社畜冒険者の異世界変態記

ぐうたら怪人Z

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第十七話 新たな仕事の始まり

③! リアさんのお披露目※

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 その日の夜。
 私はいつものように黒の焔亭にて夕飯を頂いていた。

 しかし今夜は、普段と店の様相が変わっている。
 何故ならば――

「……お前、今、某の尻を触ったな?」

「ち、違っ!?
 今のは本当に偶然手が当たっただけでっ!!」

「問答無用だ」

「ひでぶしっ!?」

 客の一人が新人のウェイトレスに蹴り飛ばされて店の壁に激突する。
 そのまま、客はぴくりとも動かなくなった。
 ……おそらく気絶しただけであろう、きっと。

「うわあああっ!!
 カマルちゃんがまた猛っておられるぞっ!!」

「某をちゃん付で呼ぶな」

「のぉおおおおおおっ!?」

 余計な茶々入れをした他の客も同じ末路を辿る。
 店内には、同様の経緯で倒れ伏した男達が、何人も転がっていた。

 ――現在、黒の焔亭には新人ウェイトレス・カマルさんによる暴風が吹き荒れているのだ。

 もうお気づきの方もいるとは思うが、このウェイトレスさん、以前に黒の焔亭を襲撃してきた魔族である。
 バールが死んで身の置く先がなくなった彼女を、店長がウェイトレスとして雇ったのだ。

 他人事のように語ってしまったが、バールを殺したのは私であるため、こうなった一因は私にもあるかもしれない。
 ……一因があったとして、私にやれることなどもう何もないのだが。

「……そうか、命が惜しくは無いか」

「ぎゃぁああああっすっ!!?」

 ――また一人、犠牲者が出た。

 こんな暴虐行為を行っている(客の自業自得の場合がほとんどだが)カマルさんだが、彼女が来てから店は連日大賑わいである。
 理由の一つは、彼女が美人だから――しかも、ウィンガストではまず見られない、魔族の美女だからである。

 魔族特有の銀髪を長く伸ばし、ポニーテールに束ねた姿は、カマルさんが長身であることも相まって実に凛々しい。
 釣り目な瞳を持つ美貌は見る者に冷たい印象も与えるが、一部のM男からは逆にそれがいいと好評だったりもする。
 それでいてスタイルは実に女性的。
 胸とお尻の大きさは、ローラさんにだって負けていない。
 ウェイトレスの制服が、女の色気をより引き出している。
 物珍しさも手伝って、そんなカマルさんを一目見ようと黒の焔亭に来る男は後を絶たなかった。

 それと理由はもう一つあり――

「……ふん」

「ぬわぁああああああっ!!」

 また吹き飛ばされる男性客。
 その様子を、他の客がじっくりと鑑賞している。

 ――これこそがもう一つの理由。
 カマルさんは気付いていないようだが――或いは気にしていないだけかもしれないが――客を蹴るたびに制服のスカートが思い切り捲れており……
 彼女の下着が、そしてその下着に覆われている青白い肌のお尻が、丸見えになっているのだ。

 ……今日は黒のレースか。
 彼女の言動に反して、結構派手な下着だ。
 ただ、初日は褌を履いていたことを鑑みると、この下着は店長の趣味なのかもしれない。



 但し、そんな喧噪に溢れているのは店の半分。
 もう半分は――私が座っている側は、いつもと同じ様子を維持していた。
 ……とはいえ、こちらも別の原因でいつもと雰囲気は異なっているのだが。

「リアちゃーん、注文したいんだけどー?」

「はいはい。
 すぐ行くから待っててね」

 客に呼ばれてリアさんが注文を取りに行った。
 律儀なことに――そしてタフなことに、昼間迷宮探索をしていたにも関わらず、リアさんは黒の焔亭でのウェイトレスのバイトを行っている。
 そして彼女の存在こそが、店内の空気を変えている原因なのだ。

 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「…………」

 幾人もの男が、リアさんの姿を熱の籠った視線で見つめている。

「ご注文は?」

「え、えーと、A定食と……あー、それからー……」

「ちょっと、決まってないのに呼んだの?」

「い、いや、そんなわけじゃっ!
 えー、び、ビール! ビールを1本でっ!!」

「はーい、A定食とビールね!」

「あー……う、うん」

 客は不自然な程どもりながらリアさんへ注文をした。
 彼の顔が真っ赤であることに、リアさんは気付いているのだろうか?
 ……気付いていないわけがないか。

 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「…………」

 厨房へとオーダーを届けに行く彼女を後姿を、再び多くの男が見つめる。
 リアさんが奥へと消えると、男性客達は互いに視線を交わし合わせた。

 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「…………」

 ……次は誰が注文をするか、牽制し合っているのだ。

 何故、リアさんがここまで注目されているのか。
 彼女は元からこの店の看板娘であったので、客からの人気は高かったのだが、それを鑑みてもこの状況は異常である。
 リアさんが男達の視線を集めている理由、それは――

「り、リアちゃんっ!
 次はこっちでっ!!」

「はーいっ!」

 静かなる牽制戦を制し、別の客がリアさんに声をかけた。
 彼の方に向かい、彼女は小走りで駆けていく。
 ……ちらちらと、白いショーツをちらつかせながら。

 「…………!」
 「…………!」
 「…………!」
 「…………!」

 男達は、チラリと見えるリアさんのショーツを、食い入るように見る。

 ――ただ、このチラリズムは一因に過ぎない。
 根本的な原因は、簡単にパンチラが起きてしまうリアさんの格好なのだ。

「……俺はね、C定食と、サラダと、あと――」

「うんうん」

 リアさんは注文をメモしていく。
 注文している当の客自身は上の空なのだが。
 ……彼女の格好を見るのに忙しくて。

 今日のリアさんは、今までと制服が変わっているのである。
 従来のエプロンとスカートが一体となったような作りは同じだが、細かい意匠が変更されている。

 まず制服の上側。
 大きな違いは、胸元が大きく開いていることだ。
 その開き方はかなり大胆で――乳首こそ見えないが、おっぱいの北半球がほとんど見えてしまっている。
 また、それに比べると細かい変更点だが、エプロンがより胸にフィッティングし、全体的な形もはっきりと把握できてしまう。
 後ろ側も服面積も激しく減少しており、リアさんの綺麗な背中がじっくりと鑑賞できる。
 角度によっては、まるで裸エプロンを着ているかのようにも見えるだろう。

 そして制服の下側。
 こちらの変更点はただ一つ――スカートの丈だ。
 これまでの制服も下着が見えないギリギリの短さを追求した代物であったが、今は制服はそのラインすら突破している。
 じっと突っ立っている状態ならば、どうにか下着は隠れている、というレベル。
 動いたりして少しでもスカートが翻ると、すぐにショーツとご対面だ。
 見る側が屈んで視点を低くすれば、簡単に中を覗けてしまう。
 ……実際、落とした物を拾うフリをしてスカートの中を覗いている輩もチラホラいる。

 こんな制服を着て、リアさんはいつも通り働いているのである。
 そりゃ注目も集めようというものだ。

 単純に助平な男がリアさんエリア、Mっ気のある男がカマルさんエリアにいると考えれば分かりやすいかもしれない。

 「あー、リアちゃん、ちょっといいだろうか?」

 今度は壮年の男がリアさんに話しかけた。
 ――セドリックさんだ。

 「――何? 注文?」

 「すまないが注文じゃないんだ。
 スプーンを落としてしまってね、拾ってはくれないだろうか?」

 セドリックさんは床を指さす。
 確かに、彼のすぐ傍にスプーンが落ちていた。

 「……いや、それ位自分で拾いなさいよ」

 「最近腰が悪くてねぇ。
 頼むよ、リアちゃん」

 ジト目で睨むリアさんだが、セドリックさんはどこ吹く風。
 彼女は大きくため息をついた後、

 「はいはい、分かりました」

 スプーンを拾うことにしたようだ。
 リアさんはセドリックさんの近くによると、彼に背を向け――

 「「――おおっ」」

 ――周囲の男がどよめいた。
 リアさんはよりにもよって尻をセドリックさんへ突き出すような姿勢で、床のスプーンを手に取ったのだ。
 そんな体勢になれば、当然彼女のお尻は丸見えになる。

 「うーん、いいお尻だねぇ」

 セドリックさんはまるで隠す素振りも見せずにリアさんの尻を見物していた。

 「…………んっと」

 リアさんはリアさんで、随分と時間をかけてスプーンを拾っている。
 しかも時折腰を左右に振りながら。
 プリプリの健康的なけつが揺れる様は――もう、誘っているとしか思えない。

 「「――ごくりっ」」

 周りでその光景を見守っている男達が、唾をのむ。
 まさかここまでやってくれるとは思っていなかったのだろう。
 ……実際のところ、リアさんはセドリックさんからもっと凄いことをされていたわけなのだが。

 「……はい、これでいいんでしょ?」

 「ああ、ありがとう、リアちゃん。
  ……もう随分と濡らしているようだねぇ」

 セドリックさんの後半の台詞は、リアさんにしか聞こえないよう小声で呟いている。
 彼の言う通り、彼女のショーツは愛液によって膣の辺りがびちょびちょになっていた。

 「……だ、だったら何よ」

 「……ふふふ、今日もちゃんと可愛がってあげるからね。
  ……いい子にして待ってるんだよ」

 「――!
 ば、バカじゃないのっ!?」

 顔を赤くして、リアさんはセドリックさんから離れた。
 ……セクハラを受けたというのに、抵抗はおろか嫌がる素振りすらしない。
 いや、あの行為をセクハラと言っていいのか疑問は残るけれども。

 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「…………」

 男性客達がギラギラとした視線をリアさんに浴びせる。
 “あんなこと”をしても許されるのだと、分かってしまったからだ。
 次は誰がやるか――男達の静かなる戦いが水面下で勃発する。

「あ、すいません、リアさん」

 そして私はそんなものを一切無視し、リアさんを呼びつけた。

「どうしたの、クロダ?
 追加の注文?」

「すいません、私も注文じゃないんです」

 言って、私は自分の股間を彼女に見せた。
 ズボンのチャックは既に降ろされ、ギンギンに勃起したイチモツが顔を覗かせている。

「どうして欲しいか……言わなくても、分かりますよね?」

「え、あ、あの、クロダ……?」

 リアさんはさらに顔を赤くして戸惑いだす。
 しかしその視線は私の愚息からまるで外れていない。

「こ、ここ、で?
 も、もっと隅の席に……」

 どうもリアさんは、店のど真ん中に位置するこの席がお気に召さない模様。
 確かに、ここでヤり始めたら、全ての客にバレてしまうだろうけれど。

「いけませんか?
 ……大丈夫ですよ、半分位はカマルさんの方を向いていますし」

 逆に言えば、半分はリアさんを見ているということでもある。
 しかし彼女を説得する効果はあったようで、

「……う、うん、分かった」

 リアさんは観念したように首を縦に振った。
 ――単に、何かしらの“言い訳”が欲しいだけだったのかもしれない。

 「「――!?」」

 男達の驚く気配が伝わってくる。
 いきなりリアさんが私の上に跨ってきたのだ、驚きもしよう。

「じゃ、じゃあ、ヤるからね」

「ええ、どうぞ」

 リアさんは自分の手でショーツをずらし、膣口を剥き出しにする。
 そのまま腰を落とし、膣内へ私の肉棒を招き入れていく。

「あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…」

 男根が沈んでいくにつれ、リアさんの顔はだんだん蕩けだし、喘ぎを漏らす。
 私の方も、彼女の膣による快感が股間を走り出した。

 「……ま、マジかよ」

 「……あれ、絶対セックスしてるよな?」

 「……リアちゃんが、あんな男と……?」

 どよめきが大きくなる。
 店の真ん中で堂々と性交しだしたのだから、この反応も仕方ない。

「あっ…あっ…あっ……ぜ、全部、入ったぁ……」

「いい締め付けですよ、リアさん」

「……あ、ありがと……んんっ」

 私が頭を撫でてあげると、リアさんは嬉しそうにほほ笑んだ。
 ほどなくして、彼女は腰を上下に動かしだす。

「あっあっあっあっあっ……んんっ……あぅっああっあっああっあああっ……」

 次第に大きくなっていく彼女の嬌声が、私の耳を楽しませる。
 同時にイチモツがリアさんの膣に扱かれ、股間が彼女の暖かさと締め付けを堪能する。

「もっと早く動いて下さい」

「う、うん……あっあっあっあっあっ……あんっ!
 ああっあっあっあっ! あぁあああっ!」

 私の命令で、リアさんは腰の動きを速めた。
 最早、彼女は周囲の目も気にせず喘ぎ始めている。
 カマルさんに釘付けになっている男達以外は、全員がリアさんの行為に魅入っている。

「ああっ! あっ! あああっ!
 あっ! あっ! あっ! あっ! ああっ!」

 男達の視線を気にも留めずに、リアさんは腰を振り続ける。
 相当気持ち良いのだろう、彼女の膣からは愛液が垂れ流れていた。

 私は、ただでさえ開けた制服をずり降ろし、リアさんの胸も露わにしてやる。
 ローラさんやエレナさんに比べるとやや控えめではあるが、ツンとした乳房は健康的な色気を十二分に放っていた。

 「……う、うわぁ」

 「……そんなことまでしちゃうのか」

 リアさんのあられもない姿に、見物人は一人また一人と席を立ち、私達に近寄ってくる。

 それはさておいて、私は彼女のおっぱいを手で包み込み、そのまま揉みしだく。
 両手に、リアさんの弾力ある胸の感触が拡がっていった。

「あっあっああっあっ! 
 く、クロダっ! あっあっあっああっあっ!
 クロダぁっ!! ああっあっああっああああっ!!」

 感極まったリアさんが、私に抱き着いてきた。
 彼女の胸が私の顔へと押し付けられる。
 これはこれで悪くない。

 と、そんなところへ。

「お、おいおいおいおいっ!
 何やってんだ、お前等っ!?」

 騒ぎを聞きつけたのか、厨房からゲルマン店長が駆けてきた。
 私はリアさんの子宮を責め続けながら、店長に答える。

「何って――ナニですが」

「そんなもん見りゃわかるっ!!
 どうしてこんな店のど真ん中で開けっ広げにヤっちまってんのかって聞いてんだよっ!!?」

 店長が私を怒鳴りつける。

「おいクロダっ!
 そういうのはもっと時と場所弁えてヤれって言ったよな!?
 弁えるどころかさらに悪化してんじゃねぇか、お前っ!!」

「まあまあ、落ち着いて下さい、店長」

 怒って頭を真っ赤にしている店長を、私は宥める。
 ――思い切り営業妨害してるわけなのだから、彼の怒りはもっともではある。

「今日は、報告したいことがあるのですよ」

「……報告だぁ?」

 胡乱な視線を私に浴びせる店長。
 私はそれを正面から受け止めて、こう告げた。

「リアさんは、私専用の肉便器になったのです」

「……なに?」

 ゲルマンさんがはっとした顔になる。
 顔をリアさんの方へ向けて、今度は彼女へ尋ねてきた。

「おい、リア。
 クロダの話、本当なのか?」

「あひっあっああっあっあっ!!
 う、うん、本当っ!!
 あんっあっあっあっあっあっ!
 あたし、クロダの便器になったのっ!!
 あっあっあっあっあっあっあっあっあっ!!」

「……そうだったのか」

 彼女が肯定することで、ゲルマンさんは納得したようだ。
 落ち着いた口調で私に話しかけてくる。

「肉便器の相手をしてたってんなら、そうやかましいことは言わねぇなぁ」

 「……言えないんだ」

 店長の言葉に、周りを取り囲む客の一人が呆然とした口調で呟いた。
 それを黙殺しつつ、ゲルマンさんは続ける。

「五月蠅くは言わねぇが……ある程度はうちの店のこと考えてくれよな。
 流石に真昼間にヤられちまったら、衛兵が飛んできちまう」

「それは安心して下さい。
 今回は皆さんへの公開という意味もありましたので、こんな真似をしましたが――
 流石にこんな明け透けなことを毎回ヤったりはしませんよ」

「そうか。
 まあ、お前ことを信頼してねぇわけじゃねぇが――」

「――ちょ、ちょっと待ってくれ給え!!」

 私と店長の会話に、割り込んでくる男が居た。
 ――セドリックさんだ。
 彼は見物客をかき分けて私の方へ近づくと、

「こ、困るよ、クロダ君、勝手にそんなことされちゃあっ!!」

 怒ったような口調で私をそう咎めだす。
 ……そういえば、彼もリアさんを肉便器にしようとアレコレ調教していたのだった。

「すみません、セドリックさんに先んずる形でこういうことをしてしまいまして」

「いや、それについてはどうでもいいんだけどね」

 謝ろうとする私だが、セドリックさんはそれを軽く流した。
 どうやら論点がずれていたようだ。
 彼は語気を強めて説明し出した。

「だからね、そういうことはもっと早く言ってくれないとさ!
 私、危うく今日リアちゃんに手を出しちゃうところだったんだよ!?」

「……それに何か問題が?」

 首を傾げる私に、セドリックさんは強い口調で続ける。

「大ありだよっ!!
 私は他人の女性モノには手を出さないことにしているんだ!
 クロダ君には前に言ったじゃないかっ!!」

 ……そう言えば、そんなことを以前聞かされた気がする。
 “昔の教訓”から、誰かのモノになった女性には決して唾を着けない、と。

「ああっ! あっ! ああっ! あっ! あっ! あっ!」

 ちなみにこの状況でも私は腰を振るのを忘れていない。
 リアさんはずっと私の上でヨガっているのだが――話の本題からずれるので、今は気にしないでおく。

「……しかし、セドリックさんは店長の女性モノに手をだしていませんでした?」

 私はふと思いついた疑問を口にした。

 黒の焔亭で働く他のウェイトレス――シエラさんやジェーンさんは店長の手で肉便器に仕上げられている。
 しかしそんな彼女達とも、セドリックさんは関係を結んでいたはず。

「ああ、アレはいいんだよ。
 彼女らは肉便器は肉便器でも、誰にだって股を開く公衆便女なんだから。
 でもリアちゃんは、クロダ君専用の肉便器なんだろ?
 だったら、私は手を出せないなぁ」

「そんなものですか?
 私は別に気にしないのですが――」

「――いや、そこは気にしろよ、お前」

 今度は店長が私達の会話に入ってきた。

「クロダよぉ、お前はリアを専用肉便器にしたんだろ?
 今、リアはお前の所有物なわけだ。
 所有物に対して、持ち主は責任を負わなきゃなんねぇだろが」

「……なるほど」

 確かに一理ある。
 リアさんを公衆便女ではなく専用肉便器にした以上、私には彼女の行為に対する責任が発生するわけか……

 「……なんか、すげぇ超理論展開してんぞ、あの人達」

 「……つ、ついていけねぇ」

 外野が何か言っているが、気にせず店長との話を続行。

「とすると、リアさんを好き勝手ヤらせてはいけないということですね。
 具体的にはどうすればいいでしょう?」

 こういうことに不慣れな私は、熟練者である店長へ素直にアドバイスを求めた。
 彼は腕組みをして少し悩んでから、

「そうさなぁ。
 ……とりあえず、中出しは禁止ってことにしとけばいいんじゃねぇか?
 それ以外の行為なら許容するっつう感じで」

「おお、名案ですね」

「――どこがっ!?」

 それまで喘ぎ続けていたリアさんが、ここで突っ込みを入れてくる。

「どうしました、リアさん?」

「ああっ! う、あっあっあっ!
 あ、あたしは、クロダの便器なんだからっ!
 ああっ! あっあっあっあっあっ!
 他の男と、するなんて――ああぁぁあああっ!!」

 嬌声を上げながらも、自らの意見を主張するリアさん。
 私以外の男と関係を持ちたくない、という台詞は男として嬉しくはあるのだが――

「でもリアさん、私の指示もなくこんな破廉恥な制服を着ましたよね」

「ああっあっあぁああっ! そ、それは――」

 店長から渡されたのだろうが――こんな代物を着れば周りの男からどう見られるか、分からないはずが無い。

「先程、セドリックさんを明らかに誘惑していましたよね?」

「あっあっあっあっ! く、クロダ、アレは――」

 あのままセドリックさんに押し倒されていたら、果たしてリアさんは抵抗していただろうか。

「……そろそろ認めたらどうですか?
 リアさん、貴女はどうしようもない被虐趣向の変態女なんですよ」

「―――っ!!」

 私の言葉を受けて、リアさんは身体を仰け反らし、ピンと身体を硬直させる。
 彼女の膣は私のイチモツを一際強く締め付け――どうやら、今のでイってしまったらしい。

「――あっ――ああっ――あっ――」

 絶頂の余韻からか、口をパクパクと開けるリアさん。
 そんな彼女に私はさらに喋りかける。

「自分に正直になって下さい。
 街中の男に犯されたいんでしょう?
 酷い目に遭わされたいんでしょう?
 ただの性欲処理の道具のように、扱われたいんでしょう?」

「――あっ!――あっ!――あああっ!!!」

 私が言葉をかける度に、彼女の身体は大きく痙攣した。
 同時にリアさんの膣からは愛液が迸る。
 言葉責めによる快感で、幾度も絶頂を重ねているのだ。

 ……結局のところ、これが彼女の本性。
 余人には手が付けられない程の被虐趣向持ちなのである。

 これは決して店長やセドリックさんの調教によって植えつけられたものではない。
 リアさんが、最初から持っていた『素質』――或いは『歪み』だ。

 ――その証拠に、私が初めて彼女と会った時。
 <次元迷宮>を彷徨い歩き、魔物に取り囲まれ、自分の命が消えるその寸前に。
 彼女は――“とても嬉しそうな”顔をしていた。
 リアさんに自覚は無いようだが、彼女は自分が殺される瞬間を“楽しんで”いたのだ。
 私は自分が変態であることを胸を張って宣言できるが――その私をもってしても、彼女の感覚を理解するには及ばなかった。

 ……勘違いしないで欲しいのだが、普段の彼女が自分を偽っているわけでは決してない。
 快活で、強気で、何かとお節介焼きなリアさんも、間違いなく本当の彼女ではあるのだ。
 そういう“普通の女の子”なリアさんが、“普通とは余りにかけ離れた性癖”を持っていただけ。

 実のところ――私には、どうして彼女がこうなったのか、大よそ察しはついている。
 リアさんが、魔族だからだ。

 以前、魔素という物質について説明があったかと思う。
 スキルやマジックアイテムという恩恵を与える一方で、精神を狂わせる性質を持つ、劇薬のような物質だ。
 魔族とは、魔素の扱いに長けた種族である。
 だからこそ、スキルを他のどの種族よりも上手く操り、他の種族では真似できない程の強力なマジックアイテムを創ることができる。
 その一方で、魔素によるデメリットも他の種族より大きく受けているのだ。

 具体的に言えば、魔族は例外なく、心に大きな『歪み』を持つ。
 どういう『歪み』なのかは、魔族によって様々。
 例えばギルド長であるジェラルドさんは魔王への“絶対的な忠誠心”という『歪み』を、バールは陽葵さんへの”狂的な偏愛”という『歪み』を発現させていた。
 リアさんの場合、それが“異常な被虐趣向”であったと、ただそれだけのことだ。
 この『歪み』は種族的な特徴であり、それが故に自分で制御することなどできないし、矯正もまず不可能。
 上手く付き合っていくしかないのである。

 ――まあ、この辺りのことは私もミサキさんから聞いただけなので、詳しくは分かっていないのだけれども。

 と、そういう訳なので、彼女は肉便器として生きていくしかないのである(断言)。
 ……被虐が過ぎて、自分の命を危険に曝すより、ずっとマシだろう。

「――決まりだな」

 考え事に没頭していた私を、店長の言葉が現実に引き戻す。
 彼はリアさんの身体を撫でながら、ニヤリと笑って周囲に宣言した。

「これからリアには、ナニやってもいいことにする。
 肉便器なんだからな、好きに扱ってやれ。
 但し、中出しだけは駄目だ。
 こいつを孕ませるのは所有者だけの権利だからな。
 ――それでいいか、クロダ?」

「――ええ。
 過不足無い、最良の設定と言えましょう」

 店長の確認に、私は大きく頷いた。
 周囲が俄然騒めき出す。

 「うわ、マジか」

 「これからリアちゃんと、あんなことやこんなことが!?」

 「通うっ!
  毎日この店に通うぞ、オレっ!」

 「うーん、この流れに乗りたい気持ちも無いわけじゃないんだけどね。
  やはり私には無理かな」

 セドリックさんだけは、他の男達から一歩引いているようだが。
 男達の願望は留まるところを知らない。

 「毎日犯してあげるからね、リアちゃん!」

 「あのおっぱいもけつも――げへへ、自由にできるわけかぁ」

 「まんこは駄目でも、けつなら構わないんだよな。
  くくく、滾ってきたぁっ!」

 そんな男達の欲望の塗れた視線を一身に浴びたリアさんは――

「――あっ!――ああっ!――あっ!――あぁああああっ!!」

 ――これからの自分の行く末を思っているのだろう。
 彼女は、私の上で幾度も絶頂を繰り返していた。



 第十七話 完
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