぇよ!
 なんだよ、おかず交換って!
 セットにした意味ねぇじゃねぇかっ!」

「わ、悪かったよ、店長。
 なんというか、勢いに流されちゃって……」

「勢いに流された、だぁ?
 ――はっ、流されたのは快楽にだろうが!
 ココをこんなに濡らしてきやがって!」

「あぅっ!?
 ちょ、ちょっと、いきなり変なとこ触らないで――んぁああああっ!!?」

「まんこをこんだけびちょびちょにしちまってよぉ!
 あんっ!? その“客”にナニやられてたんだぁ!?」

「うっあっあっあっ!?
 お尻、触られたり、とかっ――あぅっ――キス、されたり、とかっ――んんぅっ!
 で、でも挿れられたりはされてないから!!」

「――なんだとっ!!?」

「ひゃうっ!!?
 つ、強いっ!! そこ、そんなに強くしないでぇっ!!」

「てめぇっ!! 肉便器の分際でハメられてねぇとはどういう了見だ!!
 男に求められたら自分から股開けよっ!!」

「あっあっあっあっあっ!!
 そ、そんな、僕は――――あぁああああああっ!!」

「まだお前は自分が“人間”だと思ってるみてぇだな!!
 肉便器としての自覚がねぇっ!!」

「あぅっ! あぅっ! あぅっ! あぅっ! おぅっ!」

「いいかっ!
 その客が帰る前に抱かれて来い!!
 てめぇのまんこをそいつの精液で満タンにしてもらえっ!!」

「おひぃいいいいいいいっ!!!」




 ―――――――――――――――――――




 場面はホールに戻る。

「……お待たせ」

「おっ、待ってました――――って?」

 ミーシャが料理を運んできた、のだが。
 ジャンは彼女の表情を見て怪訝な顔をする。

(め、滅茶苦茶エロいんですけどー!?)

 ミーシャの顔は今、はっきりと紅潮し、その呼吸も悩まし気。
 一見して“発情している”ことが分かる様子だったのだ。

「……はい、これ。
 おかず交換したAランチ」

「ど、どうも」

 とろんとした目に見つめられ、心拍が上がってしまう。
 彼女はテーブルの上に持ってきたランチを置くと――

「おわぁっ!?」

 悲鳴が上がった。
 ジャンのものだ。

「な、何するんですか、ミーシャさん!」

 “悲鳴の原因”に問いかける。
 配膳を済ますや否や、ミーシャがジャンの腰にしがみ付いてきたのだ。
 彼女はそのまま、ズボンを脱がしにかかってくる。

「え、えぇえええっ」

 余りのことに、ジャンの頭は付いていけなかった
 いったい何が起きたと言うのか。

 戸惑っている間に、彼の股間は開けられ。

「はぁぁぁぁ――ちんぽぉ――」

 ミーシャはうっとりとした瞳で目の前のモノ――ジャンのイチモツを見つめた。

「あ、あのですね、ミーシャ、さん?」

「――――はむっ」

「のぉっ!?」

 問いかけには何も答えず、彼女は男根にしゃぶりついてきた。
 途端に股間が暖かくこそばゆい感触に包まれる。

「んっんっんっんっ――ぴちゅっ――んむ、んむむぅ――」

 まだ勃起していない、小さいままなジャンの“ムスコ”が、女性の口の中で転がさせる。
 亀頭を吸われ、竿を舐められ、袋にはミーシャの唾液が垂れた。

(お、おお、おおおお!
 気持ち良すぎるだろぉっ!?)

 フェラの快感にむくむくと肉棒は固さと大きさを増していく。

「ぺろ、ぺろぺろっ――んむ、んむ、んむ、んむ――」

 温かく、どこか繊細な刺激は股間中に広がり。
 自分でも驚くほど早く、ジャンのイチモツは雄々しく反り返りだす。

「れろっ――んぅうううっ――んはっ」

 ミーシャの頭がジャンの股間から離れる。
 彼女の口の中から引き抜かれたイチモツは、見事に勃起を完了させていた。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

 そんな肉棒に、愛おしそうな視線を送る先輩冒険者。
 ここまで来れば、如何に鈍いジャンでも彼女の目的は理解していた。

「ミーシャさん。
 俺のちんこ、欲しいんですか」

「……うん」

 ドストレートな質問に、ゆっくりと、しかし躊躇いなくミーシャは頷く。

(マジか!
 ここまでスケベだったのかよ、ミーシャさん!)

 ジャンの中にあった彼女のイメージが、木端微塵に吹き飛ぶ。
 幼い容姿をした面倒見のいいお姉さんな先輩は実のところ、チンコ大好きな雌犬だったわけだ。

(いいけどな! それでも!!)

 別に幻滅などしない。
 寧ろ、降ってきたこの幸運にジャンは歓喜した。
 ……彼の中で、『浮気は駄目』という意識はとっくの昔に消え去っていた。

「じゃあ、ミーシャさ――――いや、ミーシャ。
 俺の上に跨れよ」

「は、はい」

 調子に乗ってタメ口を使うも、彼女は気にした様子が無い。
 命令に対して素直に従い、ジャンの太ももの上に腰を下ろしてきた。
 可愛らしいウェイトレス制服を着た女性が、対面座位のような姿勢で彼に密着する。

(お、軽い)

 見た目通りなミーシャの重さが、なんとなく感慨深かった。

 そもそもからして、知り合いの、身目麗しい女性とこれからセックスできるのだ。
 それも白昼堂々、他の客もいるこんな食堂の一角で。
 えも知れぬ感動が、彼の中に渦巻いていた。

「よし、じゃあ腰浮かして俺のちんこ挿れろよ。
 できるだろ?」

「……わかった」

 ミーシャは言われるがまま。
 彼女の肢体が男根の真上にくるよう動き、そして――

「――ああっ! はぁあああああああああっ――――」

 ゆっくりと腰が下ろされる。

(ぬぉおおおおおっ!!)

 嬉しさのあまり、心の中で叫ぶジャン。
 彼の男性器が、少しずつミーシャの中に納まっていった。
 彼女の膣内は熱く、膣壁は男根に絡みついてくる。

「あ、あ、あ、あ、あ――――んふぅっ」

 ……全て挿入した。
 ジャンの愚息は、頂上から根本まで、膣に覆われたのだ。

(うわぁあああああ、すっげぇ暖けぇ――熱いくらいだ!)

 胸中で感激する。
 しかし気持ち良いのは彼だけではないようで、

「あはぁ――すごいぃ――」

 夢見心地のような調子で呟くミーシャ。
 流石に女性器までは外見通りといかず、十分成熟しているらしい。
 男性器を丸々全部突っ込まれていても、苦しげな様子はない。

(あー、辛抱堪らん!)

 股間から伝わってくる極上の快楽に、ジャンは思わずミーシャの腰を掴む。
 そのまま力任せに、彼女の肢体を上下へ揺さぶった。
 膣が上がり降りし、彼のイチモツを扱きあげる。

「――あっ!!
 あっあっあっあっあっあっ!!
 あぁあああああっ!!」

 強烈なピストン運動に、ミーシャの口から甘い声。
 気持ち良さそうに顔を歪ませている。

(喘がせてる!!
 俺のちんこで、ミーシャさんを喘がせてるぞ!!)

 普段の彼女を知っているからこそ、今のあられもない姿により興奮してしまう。
 幼女とすら言っていい外見の女性を犯す禁忌さもそれを助長する。
 それと同時に沸き上がったのは――

(どうだ、サン!!
 お前の恋人、今、俺の上でよがってんぞ!!
 俺のちんこ突っ込まれて、悦んでんだぞ!!)

 ――いけすかない先輩から女を寝取ったことに対する、優越感だった。

「あひっ! あんっ! あんっ! あんっ! あぅうっ!!」

 ジャンの考えを知ってか知らずか、ミーシャは嬌声を上げ続けた。
 ただ彼に動かされるだけでなく、自らも腰をくねらせている。
 その動きによって膣肉がうねり、ジャンへさらなる快感を与えていた。

「おほっ!
 すっごいテク持ってんな、ミーシャ!
 どこで覚えたんだよ、こんなの!」

「あぁあああああんっ!!
 はぅっ! あっああっああっあああっ!!」

 尋ねてみるも、彼女は艶声を奏でるだけ。
 答えを期待していたわけではないので、別に不快な気分は無い。

(しかし、とんだ好きものだな、この人も。
 そりゃ、サンみたいな奴とも付き合うわけだ)

 快楽に耽るミーシャを見て、そう納得する。

(と、そうだ。
 せっかくだし――)

 腕を彼女の胸元に伸ばす。
 その手で制服を掴み、胸が露出するように服をずり下ろした。

(おおっ!)

 目の前に、ミーシャのおっぱいが姿を現す。
 なだらかな白い丘の上に、ピンク色の乳首。
 “行為”によるものだろう、その素肌はほんのりと汗ばんでいる。
 大きさはかなり控えめだが、雄の目を惹きつける美しさがあった。

(それに、ヒナタに比べれば大きいしな!)

 男と胸の大きさを比べられていると知れば、ミーシャとて心穏やかでいられないだろう。

「あんっあんっあんっあんっ! あぅううううううっ!!」

 もっとも、仮に今の彼女へそれを伝えたとしても、それどころではないのだが。
 だらしなく口を開けて、ミーシャはジャンの肉棒を味わっていた。
 自分の胸が露わになったことも、気付いているのかいないのか。

「じゃ、いただきまーす」

 そんな台詞を口にしてから、ジャンは目前の胸へと吸い付いた。

「はぁあああああんっ!?」

 喘ぎの調子が変わる。
 乳首に吸い付かれた刺激によるものか。

(すべすべの肌に、コリコリした乳首……いいなぁ、これは)

 胸全体を舌で舐めていき、先端を口先で咥える。
 舌で感じられるミーシャの汗、肉の柔らかさがジャンを楽しませた。

「は、あっ――あっあっあっあっあっああぁああんっ!!」

「うぉおっ!?」

 彼の行動に釣られてか、女性はさらに激しく腰を動かしだす。
 イチモツが強く絞られ、扱かれ、快感のボルテージが一気に上昇した。

(や、やべっ!
 もう、出そう!!)

 あっという間に絶頂間近にまで導かれる。
 それ程、ミーシャの膣は的確にジャンの肉棒を搾っているのだ。

「み、ミーシャっ!!
 射精っ――射精、するぞっ!!」

「あっあっあっあっ!!
 いい、いいよっ! 出してっ!!
 あぅっあんっはぅっんぅうっ!!
 僕のナカに、いっぱい出してぇっ!!」

 中出しを懇願される。
 女性にそう言われては、答えなければ男が廃るというものだ。

「よぉしっ! 出すっ! 出すぞっ!!
 お前の中に精液たらふく出してやるっ!!」

「来てっ! 来てぇっ!!
 あっ! あっ! あっ!! あっ!! あっ!!!」

 あらん限りの力で腰を動かす。
 射精感が限界まで高まり――

「出るっ!! 出るっ!!」

「ふぁああああああああああああああああっ!!!!」

 ――放たれた精液が、膣へと注がれた。



「ふぅーっ…ふぅーっ…ふぅーっ…ふぅーっ…」

 ジャンの上で、未だ荒く息を突くミーシャ。
 胡乱気な瞳から、まだ彼女が絶頂の余韻から覚めていないことが分かる。

「み、ミーシャさん」

 息も絶え絶えという様子の彼女に語り掛ける。
 興奮がやや冷めたせいか、口調が元に戻っているジャンだ。

「……なに、かな?」

 弱々しい声の返答。

「俺、毎日この店通いますから。
 毎日、ヤらせて下さいね」

「……うん、いいよ。
 僕の身体、いっぱい、使ってね」

「――はいっ!」

 期待した通りの返事に、つい元気よく声を出してしまう。

(あー、やっぱ凄いな、この店は!
 これからはタダでミーシャさんとセックスできんのかよっ!)

 明日から始まる薔薇色の未来を夢見て、ジャンは食事を開始した。
 ミーシャの身体と繋がったまま。



 第二十九話②へ続く
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...