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第十話 店長の新メニュー
②! 新メニューのお披露目
しおりを挟むホールに行くと、お客はもうほとんど居ないようだった。
店の片付けも大凡終わっている。
「お、クロダ君じゃないか」
適当な席に座っていようと思っていた私に、声をかけてくる人がいた。
黒の焔亭でも、そしてローラさんのお店でも馴染みの顔――セドリックさんだ。
「おや、セドリックさんではないですか。
そちらも店長の新メニューを?」
「うむ、店長に誘われてね。
ここの料理はちょっとしたレストランよりも美味しいからなぁ……ふふふ、楽しみだよ」
「ええ、そうですね」
セドリックさん、実はなかなかのお金持ちなお方だったりする。
舌の肥え方は現代日本人に勝るとも劣らないし、ウィンガストにある高級料理店にも大体行ったことがあるという話だ。
そんな彼が太鼓判を押すのだから、店長の料理の腕はこの町の料理人の中でも上位に入るということだろう。
店長を待つ間、私はセドリックさんと雑談を楽しんだ。
色々と近況やら何やらを話していると、彼からこんな話題が飛び出す。
「そういえばクロダ君、最近ローラさんとはどうかね?
式の日付とかは……」
「いやいや、私とローラさんはそういう関係ではありませんよ!?
あの、余りそのような話を広められると彼女に迷惑が……」
「何が迷惑なものか。
男女の仲を他人である私がとやかく言うのは無粋だと分っちゃいるがね、君とローラさん、傍から見ればこの上なく理想的なカップルだよ?」
「いえ、ですから……」
セドリックさんは、ことあるごとに私とローラさんをくっつけようとしてくる。
彼がローラさんにしてきたことを考えれば、気持ちも分からなくもないが……
しかし、セドリックさんがどう言おうと、私とローラさんはただの――――むむ?
……私とローラさんは今、どういう関係にあると言えばいいのだろう?
身体だけの関係――違う。
それは、流石に違う。
違うはずだ。
そんな風に、言ってはいけないと思う。
だったら――
「お、待たせちまったな二人とも!」
考えがまとめられず悩んでいたところへ、店長がやってきた。
――とりあえず、この案件を考えるのは今日は止めておこうか。
「おお、店長!
待っていたよ!」
「お待ちしていました」
「いやあ、すまんすまん。
思いのほか時間かかっちまってなぁ」
店長はそう言うが、実際のところそれ程待たされたわけでは無い。
彼なりに、急いで試作料理を作ってくれたのだろう。
「そんじゃ、早速試食してもらおうじゃねぇか。
こいつが今回の新作メニューだ」
「ほう」
「おお」
店長が持ってきたくれたのは、なんと意外なことにスイーツだった。
フルーツやシャーベット、アイスやクリームで盛り付けられた、パンケーキである。
……こんなことを思ってしまうのは非常に心苦しいのだが、正直なところ、店長のイメージに全くもって釣り合わない。
「こ、これはまた、意外な料理ですね」
「全くだ」
セドリックさんも私に同意してくれた。
「女体盛り位出してくれるかと期待していたんだが…」
訂正。
私とは違うことを予想していたらしい。
店長はセドリックさんを睨んで。
「……てめぇ、俺の店をなんだと思ってやがんだ?」
「ウェイトレスの女の子といいことができるお店」
即答するセドリックさん。
一切の迷いが無い。
「よしわかった、セドリックお前もう二度とウチに来るんじゃねぇぞ。
町で声をかけてくるのも禁止だ、もちろん、うちの従業員に対してもな」
「じょじょじょ冗談だよ!?
イッツァジョーク!
雰囲気を盛り上げようとした大人のコミュニケーションってやつさ!!」
慌てて言い訳するセドリックさん。
……まあ、流石に本気でそう答えたわけでは無いと思うけれども。
「ったく、俺がそういう話が好きじゃねぇことは知ってんだろうが。
何年の付き合いだ、おい?」
「いやいや、長い付き合いだからこそだね、新たな話題をふっかけてみただけなんだよ。
クロダ君なら分かってくれるだろ?」
私に助け舟を要求するセドリックさん。
それに対して私は。
「いえ、今の冗談は頂けませんね。
真面目に料理に励む店長に対して失礼かと」
「クロダ君までっ!?」
ズバっと切り捨てた。
とはいえ、店長がここまで忌避するとは実のところ意外だった。
この人の事だから、少しくらいそういうエロ方面にも料理を使っているのかと思っていたのだが。
「いいかセドリック、女体盛りってのはな……料理を中途半端に温めちまうんだよ!」
……ああ、そっち?
「出来立ての熱い料理を盛るわけにはいかねぇし、かといって冷えた料理を乗っけたら温くなっちまう。
要は人肌の温度が適した料理にしか使えねぇ皿なわけだ。
使いにくいったらありゃしねぇ!」
店長がセドリックさんに言い放つ。
やはり店長は店長だった。
ここまで語るからには過去に色々試行錯誤したこともあるのだろう。
「……では、体温の低い氷精族の女性ならば?」
ふと思いついたことを私は提案してみた。
「ん? ああ、そうだなぁ、確かに氷精族なら皿に使えるかもな。
だがあいつらエルフ並みに数が少ない種族だぜ?
お前の知り合いに居たりするか?」
「いえ、残念ながら。
氷精族が冒険者をしているという話も聞いたことはありませんね」
私達が今語っている氷精族というのは、氷や冷気を扱うスキルに長けた種族のこと。
巨人や獣人、エルフに並ぶ、人によく似た亜人種族である。
その肌は雪のように白く、体温も氷のように冷たいと聞く。
ただ、店長の言うように非常に希少な種族で、普通に生活していればまず会うことが無い方々でもある。
そんな会話へセドリックさんが割って入り、
「それなら今度氷精族の女を入荷する予定があるかどうか調べておこう。
いい子がいたら落札しておくよ」
「…………」
「…………」
私と店長は、セドリックさんから一歩離れた。
お互いに顔を近づけて、
「……聞きましたか。
喜々として人身売買の話しだしましたよこの人」
「……ああ。
前々からやべぇとこに手を出してるとは思ってたが、ここまでとはな」
「イッツァジョォォォオオオオオオオック!!!!!」
どでかい声で先の発言が冗談であることを主張するセドリックさん。
いや、冗談であんなことをすらすらとは言えないだろう。
……まあ、それはそれとして。
「一先ず試食の方に入りませんか。
余り遅い時間になってもいけませんし」
「それもそうだな。
じゃあ二人とも、食ってくんな!」
「さらっと流してくれるねぇ……
そんな君達が大好きだけど、私の心は結構ズタボロだよ?」
少し涙目でセドリックさん。
しかし心が傷ついた理由の大半は自身の失言にあるので、残念ながら同情はできない。
そんなセドリックさんはさておき、私はデザートを食してみた。
「…………おおっ」
「…………ふむっ」
私とセドリックさんが同時に感嘆の声を上げる。
これは――美味い。
焼きたての暖かいパンケーキはふわふわで、それ単体でもどこか濃厚な味わいを出していた。
そこへ冷たいアイスや舌触りの良いクリームを添えることで、実よい甘味が加えられている。
ともすれば甘すぎる感もあるところへ、フルーツの酸味が程よいアクセントとなっており……
総合して様々な味や触感が楽しめる、非常にバランスの良いスイーツが完成されていた。
「いけますね、これは。
私は甘党というわけでは無いのですが、これなら何枚でも食べられそうです」
「甘さが適度に抑えられているのがいいね。
男性にも受けは良さそうだ。
盛り付けも綺麗だから、女性受けも十分狙えるだろう」
試食した二人とも、大絶賛である。
このいかつい店長が、ここまでのスイーツを作り上げるとは。
人は見かけによらないものだ。
「しかし……なんだろうね、このデザート、今まで私が食べてきたものとはどうも違う気がする。
具体的にどこが違うと言えないのがもどかしいのだが、味に深みがあるというか」
「セドリックさんも気づきましたか。
このケーキ、どうにも普通のケーキとは違う、不思議な味わいがあるんですよね。
しかし決して不快になるような違和感ではなく、それによって旨味が増しているように感じます」
私とセドリックさんが、同じことを言及した。
おそらくそれこそが、このメニューの肝。
店長があえて試食をする機会を設けた理由なのだろう。
「へっ、やっぱ気づきやがったか。
大した舌してるぜ、お二人さんよぉ。
このメニューにはな、新しい食材を使ってるんだ」
「……新しい食材ですか」
「何かね、それは」
二人の視線が店長に集まる。
店長は少しもったいぶってから、口を開いた。
「本当は企業秘密ってことにしときたいんだがな。
常連であるお前らには特別に教えてやらぁ。
……こっちに来な、その食材を見せてやる」
店長は私達を手招きし、そのまま厨房の方へ向かっていった。
「……クロダ君、何だと思う?」
「……分かりません。
せっかく店長が教えてくれると言うのですし、それに甘えさせてもらいましょう」
私とセドリックさんは互いに顔を見合わせたあと、店長を追ったのだった。
――そして、厨房の奥で私たちが見たものとは!!
「あっあっああっあっああぁあっあっあぁあぁああっ!!!」
上半身を裸にされ後ろ手に縛られ、胸には搾乳機のようなものが付けられたリアさんの姿だった。
――それで、私達は合点がいく。
「なるほど、違和感の正体はこれだったか!」
「通常のミルクではなく、人から搾った乳を使ったからこその、あの味わいだったのですね!」
店長は私達の言葉に満足そうに頷き、
「ああ、その通りよぉ。
俺もな、最初は人のミルクなんざどんな味がするか分かったもんじゃねぇと思っていたんだが……
いざ料理に使ってみれば、これが美味いの何の。
先入観ってぇのは良くねぇなぁ」
そこでふと、声のトーンを変えて。
「――この光景見てつっこみ入れる奴は誰もいねぇのな」
「は? この状況にどこかつっこみどころがあるのかね?」
「それを期待しているのなら、明らかに人選が間違ってますよ」
「……それもそうか」
だって、ここに居る3人は全員変態だもの。
常識的なつっこみなどするわけが無いんだもの。
「んぁぁあああっ! おっあっおおっおおおっあっあぁぁあっ!!」
この搾乳機、形状は人用よりも牛用のものに近い。
牛用のものほど大きくは無いが。
おっぱいに付ける部分は透明な素材でできており、リアさんの乳首から時折ぴゅっぴゅっと乳が出るところを確認できる。
出てきたミルクはチューブでタンクまで運ばれ、そこで貯蔵される仕組みのようだ。
ミルクの勢いや、乳首の引っ張られ具合を見るに、結構な強さで胸を搾っているらしい。
「……しかしこれどういう仕組みなんですか?
リアさん、まだお子さんはいませんでしたよね」
赤ちゃんがいなくてもミルクを出せるという体質でも無かったはず。
今まで彼女の乳首から乳が出るところは一度も見たことが無い。
そんな私の疑問を店長が解決する。
「ああ、これは魔法の搾乳機でな。
おっぱいが出ない女でも、これを使えば搾乳できるようになるっつぅ代物だ」
「………魔法の搾乳機、ですか」
何とも胡散臭いネーミングの装置なのだが。
そんなものを使って、リアさんは大丈夫なのだろうか?
「乳を搾る女には、予め二種類の薬品を飲ませておくんだがなぁ。
片方の薬でその女の脳に、自分には子供がいるんだと錯覚させるらしいんだわ。
そうすることで、女がミルクの作れる身体になるんだと。
で、もう片方の薬でミルク作るのを促進させるらしい。
最後に専用の搾乳機を使えば、乳をビュービュー出す雌牛の完成ってぇわけだ」
「ほほう」
何となく、理屈は通っているように思える。
細かいところの科学的な整合性は測りかねるが、たとえ取れていなかったとしても、それこそ魔法の力ということだろう。
「あ、あぁああっあっあっあっあっあっ!」
ちなみに先程から喘いでいるリアさんだが、目の焦点が完全に合っていない。
おそらく、長い時間ミルクを絞られていたため、その刺激によって既に意識が朦朧としているのだろう。
その証拠に、部屋に来た私達の存在を、彼女は未だ認識できていないでいる。
――いったい幾度絶頂をしたことやら。
「……薬の副作用が気になるところではありますね」
「一応、臨床実験も何度か行ったって話だぜ?
セレンソン商会を通して買ったもんだし、変なもん掴まされちゃあいねぇだろ」
アンナさんのところから仕入れたのか。
それならば、怪しいものではあっても不良品ということはあるまい。
その辺りの信用はしっかりとしている人だ。
「しかし、実にけしからん装置だね。
女性から乳を搾ることを目的に作られたとは」
セドリックさんが珍しく真っ当な意見を言う。
ただ、顔はいやらしく笑っているので、別に本気で批判しているわけではなさそうだ。
「同感です。
開発者は余程の変態性を持つ方なのでしょう」
「さぞかし心の汚れた奴なのだろうね、全く!」
私もセドリックさんに便乗していく。
素晴らしい発明だとは思うが、それはそれとして開発者の変態っぷりや推して知るべし。
私達と同類な方なのだろう。
そんな私とセドリックさんへ、店長が装置の解説を付け加えてきた。
「いや、先天的にせよ後天的にせよ、いろんな事情でおっぱいが出なくなった女っているじゃねぇか。
そういう女を治療するために作った、医療機器だそうだぜ」
………なんと。
「…………心が汚れていたのは私達の方だったようですね」
「…………そのようだね」
偶にまともなことを言えばすぐこれだ。
見たことも無い開発者を、勝手な正義感でけなした罰というものか。
「あっあぁあっあっあっあっあっあぁああっ!!!…………あ――――」
一際大きく声を上げると、リアさんは仰向けに倒れた。
絶え間ない乳首への快感に、とうとう意識を手放してしまったようだ。
「……倒れてしまいましたね、リアさん」
「あー、結構頑張ったんだけどなぁ。
リアの奴ももうダメかぁ」
私のつぶやきに、店長が応える。
「リアさん“も”――ということは、他のウェイトレスさんもこれを?」
「ああ。
ほれ、そこに一人倒れてるじゃねぇか」
言われて部屋の隅を見ると、ウェイトレスさんが一人、上半身裸の状態で倒れていた。
ウェーブのかかった長い金髪が特徴的な女性で、この店の従業員の中では一番の年上。
ついでに言うと、ウェイトレスの中で一番おっぱいが大きい人でもある。
そんな彼女が、時折びくっと痙攣する姿は実に艶めかしい。
「なかなか乳牛のように搾るわけにはいかないのですかね」
「そうさなぁ。
やっぱり人にとっちゃ刺激がでかすぎるのかもな」
そう言うと、店長は搾乳機のスイッチを押して動作を止めた。
――せっかくなので、私は装置の方もまじまじと眺めてみる。
「……よくよく見ても、既存の搾乳機とそう作りは変わらないですね」
「機能としては搾乳機から全く逸脱しちゃあいねぇからなぁ。
人間用だからって、敢えて斬新なデザインにする必要もなかろうよ」
「それもそうですか」
……これと薬があれば、色々な女性のミルクを味わえるわけか。
私の脳裏には、ローラさんやエレナさん、その他諸々の女性の顔が浮かんできた。
ついでに陽葵さんも……いや、いくら彼でもこれは無理か?
そうやって魔法の搾乳機をじっと見る私に、店長が聞いてきた。
「……クロダよ、それが気になるか?」
「ええ、まあ。
少し、使ってみたくはあります」
私の言葉を聞くと、店長はにやっと笑う。
「へっへっへ、お前ならそう言うと思ったぜ。
実はこの機械、何個かまとめて買っちまっててなぁ。
その内の一つをお前にやるよ。
勿論、薬も一緒にな」
「はい?」
突然の申し出に私は驚いた。
そう簡単に人にあげられる程、お手軽なお値段の装置には見えないのだが。
「悪いですよ、そんな!」
「いいっていいって。
遠慮すんな!」
「しかし……」
渋る私だが、店長はなおも畳みかけてくる。
「お前にゃ色々世話になってんだからよ。
まあなんだ、日ごろの感謝のしるしみたいなもんだと思って受け取ってくれって」
「……せめて代金を払うわけには」
「変なとこ律儀だなお前も!
タダでやるっつってんだから喜んで受け取れよ!」
拒み続ける私に、とうとう店長が怒鳴りだす。
そうは言っても、高価なものをそうほいほい簡単には受け取れない。
「クロダ君、人の厚意は素直に受け取るべきだぞ。
君のそういう、ある種の誠実さは美徳ではあるが、だからといってそれに拘り相手の厚意を固辞しては失礼にあたる」
やや意固地になっていた私に、セドリックさんが助言を飛ばしてくれた。
――確かに、そういう考えもあるか。
「……分かりました、店長。
ありがたく受け取らせて頂きます」
「へ、最初からそう言えってんだ。
店の倉庫に積んであるからよ、適当に一つ持って帰んな」
「はい」
……思ってもみなかった貰いものをしてしまった。
店長はああ言うものの、今度何かでお返しをしなければいけないだろう。
私と店長の会話に決着がつくと、今度はセドリックさんが装置を触りだした。
「ふむふむ……ここのチューブを通ってミルクがこっちに溜まって……このダイヤルはなんだい、店長?」
「ああ、そりゃあ乳を搾る力加減を調整する目盛りだな」
ふむ、人に合わせて吸引力を調整することができるのか。
セドリックさんは店長の説明を受けると視線をそのダイヤルに戻し、
「ほうほう……ん? まだ最大にはなっていないようだね」
そう言って、ダイヤルを弄って出力を最大にしてから、装置のスイッチを入れた。
「んぉおおおおおおおおおおっ!!!!? おっおおおっおおっおぉぉおおおおおおおおおっ!!!」
次の瞬間、けたたましい叫び声が、リアさんの口から吐き出される。
「おおおいっ!!?
セドリック、お前なにしてくれてんのっ!!?」
「……こ、効果覿面だね、こりゃあ」
「効果覿面、じゃねぇだろぉっ!!
お前、うちの従業員ぶっ壊すつもりかよぉっ!!」
店長の慌て様を見るに、最大出力での稼働は相当な負担を女性に与えるようだ。
直前まで気絶していたリアさんがいきなり覚醒し、おたけびを上げ続けているのだから、その刺激の強さが分かろうというものだ。
「で、でもほら、またリアちゃんからミルクが出ているよっ」
「んん?
……お、本当だ」
セドリックさんの指摘でリアさんのおっぱいを見てみれば。
「おおおっおぉっおぉおおっおっおっおっおおおっ! おおおおおっ!!」
気絶する前以上の勢いでミルクを出していた。
想像を絶する刺激によるものか、口は半開きで目は白目をむきかけていたが。
「……もう限界だとばかり思ってたんだが、俺の一方的な思い込みに過ぎなかったわけか。
へへ、リアのやつ、なかなかやるじゃねぇか。
これからはウェイトレスじゃなくて、乳牛として使ってやってもいいかもしれねぇな」
「そ、それは困るよ店長!
彼女は私達お客のアイドルなんだから!
リアちゃんのまんこの良さは店長だってよく知っているだろう!?」
「いや、しかしな。
実際問題、うちのウェイトレスの中じゃあいつの乳が一番うめぇんだよ。
胸は特別でけぇってわけでもねぇのに、ミルクは人一倍濃厚なのを出しやがるからなぁ」
「でもねぇ、店長――」
二人がリアさんを雌牛にするか、肉便器にするかで熱い議論を交わす。
あることに気づいた私は、そこへ口をはさむことにした。
「白熱しているところ水を差す形で恐縮ですが――リアさん、暴れ出してますよ?」
「お?」
「へ?」
私が指さした方向を二人が見る。
そこには――
「んがぁあああああああああっ!! おっ! おっ! おおっ!! あぎぃいいいいいいいいいいっ!!!」
――涙と涎を垂らしながら、身体をばたつかせるリアさんがいた。
乳首にかかる刺激から逃れようとしているが、今のところ縄で手を縛られているためそれは叶っていない。
しかし……
「……縄、千切れていってますね」
「あ、荒縄で縛ったはずなんがなぁ……」
「な、なんという怪力…!」
リアさんの腕力に一同驚愕。
人間の力で無理やり切れるものなのか、あれ。
「おおっ! おおおっ! おっ! おぉおおっ!! んぐぅううううううっ!!」
ミルクを絞られながらもさらに暴れるリアさん。
――最初に我に返ったのは店長だった。
「や、やべぇっ! このまんまじゃ装置壊されちまうっ!」
リアさんを取り押さえるべく、彼女の元へ駆ける――が。
「ああっ! あぁあぁあああああっ!! ああぁあああ―――!!!」
「ぬぉおおおっ!?」
体格のいい店長が上から抑えつけようとしているのに、なおリアさんの動きは止まらない。
「な、なんつう馬鹿力だ……
セドリックっ!!」
「心得たっ!!」
呼ばれたセドリックさんもまた、リアさんを抑えるべく動く。
店長が上半身、セドリックさんが下半身を押さえ付けている形だ。
「ぐっ……なんとか、二人でなら」
「ああ、動きを止められるみてぇだな……ぬっ」
どうにかリアさんが暴れるのを阻止する店長とセドリックさん。
……大の大人二人が、胸に搾乳機をつけた女の子を取り押さえている姿は、犯罪以外の何物でも無いが。
「あ―――――――っ!! ああ――――――――っ!!!」
「……うおっ!?
こいつ小便漏らしやがった!
ここ厨房だぞっ!?」
「任せたまえっ!
私が全て飲み切ってあげようっ!!」
「おお、でかしたっ!!」
意識が完全に飛んだのか、失禁しだすリアさん。
そして漏れた尿を飲むべく、彼女の股間に吸い付くセドリックさん。
「……これまた凄い絵面ですね」
第三者にこの光景を見られたら、私達は確実にお縄になるだろう。
「店長、私も何か手伝いましょうか?」
「いや、こっちは俺達だけで十分だ。
……代わりに、そっちを頼まぁ」
店長は、部屋の隅で倒れているウェイトレスさんをあごで指し示す。
「あんな状態じゃ、家まで帰れやしねぇだろう。
送って行っちゃぁ貰えねぇか?」
ウェイトレスさんはまだ意識を取り戻していない。
確かに、一人で帰れるような容態では無い。
「分かりました。
責任をもって送り届けましょう。
……店長達はこれからどうします?」
「俺達はリアから搾れるだけ搾ってみらぁ」
「ああ、彼女のことは私達に任せて欲しい」
どことなく充実した笑顔を二人は浮かべた。
リアさんは、彼らに任せて良さそうである。
「承知しました。ご武運を」
そう言い残して、私はウェイトレスさんを担いでその場を後にした。
「あっあぁあっ! あっ! あっ! ああっ! あーーーーーーっ!!!」
「げげぇっ!?
縄が切れやがったぁ――げふっ!?」
「店長っ!?
大丈夫かいっ……ごほぉっ!!?」
三者三様の悲鳴をその場に残して。
「……と、そうだそうだ」
店を出る前に、魔法の搾乳機と、未だトイレで恍惚としていたもう一人のウェイトレスさんも回収する。
せっかくだから、この子の面倒も見てしまおう。
背中に搾乳機を背負い、片手にそれぞれウェイトレスさんを抱え、私は店を後にした。
――残念なことに、ウェイトレスさんをその日の内に家へ送り届けることはできず。
代わりに、私の家にお泊りして頂くことにはなった。
……まあ、気持ちの良い思いができたので、結果オーライとも言える。
さてこの後、私はこの搾乳機を使って様々な女性のミルクを味わうわけなのだけれども。
それはまた次の機会にてお話しよう。
……余談だが、次の日。
店では股間に搾乳機をつけられ「ふぉおおおっ!」と気持ち悪いうめき声をあげている店長とセドリックさんが見つかった。
しかし、余りに見苦しい情景であるため、詳細な描写はご容赦願いたい。
第十話 完
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