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第二十七話 それぞれの思惑
③! フリダシ ニ モドル
しおりを挟む黒田と美咲が帰っていった後で。
「――――く、次は――次こそは――」
ローラ・リヴェリは、何とも悪役チックな呟きをしていた。
途中までは確実に自分が有利な展開だったのだ。
だというのにあの女勇者、終盤であんなことをしてくるとは。
まさかのタイミングでの暴挙に一瞬対応が遅れてしまい――そのまま畳みかけられたのだ。
「もう二度と、あんなへまはしません――!」
決意を新たにする。
今度の戦いでは、完全なる勝利を手にするのだ。
(まあ、明日は私がクロダさんのお相手をするという約束を取り付けてはいるんですけれど)
妥協はしっかり引き出していた模様。
ただでは転ばない女、ローラであった。
「……んー!」
伸びをする。
そろそろ日も沈む。
夕食を食べ、明日に備える必要があるだろう。
陽葵の迷宮探索もそろそろ再開するという話だ。
ついて回るだけとはいえ、まだ慣れないローラとってはかなりの負担となる。
「――でも、最近は体調もいいですし」
それは精神面も含めて、だ。
心にかかっていたモヤモヤが、少しずつ晴れていく感覚。
クロダと出会ってから少しずつそれを感じていたのだが、最近は特に顕著だった。
(……キョウヤ様のおかげなんですよね)
彼女が自分を気遣ってくれていることを、ローラも十分理解していた。
さりげなく“体調”について尋ねられることもかなりの頻度であり――ついでに発破もかけられている。
いつもしている口論にしたって、彼女が物理的暴力に訴えてきたら何の抵抗もできないのだ。
なのに美咲は決してそれをしようとせず(或いは手加減をし)、同じ立ち位置で自分と口論してくれている。
(だからと言って、譲る気は無いのですけれど)
感謝の気持ちと恋愛での敵対関係は別物である。
容赦する気など毛頭ない。
(――ただ)
ただ。
彼女が泣きながら誠一と一緒になりたいと懇願する様子は――正直、ものすごく可愛らしかった。
「……いやいや、私にその“ケ”はありませんから」
頭をぶんぶんと振って、変な気分を振り払う。
と、そんな時。
「あら?」
コンコン、とドアがノックされる音。
(夕食ですかね?)
確かにもういい時間だ。
宿の従業員が夕飯を知らせにきたのだろう。
「はーい」
入り口に向かい、扉を開ける。
そこには――
「よお♪」
「――え」
思考が停止した。
ドアの向こうに立っていたのは。
「――あ、あ?」
口が動かない。
身体も動かない。
目の前の“存在”に、理解が追い付かないのだ。
「なんだ、せっかく俺様が挨拶してやったんだからよ。
そっちもちゃんと挨拶しろよ」
そこに居たのは、『狼』だった。
2mを超える巨躯を持つ、『狼』。
そんな獣が“二つの足で立っている”。
(――じ、人狼――?)
そう。
数ある獣人種族の中で、最強と謳われる種。
純粋な“力”ならば魔族すら寄せ付けないとされる、雄々しく気高い天性の狩人。
ローラの前に現れたのは、“人狼”だった。
全身を覆う、鮮やかな白毛。
名刀を連想させる、爪の鋭利なシルエット。
その姿は芸術品にも例えられるだろう。
だが、彼女にはその美しさを鑑賞する余裕は無かった。
……何故ならば。
人狼の股間には、巨大な“イチモツ”がそそり立っていたからだ。
「あ、あ、あ、あ――」
1歩、2歩と後ろに下がるローラ。
“彼”が何者か分からない。
何故、ここに来たのかも分からない。
ただ、“これから自分が何をされようとしているか”はすぐ察することができた。
「い、いやぁあああああっ!!」
逃げようとする。
後ろへ駆け出す。
窓から外に抜け出そうとする。
「うるせえよ」
だが、無理だった。
あっさりと。
余りにあっさりと、ローラは捕まる。
人狼の巨大な手に腕を掴まれる。
鋭い鉤爪が、柔肌に食い込む。
そのまま、彼女は床に引きずり倒された。
「いやっ! いやぁあっ!!」
「うるせえっつってんだろ!!」
片手で床に押し付けられる。
どんなに身を捩ろうとしても、びくともしない強靭さだった。
うつ伏せのまま、床に縫い付けられたかのようだ。
人狼はもう片方の手でローラのスカートを捲り出した。
「お、やっぱいいケツしてんなぁ?
初めて見た時からずっとそそられてたんだ」
「ひっ!?」
狼はローラの豊かに育った尻をまじまじと鑑賞しだした。
黒いタイツに包まれた、魅惑の双丘を。
「こんなもんフリフリさせやがって!
男誘ってんだろ、なぁ!?」
「いや――いやぁ――」
同意を求められても、まともに返せるわけがない。
圧倒的な力を前にして、ローラはただ身を縮こませるしかなかった。
「さぁてと」
「――あぁっ!?」
人狼が彼女のドレスをビリビリと破り出した。
上等な生地でできた服を、紙のように容易く。
「――あ、あ――!?」
あっという間に、ローラは裸にされる。
たわわに実った胸、引き締まった腰、むちっとしたお尻に太もも。
美しく豊満な肢体が、獣の眼前に晒された。
「そそる身体だねぇ。
ひゃははは、興奮してきちまったぜ!」
生まれたままの姿の彼女を見て、人狼は舌なめずりする。
肉棒がより膨張しているように見えるのも、気のせいでは無いだろう。
そして。
「おらよ」
軽い掛け声だった。
なんてことない動きだった。
そんな気軽な動作で。
人狼は、まだ濡れてもいない女性器に、人とは比べ物にならないほど太い男性器を突っ込んできた。
「――――あ」
ローラは身体を硬直させる。
パクパクと口を動かす。
“衝撃”に頭が真っ白になる。
「――あ――ああ――あああ――」
硬直が解けだす。
何が起こったのかを理解する、してしまう。
そして――股間に生じた“激痛”を認識した。
「――ああぁぁああああああああああっ!!!!?」
絶叫。
あらん限りの絶叫。
彼女の金切り声が、部屋を震わせた。
(――痛いっ!――痛いっ!――痛い痛いっ!!)
自然と涙が出てくる。
何の準備も整っていない膣に、丸太のようなイチモツが刺さったのだ。
膣内が“壊れて”も不思議では無いのである。
痛みに泣き叫ぶのも無理はない。
だが、のたうち回ることはできなかった
がっちりと固定されてまるで動けないのだ。
せいぜい、手足をバタつかせる程度。
「なんだ。
裂けるか血を出すかすると思ってたのに、きっちり咥えこんでるじゃねぇか。
つまんね」
恐ろしく身勝手な呟きと共に、ため息を吐く人狼。
しかしすぐに気を取り直して。
「まあしかし、まんこの塩梅はいいな。
これはこれで楽しめそうだ!」
腰を振り出す。
まだローラは激痛に悶えているというのに、お構いなしだった。
「いやぁあああああああっ!!?」
当然、抵抗などできない。
人狼の力は、濡れてない膣内の“動きにくさ”など気にも留めなかった。
「おお、おお、よく締め付けてくんなぁ」
いや。
ローラの膣は締めてなどいなかった。
単に、“サイズが合ってない”だけだ。
単に、窮屈なだけなのだ。
「ああぁぁああぁあああああああっ!!!」
彼女は喉が張り裂けんばかりに悲鳴を上げる。
(いやっ!! いやっ!! いやっ!! いやっ!!)
どれだけ拒絶しようにも、ローラにはこのケダモノから逃れる術はなかった。
極太の男根が、ギチギチに張りつめた膣の中を行き来する。
「ああぁあああああっ!!
いやぁぁあああああああああっ!!!」
その度にローラは脳天を貫く程の痛みに襲われた。
ぽろぽろと涙が零れ落ちる。
それは痛みだけが理由では無く。
(クロダさんに尽くすって決めたのに!!
クロダさん以外の男には抱かれないって決めたのに!!)
悔しさであった。
後悔であった。
黒田を一途に愛すると決意した誓いは、余りにあっけなく砕かれたのだ。
……だが。
そんな気持ちとは裏腹に、ローラには“もう一つ”の感覚が湧き上がってくる。
「あ、あぁああああっ!! あぁあああんっ!!」
彼女の声に、甘い響きが混じりだす。
(――なんでっ!!
こんなことされているのに!!
なんで私の身体は――気持ち良く、なってしまっているの!!?)
人狼の巨根が膣を抉る。
普通の女性なら痛みで発狂してもおかしくない行為を受けながら、ローラの身体はそこに快楽を見出し始めていた。
徹底的な調教によって植え付けられた、どんな雄も受け入れる雌の性が、再び彼女を蝕みだしたのだ。
(戻れたと、思ったのに――!
戻るために、ずっと頑張ってきたのに!!)
美咲と初めて会った時――叱咤されたその時から、ローラは自らの性を必死で律してきた。
その甲斐あって、ここ最近は“雌の貌”は鳴りを潜めていた、のだが。
この人狼の――圧倒的な雄に組み敷かれ、“自分が雄を悦ばす雌に過ぎない”ことを想いだしてしまったのだ。
「お? もう濡れ始めてやがる。
無理やり突っ込まれて感じるなんざ、よっぽどだな、お前。
そんなの俺様のが良かったか?」
感心したような声。
と同時に、白い狼が腰を激しく動かしだした。
「あぅっ!? おぁああっ!! あがっ!! うぁあああっ!!!」
腹を突き破りかねない勢いで肉棒がローラの最奥へ打ち付けられた。
彼女の腹が、人狼の愚息の“形”に盛り上がる。
脳が焼けるような痛みと――快感。
「ああっ!! ああっ!! ああっ!!
あぁああああああ――♪」
ローラが発したのは、聞き間違いようも無い嬌声だった。
――それは、彼女の“敗北宣言”。
こうしてローラ・リヴェリは、雌に戻ることとなった。
「へい、お待ち」
「おお、ありがとう、店長」
ここは、黒の焔亭。
もう夜遅く、他に客も居ない店内で、セドリックは食事をしていた。
色々と所用を片付けていたら、夕飯が遅くなってしまったのだ。
他に仕事が無いのか、店長のゲルマンもセドリックと同じテーブルの席についていた。
「しっかしなぁ、面倒なことになっちまったな」
「ん? なんだい、店長。
難しい顔をして」
食事する手を止め、ゲルマンに返事するセドリック。
「いや、なにって“勇者”の話さ。
クロダの奴、まあ何かしらの事情は抱えてんだろうと思っちゃいたが、ここまででかい爆弾だったとは思わなかったぜ」
「ああ、そのことか」
「随分と落ち着いてるじゃねぇか。
聞いた話じゃ、割とガチで世界の危機らしいみてぇだっつうのに」
「規模が大きすぎてね、いまいちピンと来ないんだよ。
自分の周りのことだけで精一杯な生活を送ってきた私みたいなのが、いきなり世界の危機とか言われてもねぇ」
「……それもそうか」
店長は腑に落ちた顔だ。
「勿論、知ってしまった以上協力は惜しまないがね。
龍に支配されるっていうのも――少し眉唾な気はするけどね――まあ、ぞっとしない話だ。
何より、クロダ君やローラさんが関わっているとなっては、全く持って他人事じゃない」
「そりゃそうだ。
俺もせいぜい腕を振るうことにするさ。
……大分、錆びついちまってるけどな」
「おや、この前は結構な活躍をしたと聞いているよ?」
「戦いから離れた生活してたからな、どうしたって衰えちまうぜ。
全盛期の頃なら、リアと戦りあってもいい勝負できたと思うんだがな」
「――魔族と1対1って、大きく出たね、店長」
「はっはっはっ! 言うだけなら無料ってなぁ!」
豪快に笑うゲルマン。
ただセドリックの知る限り、そう法螺というわけでも無いはずだ。
魔族との戦争で、かなり無茶をしていたと聞いている。
「私も微力ながら力添えするとしよう。
せいぜい、資金を提供する程度だがね」
「こんな時でも金の価値は変わんねぇんだなぁ。
アンナの奴が嘆いていたぜ」
「彼女、私財をほとんど投げ打ったみたいだからね。
まったく、頭が下がるよ」
セレンソン商会のアンナは勇者とも親交深かったと聞く。
彼女にとって、今の状況はかなり複雑な心境だろう。
かつての仲間達が敵になっているのだから。
「まあ、しかし、だ。
最初に言った通り、私にとってはやはり現実感が無い。
ローラさんの恋愛が成就するかどうかの方が、よっぽど重大問題だね」
「ああ、それか。
ローラがとうとう本腰入れ出したんだってな。
クロダとローラか――上手くいくかね?」
「そりゃ行くとも。
あれ程お似合いのカップルはそう居ない。
これまでは、どうにもローラさんが燻っていたせいでいまいち進展無かったが、これからは違うだろう」
「おお、燻らせていた当の本人が、よく言ったもんだな」
「おっとその件については言わないでくれたまえ。
本気で首を吊りたくなる――いや、ローラさんが望むのであれば吊るのも吝かでないが」
「迷惑だから俺の店ではやらないでくれよ?」
物騒な話をしているが、彼らの間ではちょっとしたジョーク程度だ。
いや、ローラのためなら命を投げ出すというのは、冗談ではないが。
「ただなぁ……正直、かなり厳しい戦いだと思うぜ、俺はよ」
「ほほう、そこまで言うからには理由を聞こうじゃないか」
「だってよぉ――クロダの奴、あのミサキ・キョウヤと婚約してるって話だろ」
「うっ!?」
痛いところを突かれ、セドリックは口をつぐむ。
「そんなきっちり話したことはねぇけどよ。
見た感じ、どえれぇ別嬪さんだったぞ」
「い、いや!
美麗さで言えば、ローラさんも負けてはいないさ!!」
「ローラも美人だってことには俺も異論はねぇけどよ。
……いや、外見のアレコレを外野が議論しても仕方ないか。
俺が言いたいのは、だ。
あのミサキ・キョウヤに対しては、クロダの方もかなり熱が入ってるってことさ」
「うぐっ!?」
痛いところを突かれ(以下略)
「彼女にちょっと手を出そうとした男をクロダがぶっ飛ばしたって話も聞いてる。
信じられるか? あのクロダが、だぞ。
ローラには悪いが――」
「ま、まだだっ!!
まだ勝負が決まったわけじゃないっ!!
だいたい、彼女はクロダ君に相応しくないんじゃないか!?
性格が全然違うようだし!!」
「人間は自分と正反対の相手に惹かれるってのを聞いたことがある。
そういう意味じゃ、あの二人が好き合うのも納得できるな。
ぱっと見た感じ、ミサキ・キョウヤはクロダと真逆な女だ。
変態というか、淫乱な要素がまるで見当たらねぇ。
いや寧ろ、近くに居るとこっちの背筋がシャキっとしちまう真面目オーラを放ってやがる」
「畳みかけてくるの止めてくれないかな!?」
ざっくり、セドリックも同じ感想を持っていただけに反論が難しい。
「大丈夫!
クロダ君とローラさんはくっつくさ!
間違いない!!」
「ほほう。
ちなみに根拠は?」
「……その、ほら。
この世には一夫多妻ってものがあるだろ?」
「おもっくそ負けてるじゃねぇか!!
俺が言うことじゃねぇが、もう少し信頼しろよ!!」
「そ、そうか。
そうだね」
気を取り直して。
「ともあれ。
ローラさんも頑張ってるんだ。
苦しい“リハビリ”をずっと続けてきた。
特にここ最近は、見違えるように生気に満ちているように見える。
まるで、私とのことがある前の彼女を見ているみたいに。
その頑張りが、報われないはずがない」
「ガチで御禁制なドラッグやら何やら使ってたからなぁ。
よくあそこから立ち直れたもんだ。
それだけでも大したもんだよ、彼女は」
「おっと?
その辺りのことは蒸し返さないでくれと言ったはずだよ?
この店を自殺者有り物件にしたいのかい」
「止めれ。
まあなんだ、色々語っちまったが、結局なるようにしかならねぇんだ。
当人たちが上手い落としどころ見つけられるよう、見守ってようじゃねぇか」
「なるべくローラさんが有利になるよう動くけどね、私は。
最終的に部外者がアレコレできる問題じゃないとは思うけどさ。
……存外、リアちゃん辺りが掻っ攫っていくかもしれないな」
「リアか。
クロダとの相性はかなり良いと思うんだが――肉便器がどこまでやれるか、だな。
俺はそれよりも、エレナの方がやべぇと思う」
「ああ、あの子は危ないね。
なんかもう、漁夫の利を狙う気満々だよ、絶対。
いや、強い女性だよ、彼女は」
「同感だ。
他にクロダの相手として可能性がありそうなのは――」
「ヒナタ君とかどうかな?」
「……男だろ?」
「いやいや何言ってるんだい!?
全然イケるよ!!
というかヤりたいよ!!」
「えー?」
「何でドン引きしてるんだい!!?
ヒナタ君としたいって言ってる人、私の周りにも結構居るんだよ!?」
「ホモの巣窟かよ」
「ホモジャナイヨー!?」
変な声を響かせるセドリック。
他に客が居たら、相当奇異の視線を浴びたことだろう。
興奮する彼に店長は酒を差し出し、
「まあ、一杯飲んで落ち着けよ。
今更お前さんの趣向をどうこう言うつもりは無いさ。
……ちょっと近づかないで欲しいと思うだけで」
「ヒナタ君の魅力が分からないとは何と浅はかな……
それはそれとして、そのお酒は頂いておこう」
「おう。
俺も一杯貰うとするか」
「いいのかい?
一応、仕事中だろう?」
「お前以外にもう客いねぇだろうが。
直に戸締りなんだから、多少飲んでも問題ねぇよ」
「それもそうか」
コップに酒を注ぐ。
2人はそれを手に持つと、
「――さて、何に乾杯するね?」
「当然、ローラさんの輝かしい未来に、さ」
「最後までそれかい!!
ま、別にいいけどよ」
呆れ顔になる店長だが、嫌がる素振りは見せない。
彼らはコップを掲げ、
「それじゃ、今後のローラさんの幸福を祝って――」
「「乾杯っ!!」」
互いに軽く打ち鳴らしてから、一気に酒を飲み干す。
そしてまた、よもやま話に興じ始めるのだった。
……この歓談は、もうしばし続くようだ。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
ローラの艶声が部屋に響く。
人狼との行為は、まだ続いていた。
「ああんっ! あぅっ! ああっ! あぁああんっ!!」
だがその様子は最初と大きく変わっていた。
彼女は狼からのレイプを受け入れているのだ。
「ああっ!! んぁああっ!! あ、ああぁあっ!!」
ローラの声からは嫌悪感など微塵も感じられない。
顔を蕩けさせ、ただ快楽に酔う雌の声を上げている。
そして何よりも――
「おい、もっと早く動けよ!
ちんたらしてたら、何時まで経っても俺様がイケねぇだろうが!」
「は、はいっ――あ、あ、あ、あ、あ、あっ!!
あぁあああああっ!!」
――彼女は自ら進んで、人狼の肉棒を受け入れているのだ。
人狼は、ただベッドで仰向けになっているだけ。
その上に跨り腰を動かしているのは――即ち、この行為を率先して行っているのは、ローラなのである。
「あぅ、あぁ、あん、んぅ、んぁあああっ!!」
指示の通り、肢体を激しく上下させる。
大きく実った乳房が、プルプルと揺れた。
彼女が腰を落とすたびに、巨根によって腹がぼこっと膨らむ。
酷い苦痛を味わって然るべきだというのに、ローラは苦悶などまるで感じず、ただ快感に身を捩る。
挿入することすら困難な太い肉棒を、彼女は悦んで堪能していた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ――――あああっ!!?」
ビクっとローラが震える。
「おっと、出ちまった」
「あぁああああああっ!!?
あぁぁああああああああああっ!!!!」
人狼が射精したのだ。
その巨大なイチモツから想像できる通り、膨大な量の精液が彼女の中へ放たれる。
「ほぉおおおおおおっ!?
おほぉおおおおおおおおっ!!」
ただでさえ男根で限界まで圧迫されていたローラの膣へ、さらに精液が溜まっていく。
みるみるうちに腹部が膨張する。
その様はまるで、臨月を迎えた妊婦のようだ。
「おっ!? おおっ!? おっ!? おおおっ!?」
パンパンにまで膨らみ切るローラのお腹。
太すぎる肉棒で膣を完全に塞がれているため、精液が外に零れないのだ。
「あっ!? あがっ!! うっ!! うぐぅううっ!!?」
流石の彼女も、苦し気に呻き出す。
腹が今にも破裂しそうになれば、当然だ。
しかしそんな状況でも、人狼はまるで動じず――笑い出した。
「ひゃはははっ!
早く抜いた方がいいと思うぜ。
まだまだ精液は出るんだ。
本気で腹が破れちまうぞ?」
「――――!!?」
狼の言葉に、ローラが焦りの色を見せた。
「ん、んん、んんんっ!!
ぬ、抜けな――抜けな、いっ!?
おぁああああああっ!?」
「膣痙攣が起きてるみたいだな!
俺様の射精でお前もイってたわけだ!
ひゃははは、こりゃやばいんじゃないか?」
面白そうに顔を歪める人狼。
だが彼女はそれどころでは無かった。
腹はさらに膨らみ、鋭い痛みが走り出す。
「んぐっ! んんぅうううっ!!
うぐぅうううううっ!!」
腹部の痛みと――こんな時にも感じてしまう快楽に耐え。
ローラは足を踏ん張って必死に巨根から逃れようともがく。
恐ろしいことに、射精はまだ続いていた。
「んっ! んっ! んんっ!! んんんっ!!!
んぁああああああああああっ!!!」
――努力の甲斐あり。
とうとう、彼女は肉棒を引き抜くことに成功した。
ぶちゅっという大きな音と共に、ローラと人狼の結合が解かれる。
「あっ!! ああっ!! あぁああああっ!!!」
途端、噴き出てくる膨大な精液。
ドバドバと、信じられない量の精子が膣口から流れ落ちた。
「はーっ――はーっ――はーっ――はーっ――」
苦しみから解放され、大きく息をつく。
疲労困憊の様子で、全身に汗が浮かび上がっていた。
「なに休んでんだ!
次は尻穴で奉仕しろ」
そんなローラに、人狼は無慈悲な命令を下す。
拒むことを許さぬ、威圧感のある声。
身を竦ませてもおかしくないのだが――
「は、はい♪」
――ローラは、嬉々として従った。
あんなことの直後だというのに、今度は後ろの穴を人狼に差し出す。
彼女にとって、男を悦ばせるためならば、自分の苦しみなど度外視なのだ。
そういう風に調教されている。
「ん、ん、んん――」
相変わらず人狼は動かないため、“位置合わせ”も自分で行う。
途轍もない大きさの亀頭の上に菊門を乗せると、
「んん――お、おぉおおあああああああああっ!!!?」
自ら腰を下げて、尻の中へイチモツを迎え入れた。
「お、おおっ――おっ――おおおおっ――」
腸が人狼の愚息で埋め尽くされていく。
その衝撃で、ローラは容易くイってしまった。
「自分だけ楽しんでんじゃねぇぞ!
とっとと動け!!」
「あ、あ――す、すみません――」
絶頂で目の焦点も合わない状態でも、律儀に謝る。
そして――
「おっ! おおっ! おっ! おっ! おっ!」
――再び、腰を動かし始めた。
尋常でないでかさの肉棒に尻穴を穿られ、ローラは自然と歓喜の声を出してしまう。
「おおっ!! おおぅっ! おぁああああっ!!」
美咲と出会ってから見せ始めた、あの気丈な姿は、もうどこにも無かった。
……それから、少しして。
「おごっ!!? おぐぅううっ!! あっ!! あごぉおおっ!!」
「ひゃはははははっ!!!
こいつは傑作だ!!
この女、精液吐きながら腰振ってやがるっ!!」
人狼の笑いが木霊する。
彼の言葉通り、ローラの口からは精子が噴き出ていた。
言うまでも無く、狼のモノだ。
尻穴に注入された精液が逆流しているのである。
「良かったなぁ!!
こっちの穴は“上”まで繋がっててよぉ!!
おかげで、どんだけ注がれても平気だってんだから!!」
「あがぁっ!! おぶっ!? うぷっ!! おごぇえええっ!!」
どう控えめに見ても“平気”には見えなかったが。
目は白目を剥きかけ、舌はだらんと伸びている。
完全に正気を失った顔。
吐き出した精液は全身にこびり付き、汚れていない場所を探す方が困難な有様だった。
それでもなお、ローラは腰を動かし、人狼への奉仕を続けてる。
「ほらっ! もっと動け!!
お前の大好きな精液を、たらふく食らわせてやるっ!!」
「おぇっ!? おぉおおおおおっ!! おごっ!! おぁあああああっ!!!」
……人狼の愉快な笑い声と、女性の苦悶の響きは、しばらく止むことは無かった。
何時間が経過したのか。
もう直に、空が明るくなるであろう頃合い。
「はぁあああああんっ♪
もっとぉっ♪
もっとぉ、精液下さい♪」
ローラと人狼は、未だに身体を重ね合っていた。
「あぁああああんっ♪
精液♪ 精液ぃ♪」
……いや、コレをローラと形容していいものかどうか。
壊れたような喜悦の笑みを浮かべて人狼の巨根に縋り、全身で奉仕する様には、人としての尊厳すら見当たらない。
瞳からは生気が消え去っていた。
今の彼女と比べれば、場末の娼婦とて真人間に見えるだろう。
「ひゃははははっ!
そんなに俺様の子種が欲しいかっ!」
「はい♪ 欲しいですぅ♪
もっといっぱい、私に精液をお恵み下さい♪」
豊満な胸で棒を挟み、舌で亀頭をくまなく舐める。
愛おしそうにイチモツを撫でる彼女は、雄にかしずく雌犬が重なる。
「ほれ、お望みの精液だ。
よく味わうんだぞ!」
「あぁああああああ♪」
男根の先端からチョロチョロと精液が湧き出る。
ローラは顔を輝かせて、それに吸い付いた。
「ん、んんっ♪
んんぅうううう♪
美味しい♪
精液、凄く美味しいです♪」
白濁したドロドロの液体を、極上のスイーツでも食べているような表情で舐め取っていく。
――全てが無駄になった。
黒田への恋慕も。
美咲への敵愾心も。
セドリックの後悔も。
ローラ自身の努力も。
全て、全てが無駄だ。
彼女は、振り出しに戻ったのだ。
「ひゃははは!
気に入ったぜ!
お前、俺様の雌にしてやる。
これから毎日、俺様の肉棒を味合わせてやるよ!
どうだ、嬉しいだろう!?」
「嬉しいです♪
この素敵なちんぽを頂けるなんて、私、幸せ過ぎておかしくなってしまいます♪」
もう既におかしくなっているのだが。
ローラにその自覚は無かった。
「よぉしっ!
なら、こんなシケた宿とはおさらばだ!
もっと“いい所”でお前を弄ってやろう」
「はい♪」
人狼は立ち上がり、軽々とローラを抱えた。
彼女はそれに一切抵抗しない――するはずが無い。
白い狼は部屋の窓を乱暴に開けると、そこから外へと身を躍らせ――
「待て」
――人狼の動きが止まった。
後ろからの声。
いつの間にか、部屋のドアが開かれている。
「――あ」
そこに立つ人物を見て、ローラの目に光が宿った。
「――クロダ、さん?」
名を呟く。
扉の前には、黒田誠一が立っていた。
紅い籠手に脚鎧。
完全装備の黒田だ。
彼はローラの方を一瞥し、一瞬微笑みかけると。
視線を人狼に戻し、口を開く。
「黄龍ティファレト。
その女性から――ローラさんから離れて貰おうか」
「そんな他人行儀な名前使うなよ。
いつも通り、“ガルム”って呼んでくれていいんだぜ、親友」
(――――え!?)
交わされた内容に驚くローラをよそに。
黒田と人狼――五勇者の一人、“鉤狼”のガルムは、静かに睨み合った。
第二十八話へ続く
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楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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