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第十一話 搾乳のススメ

③! 陽葵さん・リアさんの場合

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■挑戦編


 ここまで搾乳を続け、私の中にはある疑念が渦巻いていた。
 ――通常、まずありえない話。
 どう考えても勝算など無い。

 しかし、しかしそれでも彼なら!
 彼ならできるのでは!?

 居ても立っても居られなくなった私は、とうとう『それ』を実行に移したのだが――

「――やっぱり無理みたいですね」

「当たり前だボケェエエエエエ!!!」

 陽葵さんが私に向けて怒鳴り声を出す。

 今、私の目の前には上半身裸になり、搾乳機を胸に取り付けた陽葵さんがいた。
 僅かな可能性に懸け、彼からミルクを搾れないのかやってみたのだが――

「陽葵さんなら母乳を出せると思ったんですが」

「出る訳ないだろ! 出る訳ないだろ!!
 男が乳なんて出せるか!?」

 結果は彼の言う通り。
 陽葵さんの乳首からは、一滴もミルクは搾れなかった。

「前々から思ってたけどな!
 お前、頭おかしいぞ!?
 何でオレから母乳が出るなんて思えるんだ!?」

 そりゃあ、陽葵さんの見かけが超絶美少女だからなわけだが。
 容姿だけでなく、陽葵さんは下手な女性より余程感度がいいし。
 ひょっとしたら母乳も出るかもしれないと思った私を、誰が責められようか。

 一先ず、彼の口上に反論を試みてみる。

「陽葵さんも、私が乳を搾ることに抵抗しなかったじゃないですか」

「アホか! お前がいきなり人を縛り付けて抵抗できなくしたんだろっ!?」

 ……そう言えばそうだったか。
 陽葵さんからミルクが搾れるかどうか気になりすぎていて、彼を縄で縛り付けていたことをすっかり忘れていた。

「つーかさ、こんな訳の分からん装置どうやって用意したんだよ?」

「ああ、それは知人に譲って頂きまして」

「やっぱ碌な奴がいねぇな、お前の関係者! 特に男連中!!」

「いえ、そんなことは――」

 無いと言いたいが、ジャンさんとコナーさんがあの有様だったので、何を言っても陽葵さんにとって説得力はないだろう。
 私が口籠っていると、陽葵さんは何かに気づいたように、

「ん? ちょっと待て。
 ひょっとしてこの前の飲み会で飲んだあの牛乳……」

 この前の宴会とこの搾乳機との関係に気づいたようだ。
 私は陽葵さんの言葉に頷いて。

「――ええ、ご想像の通りです」

「うぇええええっ!!?
 オレら、ローラの母乳飲んでたのか!?」

 ――ああ、そっちを連想するのか。
 まあ私とエレナさんの関係を陽葵さんが知らない以上、そう考えても仕方あるまい。
 私としても、現在エレナさん関連の話は非常にデリケートな問題となっているため、あえて訂正はしない。
 ローラさんからも搾乳したこと自体は事実であるし。

「うああああ……今度、どんな顔してローラに会えば……?」

「まあ、普通にしていれば大丈夫ですよ。
 言わなければバレないですし」

「あっさり言うな、バカ野郎!!」

 怒号を響かせてから、陽葵さんは大きくため息をついて、

「……まあいいや。
 もう気が済んだだろ、この縄外せよ」

「そうですね、分かりました」

 私は装置の出力を最低から中程度にまで上げる。

「んぁあっ!!? ちょ、待てお前……あんっ……言ってることとやってることが違うっ……はぅううっ」

「せっかくですので、やれるだけはやっておこうと思いまして」

 より強く搾ってやれば、或いは。

 ただ、最大出力にはしない。
 陽葵さんは私の周りにいる女性の中でも、群を抜いて感度が高い。
 その辺に一番耐性のあるエレナさんであってもあの乱れ様。
 彼相手にそれをやったら、真面目に後遺症が残りかねないと考えたのだ。

「あっあっあっ……やば、い……んんっんっんんっ……で、出る、かも……あぁあんっ」

「え!? 本当に!?」

 思わず聞き返してしまった。
 自分でやっといて何だけれど、陽葵さん、母乳出ちゃうのですか?

「違、うっ……んぉおっおっおぉおおっ……そっちじゃなくって……あ、あぁあぁああっ!」

 違う?
 では、何のことだろう。

「ああっあ、あぁぁあああああっ! 出、るっ! あぁあああああああああああっ!!」

 びくっびくっと肢体を震わせる陽葵さん。
 しかし残念ながら、彼から母乳は出ていない。
 つまるところ――

「――乳首でイってしまったんですね」

 装置にスイッチを切りながら、私はそう呟いた。

「……はっ……はっ……だから、男から乳なんて出ないって……はっ……はっ……言ってんだろうが……はっ……」

「そのようですね。
 しかし――」

 私は陽葵さんのショートパンツの中に手を突っ込んだ。

「うぁっ!?
 何すんだよっ!!」

 陽葵さんが抗議の声を出すが、あえてそれを無視。
 私は手をさらに彼の下着の中に入れ、中の感触を確かめる。

「う、あぅうっ……そこ、弄る、な……はぅうう……」

 私の手で悶える陽葵さん。
 案の定、彼のそこは精液でぐちょぐちょになっていた。

 私は陽葵さんの目を見つめて、

「母乳は出なかったようですが――」

 そこで手を陽葵さんのパンツから引き抜く。

「――この通り、ミルクは出たようですね」

 陽葵さんに、精液塗れになって手を見せつけながら、私はそう言った。

「……あ、アホか……」

 顔を赤らめつつも、呆れるように陽葵さんは呟いた。
 ……確かにそうかもしれない。

「まあ、これで検証は終了ですね。
 お疲れ様でした」

「おう、今度こそちゃんと縄外してくれよな」

「はい、ですがその前に――」

 陽葵さんの精液に塗れた手を、彼の顔に近づける。

「これ、舐めとって頂けませんか?」

「――は?」

 何言ってんだこいつ、というような顔をする陽葵さん。
 だが私も引くわけにはいかない。

「陽葵さんのせいでこうなったわけですから、陽葵さんに処理して頂くのが道理ではないかと」

「何から何まで全部お前のせいだろうがっ!?
 ――っておいこら、汚い手で触ろうとすんな!」

「汚いなんて言わないで下さい。
 貴方の精液ですよ?」

 私は陽葵さんの口に無理やり手を突っ込もうとする。
 その内に陽葵さんも根負けしたようで。

「分かった!
 舐める! 舐めるから!
 だからいったん手引っ込めろ!!」

 ザーメンを舐めとってくれることを了承してくれた。
 私は、陽葵さんが舐めとるのにちょうどいい場所に手を出した。

「陽葵さんならやって頂けると信じていました」

「都合のいいこと言いやがって。
 ……うう、何でオレこんなことやってんだろ……」

 文句を言いつつも、陽葵さんは私の手を舐め始める。
 舌の感触がなんともこそばゆい。

「……んんっ……ぴちゃぴちゃっ……れろれろっ……うぐっ苦い……」

「このミルクは美味しくないのですか?」

「美味いわけあるかっ!
 うぅう……ぺろぺろっ……あむっ……んんんっ……」

 なんだかんだと言いつつ、精液の舐めとりを止めない陽葵さん。
 ――着実に雌犬としての階段を上がっているように思う。

「……れろ、れろっ……ほ、ほら、全部舐めとったぞ!
 これでいいんだろっ!」

「おお、綺麗になりましたね」

 私の手から精液が綺麗さっぱり無くなっていた。
 隅から隅まで、丁寧に舐めてくれたようだ。

「それでは、次はこっちを舐めて下さい」

「――へ」

 私は自分のイチモツを取り出し、陽葵さんに見せつける。

「お、お前、いきなりなんでっ」

「いえ、今度は私のミルクをご馳走しようかと思いましてね」

 戸惑う陽葵さんに、軽く説明する。
 彼は私の愚息を凝視しながら、

「ば、バカかっ! 男にちんこ舐めさせようとかっ!
 ……そ、それに何でこんなにおっ勃ててるんだよっ!?」

「勿論、陽葵さんに舐めてもらうためですよ。
 それにほら、貴方だって前、コナーさんに舐めて貰ったでしょう?」

 先日の宴会を引き合いに出してみる。

「!! あ、あれはその、これとは関係ないだろ!」

「でも、気持ち良かったんでしょう。
 コナーさんにしゃぶって貰って」

「ち、違っ! オレは別に…!」

「気持ち良くなかったら、射精なんてしませんよね?」

「あ、うぅ……」

 言葉に詰まる陽葵さん。
 正常な思考であれば、私の台詞にまるで筋が通っていないことに気づくのだろうが――幸い、今の彼にそこまでの思考能力は無くなっているようだ。
 搾乳されて絶頂した挙句、自分の精液を飲ませられれば、真っ当な思考ができなくなるのも仕方のないことだろう。

「く、黒田は、男にちんこ舐められて気持ちいいのかよ…?」

「男性全員に対してそうとは断言できませんが、陽葵さんには舐めて貰いたいですよ」

「…………わ、分かった。
 ……舐める」

「ありがとうございます」

 とうとうフェラすることを承諾してくれた。
 私はお礼を言ってから、肉棒を陽葵さんの目の前に突き出す。

「あ、あぁぁ……相変わらず、でけぇ……」

 その迫力に一瞬呆然とする陽葵さんだが――

「……あ、む」

 ――おずおずと愚息を咥えてくれる。
 そのままたどたどしく舌を動かしだすのだが――

「……ぺろっ……んんっ……ぺろぺろっ……んんんぅっ……」

「――ほぅ」

 無意識に、感嘆の息を漏らしてしまう。
 おそらくはこれが初めてのフェラであるにも関わらず、陽葵さんは的確に気持ちのいい部分を舐めている。
 彼が男だからこそ、同じ男の性感帯がよく分かるのかもしれない。

「……はむ、んっんんっ……れろれろっ……ちゅぱっ……ぺろっ……」

「……凄いですよ陽葵さん。
 素晴らしいフェラチオです。
 才能があるのではないですか」

「……褒められても、嬉しくねぇっつーの……はむっ……んんぅっ……」

 陽葵さんのフェラチオの良さは、的確な箇所を責めてくるだけでない。
 彼の舌は女性よりも力強く、それが女性からのフェラでは得られない快感に繋がっているのだ。

 しかし、陽葵さんは本当に男を悦ばせる才能に満ち溢れた人だな。

「どうですか陽葵さん、私のイチモツの味は?」

「……あむっ……ど、どうも、こうもねぇよっ……ぺろ、ぺろぺろっ……お前のちんこなんて……れろっ……
 ……臭いし、最悪だっつーのっ……ちゅぱ、ちゅぱちゅぱっ……んん、んっ……」

 言う割に、一心不乱に私の愚息をしゃぶる陽葵さん。
 臭いだの最悪だの文句をつけつつも、うっとりとした嬉しそうな表情をしている。

「……んんんぅっ……れろれろっ……はむ、んんっ……はぁああ……」

 私がそんな考え事をしている最中も、陽葵さんのフェラは続く。
 正直なところ、もうすぐにでも射精できそうである。
 それ程彼のフェラチオは気持ちの良いものだった。

「……そろそろ、射精しますよ。
 私のミルク、しっかり堪能して下さいね」

「……ぺろ、ちゅぱっ……御託はいいから……ん、うぅううっ……さっさと、出せよっ……ちゅっんんんんっ……」

 陽葵さんの舌遣いが激しくなる。
 私を射精させようと、必死なのだろう。

「……くぅっ!」

 彼の努力はすぐに実る。
 私は絶頂し、ザーメンをたっぷりと吐き出した。

「……んんっ! あ、あぁああああ……」

 口を大きく開けて、私の精液を残さず口に入れる陽葵さん。

「ん、んっんっ……んんっ……うぐぐ、に、苦い……」

 顔をしかめる陽葵さんだが、それでも全部飲み込んでくれたようだ。
 その徹底して男を悦ばせていく姿勢に、感動すら覚えてしまう。
 ……まあ、陽葵さん自身はそんなこと意図してはいないのだろうけれども。

「さて、陽葵さん。
 私のミルクも振る舞えたことですし、ここで終わりにしてもいいのですが……どうしますか?」

 思わせぶりな口調で陽葵さんに話を振る私。

「……勿体ぶった言い方すんなよっ……お前の、好きにすればいいだろ」

 陽葵さんは顔を私から目を背けながらも、お尻をもじもじと動かす。
 見れば、彼の股間もいつの間にやら膨らんでいる。
 私の陰茎をしゃぶりながら興奮したのか、これからの展開に期待をしているのか――それともその両方か。

 ともあれ、私の意図は十分に理解頂けたようだ。

「なるほど、では……」

 私は陽葵さんのパンツを脱がせて彼の下半身を露出させると――まだまだ萎えていない私の愚息を、陽葵さんのアナルへとぶち込む。

「んお、おぉおおおおおおっ!!」

 けたたましい喘ぎが、陽葵さんの口から漏れる。


 ――結局この後、私は陽葵さんの尻穴に3発程精液を注ぎ込むのであった。



■正しい乳の搾り方

 それからまた少々の日が経ち。
 ここは黒の焔亭。
 時刻は既に閉店間際。

 私は今、カウンターで店長と話をしていた。

「――って、もう薬全部使っちまったってのか!?」

「いやはや、お恥ずかしい……」

 話の内容は、搾乳機について。
 実は結構な頻度で搾乳してしまったため、もう母乳薬を切らしてしまったのだ。

「それで店長、もしよければ、薬を少々譲って頂けませんかね。
 勿論、その分のお代はお支払いします」

 特殊な薬であるため、一般的なお店で購入することもできず。
 こうして店長に薬を分けて貰えないか直談判している最中というわけだ。

 しかし店長は難しい顔をして、

「譲ってやりてぇのは山々なんだがな……
 あの薬、俺ももう持ってねぇんだよ」

 そんな台詞を口にした。

「……店長の方も、もう使い切ってしまっていましたか」

 考えてもみれば、ただ搾乳を楽しんでいただけの私でも薬を切らしたのだ。
 店長のように商売を目的としているのであれば、私より多くの量を使用していることは自明の理であった。
 であれば、私より多くの薬を所有していても、それを使い切るのにそう多くの時間はかかるまい。

 ……そのように私は考えたのだが、店長は私の考えを否定してきた。

「いや、違うんだよクロダ。
 薬を使っちまったわけじゃあなくてだな――」

 「――全部飲ませたのよ。
 こいつと、セドリックにね」

 突如後ろから声がかかる。
 ちょうど店の清掃をしていた、ウェイトレスのリアさんだ。

「……飲ませたのですか」

「ええ、飲ませたの」

 私の問いにそっけなく返すリアさん。

 何故、とは聞かない。
 装置を譲り受けた次の日の、店長とセドリックさんの惨状を見れば、自ずと分かろうというものだ。
 下手につついて、リアさんの逆鱗に触れるのもよろしくない。

「……あー、つまりそういうわけでな。
 お前に薬を渡すことはできないってぇわけだ」

「よく分かりました。
 ……試食させて頂いたデザートも、もう食べられないのですね」

 今後、搾乳はできないできないという事実も合わさり、大分気が落ち込んでしまう。
 だが店長はそんな私の肩を叩き、笑いながら言った。

「いやぁ、そんなことは無いぜ。
 今すぐには無理だが、あのデザートはその内また作ってやらぁ!」

「おや?
 薬を入手できる算段があるのですか?」

 アンナさんの店でも、入荷予定は無いと言われたのに。
 私の言葉に対し、店長は首を横に振って否定してから、

「よく考えてみろよ、クロダ。
 別に薬に頼らなくても、女から乳を搾る方法はあるだろうが」

「―――ああっ!」

 彼の台詞に、私もあることを思いつく。

「なるほど、“普通に乳を搾って”しまえばいいわけですね」

「その通りよぉ!
 薬が無くたって、孕ませてやりゃあ自然と乳も出るってぇ寸法よ!」

 考えてもみれば、子供を産めば女性は母乳が出るようになるのだ。
 母乳薬は、子供を産まなくてもミルクが搾れるようにするものでしかない。
 子供を作ってしまえば、乳を手に入れるのに何ら問題は無いのだ。

「へへ、まあ、待っててくんな。
 近いうちにリアの奴を孕ませて、ミルクを出せる身体にしてやるからよっ!」

「―――は?」

 店の掃除を再開していたリアさんが、店長の台詞を聞きとがめた。

「あんた、何言ってんの?
 なんであたしがあんたの子供なんか産まなくちゃなんないのよっ!」

「なんでって……お前から母乳を搾るためだぜ?」

「だから!
 なんであたしがそんなことの協力をしなくちゃいけないのかって聞いてんの!!」

「そうは言ってもなぁ……薬が無くなっちまった原因はお前にもあんだぜ、リア?
 ちったぁ手伝ってくれたって罰は当たんねぇだろ?」

「ふ・ざ・け・る・なっ!!」

 リアさんの怒号が店に響く。
 店長の言い分が、余程腹に据えかねたらしい。

 ……しかし、少し前までの彼女ならここらで鉄拳を飛ばしてもおかしくないはずだが。

「ああ、ひょっとしてガキの心配してんのか?
 そこは安心しろよ、その辺の責任はきっちり取ってやっから」

「があああああっ!!
 あんた、さっきからわざとあたしの話をはぐらかしてるでしょっ!!」

 リアさんが雄叫びをあげる――が、それでも店長に手を出すことはしない。
 そんな彼女を見て、店長はニヤニヤと笑っている。

「いや、だってなぁ……」

 店長はリアさんに近寄ると、無造作に彼女のスカートの中へ手を突っ込んだ。

「うっ……あ、あぁっ……」

「お前のここ、びしょびしょに濡れてんじゃねぇか。
 本当は、ガキを孕みてぇんだろ、な?」

 股間を弄られて悶えるリアさんを、いやらしい目で見ながら笑う店長。
 ――ふと、疑問が浮かんできたので私は口に出してみる。

「しかし、孕ませると言ってもどうするのですか?
 別に、中出しなんて今までもしてきたでしょう?」

 直接その現場を見たことはないが、他のウェイトレスの膣に精液を注いでいるところは何度も目にしている。
 リアさんだけ例外というわけもないだろう。
 ということは、子供を作るといっても、やることは今までと変わらないのではなかろうか。

 店長は私の言葉に、少しバツが悪そうにしてから、

「実は、俺も確実にガキを孕ませる方法があるってわけじゃあねぇんだ。
 ただよ、俺は今までは危険日とかにゃあ中に出さないようにはしてたんだがな?」

「――ああ、その辺り配慮はしていたのですね」

 それは初耳だった。
 この人はいつでも構わずヤリまくってるとばかり。

「当たり前だろう。
 ガキ出来ちまったら、店の働き手が減っちまうんだぞ?
 親としての責任も果たさなきゃならねぇしな……基本的に、孕ませたら面倒なんだよ」

 そうだったのか。
 女性関連においても、最低限の責任感は持っていた模様である。

「ただまあ、母乳が必要ってんならそうも言ってらんねぇ。
 これからは危険日だろうと何だろうと、毎日こいつに精を注いでやろう、と。
 まあ、そういうことだ」

「―――な。
 そんな、こと…!」

「あんだよ。
 お前だって嬉しいだろ?
 毎日、俺に抱かれるんだからよ」

「う、嬉しいわけないでしょ!
 あんたなんか――あっあぁああああっ!?」

 店長はスカートの中に挿れた手を激しく動かして、怒鳴りだすリアさんを黙らせた。

「かーっ! いつになっても素直になんねぇ女だな!
 お前の身体は俺のちんこが欲しいってこんなに愛液垂れ流してるっつうのによぉっ!
 ……おいクロダ、お前もなんか言ってやれよ」

 話を私に振る店長。
 リアさんも私を振り向き。

「……く、クロダ」

 何かを期待するような目で私を見つめる。
 私は少し考えてから、

「――ふむ。
 またリアさんの母乳デザートが食べれるのを、楽しみにしてますよ」

「っっっ!!!」

 私の言葉を聞くと、リアさんは身体を大きく震わせた。
 それを見て、店長が笑い出す。

「はっはっは、おいおいクロダ、こいつ見ろよ。
 今のお前のセリフだけで、派手にイキやがったぜぇ!?」

 私にもリアさんの股間が見えるように、スカートをめくる店長。
 そこからは、確かに大量の愛液が滴り落ちていた。
 本当に、私の言葉だけで絶頂してしまったらしい。

「さて、と。
 思い立ったが吉日ってなぁ。
 早速だが、俺ぁ今からこいつと子作りしてくるぜ」

 絶頂のせいで呆然としているリアさんを抱き抱える店長。
 店にある私室かどこかで、性交するつもりなのだろう。
 そんな彼に、私は一つ提案をしてみる。

「何でしたら、私も手伝いましょうか、子供作り」

 途端に、リアさんの目に輝きが戻った。

「!! そう、それ…!
 それなら、あたし…!」

 だがそんなリアさんの言葉を遮り、店長が言葉を放つ。

「ああ、そりゃダメだクロダ。
 目的はあくまでこいつの母乳だからな。
 ガキができても、そいつにゃ母親の乳をあげられねぇっつうことになる。
 自分のガキならともかく、お前の子供にそんな境遇を味わわせるわけにゃいかねぇ」

「……そうですか。
 それは残念です」

 本当に変なところで律儀な人である。

「――そ、んな」

 そしてリアさんの顔は、絶望した表情へと変わる。
 そんな彼女に気づいているのかいないのか、店長がさらに私へ声をかけてきた。

「ああ、つってもこいつと遊ぶなって言ってるわけじゃねぇぜ?
 これからもこいつで楽しんでくんな」

「ええ、それは勿論」

 例え禁止されたとしても、隠れてヤってしまうだろう。
 それで子供ができたら――その時はその時だ。

「そんじゃ、俺はそろそろ行くわ。
 お前はどうする?
 まだ他の従業員は残ってるし、しばらくここで飲んでてもいいが」

「いえ、今日はこれから人との約束がありまして。
 私もお暇しようかと」

 今夜はローラさんのところに泊まる約束をしているのである。
 余り遅くなるのはよろしくない。

「そうか、それじゃ引き留めるわけにゃいかねぇな。
 気を付けて帰れよ。
 ――おら、リア、お前はこっちに来るんだよ!」

「……や、だ。
 あたし、こんな……本当に、孕まされるなんて――あっあっあぁっあああっ!」

 再び、店長がリアさんの股間を責めだした。

「はっ! ちょっと弄りゃあすぐヨガってアヘアヘ言い出す肉便器の分際で、何言ってやがる!
 早く歩け! 俺はもう待ちきれねぇんだっ!!」

「んぁあっあっあっあっあっ! おぉお、おおっおっおっおっ!!」

 そのまま喘がされ続けながら、リアさんは店の奥へと連れられて行くのだった。



 ――その夜、彼らがどうなったのかを私は知らないが。
 リアさんは、その後も黒の焔亭で仕事を続けている。



 第十一話 完






■おまけ


 ――後日談ではなく、陽葵さんの搾乳を終えた次の日の話。
 私と陽葵さんは、いつものように迷宮へ探索に向かっていた。
 ただ、この日は少々所用があったので、まずギルドに行って雑務をこなしていたのだが――

「……うーん」

 ギルド内を歩いていると、陽葵さんがどうも浮かない顔。
 体調でも悪いのだろうか?
 気になった私は、彼に尋ねてみる。

「どうされました、陽葵さん?」

「……いや、朝起きてから、妙に身体がだるくってさ」

「そうだったのですか!
 風邪にかかりでもしましたかね?
 何か心当たりはありますか?」

 だが陽葵さんは、心配する私を冷ややかな瞳で見つめ、怒鳴りつける。

「十中八九、お前が飲ませた薬が原因だろーが!?」

「……その可能性もありますね」

 女性向けの薬を男性である陽葵さんに飲ませたのは流石に不味かったか。

「あー、くそ。
 踏んだり蹴ったりだ」

「母乳も出ませんでしたしね」

「そこは心底どうでもいい」

「なんと!?」

 そう話し合っていると、陽葵さんの身体が急にふらついた。

「陽葵さん!?」

「……あ、う。
 なんか、本格的にやばそう……」

「ホールにあるソファーで少し休ませてもらいましょうか」

「……うん、そうする」

 私は陽葵さんを抱きかかえると、ホールへと向かう。
 すると歩き出してすぐに、

「お、おい、黒田」

 陽葵さんが戸惑ったような声を出してくる。

「どうしました?
 体調に変化でも?」

「どうしたってゆうか――なんでこんな抱え方すんの、お前?」

 私は今、陽葵さんの膝の近くと肩の近くを持って抱えている。
 お姫様抱っこ、と言った方が分かりやすいだろうか。

「何か問題が?」

「いや、この抱かれ方は、流石にちょっと……」

「まあまあ、少しの間なんですから我慢して下さいよ」

「むぅ……」

 渋る陽葵さんを説き伏せ、廊下を進んでいく。
 すると――

 「おいおい、見ろよアレ」

 「お、クロダとムロサカか。
 ……見せつけてくれるねぇ」

 「あの二人、付き合ってるのかな?」

 ――すれ違う人達の話声が聞こえてきた。

「やっぱ下ろせぇ!!」

「暴れないで下さい、陽葵さん!」

 じたばたする陽葵さんを押さえながら、私はホールへと進むのであった。



 無事にホールへ到着した私は、陽葵さんをソファーに寝かす。

「どうです?
 少しは楽になりましたか?」

「……うう、なんだかさっきより酷くなってるかも」

 私に運ばれている際、叫んでいたことが原因なのではないかと思うが、口には出さない。

「具体的に、どんな症状が出ていますか?」

「全身がなんだか火照ってる感じ。
 あとは――うぁっ」

 突如、陽葵さんが苦しみだす。
 症状が悪化しているのか?
 ……今日の探索は中止し、医者に診せた方がいいかもしれない。

「大丈夫ですか、陽葵さん!」

「なんか、胸、が、苦しい……」

「――胸?」

 そこで、私の中である一つの事柄が閃いた。

「ちょっと失礼します」

「あ、おい、こらっ!?」

 私は手早く陽葵さんのシャツを捲り、彼の胸を観察する。
 染み一つないきめ細かな肌に、形の整った桃色の乳首……いつ見ても、男のものとは思えない扇情的な美しさだ。
 このままずっと鑑賞していたくもあるが、私はその欲求を抑え、陽葵さんの胸を触ってみる。

「んっ……って、いきなりなにすんだ、お前!」

「触診みたいなものです。
 少々静かにしていて下さい」

「えー?
 そんなんできるのかよ」

 適当にでっち上げた理由に、疑いながらも不承不承納得してくれた陽葵さん。

 彼の胸はいつもより張っているような感触で、ほんの僅かにだが膨らんでいるようにも見える。
 まるで、何かが詰まっているような――

「もしやこれは…!」

 その感触に確信を得た私は、陽葵さんの胸をゆっくりと揉みだす。

「……あぅっ……黒田、お前何して――あんっ」

 彼の抗議を無視し、なおも胸を揉み、乳首もこりこりと摘まんでやる。

「はっ……あっ…あっあっあっ……止め、周りに人、いるだろっ……はぅうっ……」

 呼吸が荒くなっていく陽葵さん。
 彼は周囲に人が居ることを懸念しているようだが、幸いなことに今ホールには僅かな人影しかない。
 騒がなければ、気づかれることも無いだろう。

「……んんっ…あ、うぅぅ……黒田、何か変っ……あ、んんっ……胸が、変な感じ、にっ……」

 陽葵さんが感覚の変化を訴えてくる。
 そろそろ――なのだろうか?
 私は彼の胸を揉む力を強くする。

「うぁっ……なんだ、これっ……あんっ……何か、来るっ……んんんぅっ……黒田、オレ、何か来ちゃうっ!」

「いいんですよ、陽葵さん。
 その感覚に身を任せて下さい」

 彼を安心するように声をかける。
 陽葵さんの身体は、しっとりと汗ばんできた。

「あ、あぁあっ……何なんだよっ……んぁああっ……う、あっ……ああっ…来るっ!」

 びくっと陽葵さんの身体が震える。
 すると――彼の乳首から、白い液体が噴出した!

「出た!
 出ましたよ陽葵さん!!」

 ついつい私は大声を出してしまう。
 一方、陽葵さんはまだ状況を把握していない様子。

「あ、あぁ……な、何…?」

「母乳ですよ!
 陽葵さんも出せたんですっ!」

「は?
 …………え?」

「薬の効果はあったんです!
 陽葵さんが男性だからなのか、単に体質のせいなのか――効果が出るのが遅かったようですね」

 言いつつも、私は胸を揉み続けた。
 陽葵さんの乳首からは、次から次へとミルクが流れ出てくる。
 試しに、私は陽葵さんのミルクを舐めてみた。

「ふむ……ローラさん程の濃厚さはありませんが――すっきりとして飲みやすいですね。
 それでいて味もしっかりしており、いくら飲んでも飽きは来ないというか」

「な、何冷静に解説してんだ!」

 顔を赤くして怒鳴る陽葵さん。
 しかし私は感動に浸り、それどころではない。

「――――あんっ!」

 陽葵の乳首に吸い付くと、その刺激で彼は喘ぎを漏らす。
 私の口内には陽葵さんのミルクが注がれ――ううむ、美味しい!

 そんな風に楽しんでいる私の元へ、周囲からの2,3人程の声が聞こえてきた。

 「お、おい、あそこで女の子のおっぱい揉んでる奴がいるぞ!?」

 「マジかよっ!!
 ……うわホントだ! しかも乳吸ってやがんぜ!?」

 「こんなとこで何やってんだ!!
 衛兵呼ぶか!?」

 …………あ。
 まずい、調子に乗って騒ぎ過ぎた!

「しまった!
 私は陽葵さんから搾乳しているだけだというのに――このままでは官憲につき出されてしまうっ!?」

「いや、男相手だろうと、これ普通に犯罪だろ。
 ……んんっ……ていうかお前、いい加減胸から顔離せよっ!」

 私が陽葵さんの乳首をぺろぺろ舐めながら戸惑っていると、周囲からさらに声が聞こえてくる。

 「ん? おい、男の方はクロダじゃないか?」

 「あ、本当だクロダさんだ。
 しかも女の方は……連れのムロサカか」

 「なんだよ、じゃあいつものクロダの病気か」

 「あいつも好きだなぁ…」

 それで納得したのか、その方々は立ち去って行った。
 ――私達への関心を無くしたらしい。

「……何でしょう、この展開」

「……オレが聞きてぇよ」

 残された私達は、呆然と言葉を交わす。

 ちょっと待ってちょっと待って。
 彼らにとって、私がこういう行為をするのは普通だと思われているということ?

「お前、他の冒険者からどんな目で見られてんだ?」

「…………どんな目で、見られているのでしょうね」

 ジト目で睨む陽葵さんから投げかけられた言葉に、私は返す言葉が無かった。

 変態行為のヤリ過ぎは、控えた方がいいのかもしれない――特に人前では。
 あんまりな周囲からの反応に、私の胸にそんな思いが去来したのだった。



 おまけ 完
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