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第二話 ある社畜冒険者の一日 仕事編
① 仕事風景の紹介
しおりを挟む唐突だが、今私は<次元迷宮>の中に居る。
つまり、絶賛お仕事中である。
今回は、いつも私がどのように生計を立てているのかをお話させて貰う。
私の仕事風景等を説明しても何ら面白くは無いだろうが、一つ堪えて頂きたい。
本当に申し訳ない。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
さて、まずは私達冒険者が日々潜っている<次元迷宮>について、軽く説明をしたい。
<次元迷宮>はウィンガストの町の中心部にその入口を開けている迷宮だ。
内部は無数の階層に分かれており、それら階層がゲートによって繋がれている。
ゲートとは、空間の歪みが固定化されたもので――ワープホールだとか、旅の扉だとか言った方がニュアンスは伝わるだろうか。
つまり、迷宮の階層は『物理的に繋がっておらず』、ゲートを使用した転移によってのみ行き来が可能ということだ。
<次元迷宮>の名前の由来はここにある。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
階層の内容は多様で、レンガ造りの古い建造物、岩肌が剥き出しの洞窟、水晶で構成された部屋、木の蔓や幹で囲われた空間、等々バラエティに富んでいる。
――ちなみに今私がいるのは、下水道のような構造の階層だ。
<次元迷宮>について、その全容を把握している者はおらず、はっきりしていることは2つだけ。
1つ、<次元迷宮>は7年前に起きた勇者達と魔王の闘いによって生み出された。
1つ、<次元迷宮>からは無限に魔物が湧き出てくる。
2つ目の問題を解決するために、冒険者は日々<次元迷宮>に潜り、魔物を排除している。
そして、この2つ以外の情報を得るために、冒険者は<次元迷宮>の探索を続けている。
恥ずかしながら、私は魔物の排除だけしかやっていないのだが。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
……そろそろ、時折入るこの音が何なのかを解説しよう。
これは、私が荒く息を吐いている音である。
何でそんなことをしているかと言えば、まあ、走っているからだ。
魔物から逃げている?
残念ながら、そして私にとっては幸いなことに、違う。
正解は、走った方が効率が良いから、だ。
<次元迷宮>の魔物の生息域は、当然迷宮の全域に散らばっている。
そして<次元迷宮>は、私の行動範囲である白色区域――初心者用区域に限定してもかなり広い。
さらに初心者用区域の魔物は、倒しても1体毎の実入りが少ない。
そういうわけで、私は日銭を稼ぐため、初心者区域をあちこち移動して少しでも多くの魔物を倒さなければならないのだ。
当然、移動速度が速ければ速い程、一日で狩れる魔物の数は増える。
故に私は迷宮内の移動は全て走ることにしているわけだ。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
そうこうしている内に、前方に魔物を発見した。
全長1m程のネズミ――大ネズミと呼ばれる魔物である。
幸い相手はまだこちらに気付いていない。
私は走りながら腰に付けた矢筒から矢を取り出すと、<射出>の魔法で矢を飛ばす。
狙いは過たず大ネズミの眉間に矢は刺さり、大ネズミは倒れる。
少しして、倒れた大ネズミの姿は消えていき、その跡には小さな黒い石――<魔晶石>が残る。
私は体勢を調整し、走りながらその<魔晶石>を拾う。
基本的にはこの<魔晶石>を売ることで、冒険者は生計を立てていると言っていい。
詳しくは知らないが、<魔晶石>は様々なアイテムの原料の一つなのだとか。
運が良ければ、<魔晶石>の他にも素材等のアイテムを落とす場合があり、それも冒険者にとって重要な収入源だ。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
また魔物を見つける。
今度は大コウモリ――その名の通り、大きなコウモリだ。
それが、2匹。
矢筒から矢を2本取り出し、<射出>。
矢が命中した大コウモリは、姿を消して<魔晶石>を残す。
走りながら私はそれを拾う。
そして次の魔物を探す。
この繰り返しが、私の仕事である。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
無論の事だが、迷宮内を走る等、通常は御法度だ。
走ることが難しい地形の階層も多いし、罠だって仕掛けられているかもしれない。
そもそも、目立つ行動は魔物を引寄せ、不意を打たれたり、周りを囲われる危険性もある。
そこで私は次のような方法でそれらに対処している。
まず地形と罠の問題は、長い期間をかけ、初心者区域内を完璧に把握することで解決した。
今や初心者区域を私の庭――いや、私の部屋と呼んでもいい。
どこをどう進めば走りやすいのか、全ての階層においてそのルートを割り出している。
そして、普段の地形を覚えているからこそ、罠が仕掛けられているような不自然な状態は、一目見れば看破できる。
次に、魔物に関する問題は、2つの魔法によって緩和させている。
一つは<闇視>。
通常、冒険者は松明やランタン、<光>の魔法などで光源を確保して行動する。
この光は行く手や魔物を照らし出す手助けとなると同時に、魔物から発見されるリスクでもある。
私は<闇視>を使うことで光源を必要とせず行動できるため、光を感知する魔物から発見されるリスクが軽減される。
――但し、<闇視>は対象一人にしか効果が出ないため、パーティーで行動する冒険者にとって効率の悪い手段であることも付け加えておく。
もう一つは<静寂>。
対象が出す音をかき消す魔法である。
これを自身に使うことで、移動する際の音を消し去ることができる。
これによって、音を感知する魔物から見つけられるリスクを軽減される。
――但し、<静寂>は魔法を使用する際の呪文もかき消してしまうため、<静寂>をかけられることは<魔法使い>にとって致命的な状態であることも付け加えておく。
高い熟練度により魔法の使用に呪文が必要なくなってから、初めて使用できる手段なのである。
…また魔物発見。
矢を<射出>、魔物倒れる、<魔晶石>拾う、先に進む。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
それと、先程から魔物を倒すのに使用している<射出>についても説明をしておこう。
<射出>は、矢等の武器を飛ばして敵を攻撃する魔法だ。
通常、<魔法使い>は<火炎>や<冷気>等の属性魔法によって攻撃を行う。
しかしこの属性魔法、魔物によって効果が著しく変わるのだ。
ある魔物に効果的な属性魔法が、別の魔物には全く効果が無いこと等ざらにある。
一方で、<射出>は武器を飛ばすだけの魔法なので、扱いは物理攻撃となる。
物理攻撃を無効にする魔物というのは、少なくとも初心者用区域には出没しない。
そこで私は、多彩な属性魔法を習得して魔物に応じて使い分けるより、<射出>だけで戦った方が効率的、と判断した。
多くの魔法を使うより、一つの魔法に特化した方が熟練度が上がりやすからだ。
ただ、<射出>にも問題点は当然ある。
属性攻撃ができない、というのもあるのだが、何より矢の出費が痛い。
私の場合は質より量で魔物を狩っているので、なおさらだ。
そこで―――
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
またまた魔物発見、『そこら辺で拾った石』を<射出>、魔物は死ぬ、<魔晶石>拾う、走り去る。
――と、こんな具合だ。
<射出>は基本的には武器を飛ばす魔法なのだが、慣れれば――つまり熟練度が上がれば、他の物も飛ばせる。
なので、石等のコストのかからない物体を飛ばして攻撃することも多い。
というか、いつもは拾った石を矢の代用としている。
先程、矢を使って攻撃したのは、魔物との距離が離れていたから。
魔法で飛ばすとはいえ、『飛ばしやすい形状の物』の方が射程は長くなるのだ。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ……む」
次の階層へ進むゲートへ到着した。
時間は大凡いつも通り。
今日の調子も悪くなさそうだ。
走る速度は緩めず、そのままゲートへ突っ込む。
一瞬視界が暗転した後、地面がごつごつとした岩肌になっている階層に出た。
予定通り。何の問題も無い。
私は予め設定したルート通りに、岩から岩へと飛び移りながら、この階層を駆け抜けていく。
あと2つ階層を抜ければ、昼休憩だ。
「…ふぅぅううううう」
私は大きく息を吐いた。
休憩場所に到着し、身体を休めている最中である。
ここは、岩でできた段が幾つも連なった構造の階層だ。
岩の段は一つ一つがなかなか大きさで、初心者用区域の中ではトップクラスに広い階層でもある。
段はそれぞれ高さが異なり、最も上の段と最も下の段では高低差が200m以上にも達する。
岩の段と言っても、平らなものは少なく、傾斜があったり、ごつごつしてたりする。
また、あちこちに亀裂が走っている段も多い。
足を滑らせて段から落ちて、又は大きな亀裂にはまって、命を落とす冒険者もいるとか。
ちょうど私が休憩している段には10m程高い段が隣接しているのだが、その段にも人が一人嵌まれそうな程大きな亀裂が入っている。
何故、私がこんな休憩場所として活用しているかと言えば、ここには飲用に使える水があるからだ。
この階層は、最上段から最下段に向かって水が流れ落ち、川ができている。
その水は非常に澄んでおり、何の処理も無しに飲みことができるのだ。
迷宮内で水の補給ができる場所は限られており、水源があると言うだけでこの階層の価値は高い。
加えて、この階層では滅多に魔物が出現しない。
水源があるのに生き物がいないというのもおかしな話だが、この迷宮や魔物にそういう常識は通用しないのかもしれない。
そういうわけで、ここは足場にさえ気を付ければ非常に使い勝手のいい階層であり、私に限らず、ここを骨休めの場としている冒険者は多い。
「さて、と」
荷物入れからポーションを何個か取り出し、一気に飲み干す。
体力回復ポーションと、精神力回復ポーションだ。
魔物から攻撃を受けたわけでは無いが、今まで走り通しでは流石に疲労が溜まる。
さらに、高い熟練度で軽減していると言っても、魔法を使えば少しずつ精神力が削られていく。
「………よし」
ローラさんお手製のポーションは効果が高く、見る見るうちに私の体力・精神力が回復していく。
この後は、保存食を食べて栄養補給、水を飲んで水分補給、だ。
「……んむっ」
寂しい食事だが、迷宮内で贅沢は言えない。
美味しいとはとても言えない保存食を、水で胃袋へ流し込む。
「…休憩終わり」
誰とは無しに呟く。
いざ、午後の仕事へ向かおうとした、その矢先。
「キャァァアアアアアアッ!!」
空気を切り裂くような、甲高い悲鳴が聞こえる。
反射的に声のした方へ視線をやると――
隣の段から。
ここより10mは高い段から。
女性が、滑り落ちようとしていた。
「―――あ」
速く動かなければ。
彼女の落下地点へ行けば。
彼女の身体を受け止めれば。
彼女の命を助けられるはず。
しかし、予想をしていなかった出来事に、私の身体が反応できるはずもなく。
彼女は、そのまま下の岩肌へ激突――しなかった。
「アアァアアア―――せ、セーフッ」
彼女の、安堵した声が聞こえる。
段の側壁に走っていた亀裂に上手いこと身体が嵌まり、段の中腹で落下が止まったようだ。
私もまた、ほっと胸をなでおろす。
「エレナッ!
エレナーー!!
無事かっ!?」
上から男性の――おそらくは彼女の仲間の――声が響く。
「な、なんとかねー。
亀裂に挟まって助かったよ。
いやー、ボクの日頃の行いがいいせいかな?」
男の声に、彼女は返した。
………どうやらあの女性、ボクっ娘のようだ。
「そ…そうか。
お前、不注意もいい加減にしろよ。
寿命が1年は縮んだぞ」
「え、何ー?
ジャン君ってばボクが死にそうな目にあったってゆーのに1年しか寿命縮まないのー?」
「馬鹿、こんな時に何言ってんだ!
……自力で登ってこれるか?」
「んんー……無理かなー。
結構きつく嵌まっちゃってるし、登れそうなとっかかりも無いし」
「分かった、今ロープ持ってくる」
「あんがとー」
どうやら、救助活動は滞りなく行われる模様。
私も手伝いを――とも思ったが、いきなり暗闇から声をかけて不審がられても困るし、声に驚いて彼女が再度落下したらもっと困る。
…休憩中位、<闇視>ではなく<光>を使っておけば良かったか。
「ロープ行ったぞ。
掴めるか?」
「んーー、もうちょっと右にー」
――もう私がどうこうする必要も無さそうだ。
しかし、万に一つ彼らの救助が失敗してしまった時のことを考えて、彼女の近くへ寄っておくべきか?
そんな感がもしながら、特に主だった理由も無く女性の姿を再度見てみる。
「………!」
予め決めていた通り、声は上げなかった。
彼女は――エレナさんと呼ばれていたが――段の側壁に走った亀裂に挟まり、どうにかバランスを保って今の姿勢を維持している。
エレナさんは小柄な女性だった。
背丈は150㎝にギリギリ届くか届いていないかといったところ。
肩よりも下まで伸びたセミロングの黒髪を、後ろで結わえている。
<屈折視>で確認したところ、顔はなかなか整っており、小悪魔的というか、コケティッシュな魅力のある美少女だ。
この状態でも上に居る男性――おそらくジャンという名前――にからかいの言葉を投げかけているが、その表情が凄く蠱惑的。
背格好からなかなか判別しにくいが、歳はリアさんと同じくらい…か?
濃紺色のクロークを羽織っているところを見るに、<魔法使い>だと思われる。
やはり<屈折視>でクロークの中を見ると、ブラウス姿でフレアのミニスカートを履いている。
ミニスカートを履いている。
ここ、大事なところね。
そのミニスカートからは、黒いタイツに覆われた脚がスラッと伸びている。
脚は色気のある肉の付き方をしており、それはタイツによってさらに補強されていた。
洋服の上からの推定だが、胸も大きい。
いや、単純なバストの大きさであれば、ローラさんはおろかリアさんよりも小さいだろう。
しかし、彼女の背丈がここで効いてくる。
いわば、トランジスタグラマー。
小さな身体が、肉体的魅力を数値以上に引き立てているのだ。
バストサイズは80程度だろうが、Eカップはくだらないと見た。
今スカートで隠れているお尻も、きっと堪らないエロさを持っていることだろう。
――だがしかし、それを見ることは叶わなかった。
「………くっ」
エレナさんの真下に移動する。
断っておくが、これは彼女が落ちてしまった際の保険としての行動であり、邪な考えからのものでは無い。
大丈夫だ。
私は変わらず<闇視>で状況を確認しているから、相手は私の存在に気づいていない。
大丈夫だ!
……それでも、ダメなものはダメだった。
まずエレナさんの身体は上手い具合に亀裂に挟み込まれ、次に丈の長いクロークで身体全体が覆われ、そしてスカートは絶妙な角度で彼女のお尻を包み込み――
<屈折視>で中身を見る余地を無くしていたのだ。
幾ら視線を歪めようと、ここまに完全に覆い隠されては、覗けない…!
なんということだ。
こんなときに……こんなときに<透視>が使えれば…!!
私は、自分がEランク冒険者でいることをこれ程後悔したことは無かった。
何が、『<屈折視>は下級スキルだから使いやすい』だ。
何が、『<透視>は上級スキルだから使い勝手が悪い』だ。
実際に、<透視>を使えなければどうにもならない事態に陥っているではないか…!
<透視>は熟練度が上げにくい、なんて自分への言い訳以外の何物でも無かったのではないか…!?
「………っ!」
思わず歯切りをする。
瞳から、何か熱いものがこみ上げてきた。
これは……涙か。
大人になってからは泣いたことなどほとんど覚えが無い……
「………こんな、ところで、か…」
自嘲気味に呟く。
或いは……或いは、何かの拍子でパンツが見えるようになる可能性を信じ、じっと彼女のお尻を凝視した。
だが―――
「……はーい、おっけー。
ロープ、掴まえたよー」
「よし、しっかり握ってろよ!
今から引き上げるからな!」
救援活動は順調に進み、そろそろ終わりが見えてきている。
いや、救援が上手く行くことは祝福すべきことで、そこにハプニングが起こることを願う等罰当たりにも程があることなのだが――
ことなのだが、しかし何か、何かが起きてはくれまいか!
エレナさんの下着が見えるようになる何かが!
目が血走っているのが自分でも分かる程、必死になって何とか<屈折視>で見える角度が無いかを探す。
お尻付近だけでなく、彼女の全身くまなく見やって―――
「………」
「………」
視線をエレナさんの顔付近に移したとき、目が合った。
彼女も、こちらを見ている。
いや、そんなはずはない。
私は明かりになるものを持っていない。
私の周辺は真っ暗であり、如何に冒険者であってもそこから私の存在を見つけ出すことは容易ではないはず。
だが……彼女も<闇視>を使っていたら?
「………」
「………」
数秒、見つめ合っていた……ような気がする。
もし向こうが私の存在に気付いていたとして――どうしよう、ずっとジロジロ見ていたのもばれていたら。
『冒険者クロダ、迷宮内にて他冒険者の危機に特に何もせず、じっと尻を見ていた』
そんな話が、冒険者の間で広まってしまったら(事実だが)。
いかん、私の(元々大して無い)信頼が地の底にまで落ちる…!?
「それじゃ引っ張るぞー!
一二の三、で始めるから、準備しとけよ!」
「あ、うん……ちょっと待ってー」
上からの声に、エレナさんはそちらへ向き直りつつ、待ったをかける。
「無理に引っ張られると壁にぶつかったりして痛いかも?
そのままロープ持っててよ。
ボクの方で登っていくからさ」
「あー、言われてみればそれもそうか?
でもさっき自力じゃきついって…」
「ロープがあれば大丈夫だよ」
そんなやり取りを上の仲間とするエレナさん。
そして一通り会話が終わった後に――
「………」
「………」
また、目が合った。
明らかに私の方へ振り返り、私を見た。
……気のせいか、ニヤッと笑ったようにも……?
「ちゃーんと持っててよねー?」
「大丈夫だって、心配すんな!」
そう言いながら、エレナさんは亀裂を登るために姿勢を調整し――
羽織っているクロークの裾をばさっと捲った。
「………!?」
それまで<屈折視>を駆使してようやく見えていたクロークの中が、彼女のスカート姿が、直接目の前に現れる。
驚く私をしり目に彼女はさらに――
「……よっしょっと」
スカートまで捲った。
それはもう、パンツが、お尻が全部露わになるほど、思いっきり。
「……ふぉお…!?」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
想像していた通り、エレナさんの尻はエロかった。
黒タイツに覆われた下着は、青と白のストライプが入った縞パン…!
ともすれば白ショーツ以上に幼さを感じさせる下着だが、小柄な彼女にはベストマッチしている。
しかし、一番に目についたのは、お尻の均整の良さ。
胸と同様、彼女のヒップサイズは、数値的にはやはり小さい。
しかし、全体として小柄であるが故に、数値のように小さくは見えない……いやむしろ大きく見える。
女性の身体で重要なのは、単純な大きさではなく、全体の均整、バランスなのだとよく分からせてくれる肢体だ。
完全に捲りあげられたスカートの下からは、腰のくびれまで確認できる。
やはりこのエレナさんという女性、スタイルが良い。
あの小さい胸・お尻・身体で、ボンッ・キュッ・ボンッと形容しても良い体型を見事に表現している。
健康的な脚の形から見るに、張りの方にも期待ができそうだ。
思い切りむしゃぶりついてやりたい尻である。
「それじゃ、登るよー」
そう言って彼女はロープを登り――ぬぉおお!?
なんだその登り方は!?
彼女は、まるで尺取虫のように、腰を曲げ、身体をUの字に曲げてから伸ばす、という屈曲運動でロープを登っている。
流石に尺取虫の表現は過剰ではあるものの、それに似た動きをしていると考えて貰えればいい。
そんな動きをすれば当然、お尻を思い切り突き出すことになる。
それも私の方へ向かって、だ。
お尻を突き出して、戻して、突きだして、戻して。
何という光景。
お尻を突き出した際には黒タイツがパンパンに張って、縞パンの模様がよりくっきり見える。
ストライプの屈曲が、形の良いお尻をさらに顕著に浮き出させている。
もうどうなっちゃってるんだ?
冗談としか思えない――仮に男友達がこんな動きしているのを見たら確実に他人のふりをする――登り方だが、良し!
可愛い女の子がやる分には、当方に一切の文句無し。
寧ろこのやり方を女性冒険者の基本登攀方法として広めたい程である。
しかも、時折お尻をフリフリと振っている。
ロープを登るのにはまるで関係が無いであろう動き。
――誘っているようにしか思えないんですが、これは。
私はその姿を目に焼き付けるように、瞬きも惜しんで見つめ続けた。
「んしょ、んしょ」
だが、彼女が登る高さはせいぜい10mにも満たない。
落ちれば危険な高さだが、登るのに長い時間がかかる程のものではない。
特に危なげなくエレナさんは登り切ったようだ。
「到着ー、と」
「おう、お疲れ……ってお前なんだその格好!?」
「ああ、これ?
登るのに邪魔だったからさー」
「邪魔だったってそんな…!
は、早く直せよ!」
「んんー、どうしたのかなー?
ボクの格好はそんなに刺激的?」
「ば、馬鹿、ち、違うわ!!?」
彼女とお仲間とのやり取りが聞こえる。
「…………さて」
いつも通りであれば、もうこの休憩場所を出発して、午後の仕事に入る頃合いだ。
頃合い――なのだが。
「………偶には、他の冒険者と交流を持つのもいいかもしれない」
何となく独り言をしてみる。
私は基本的に一人で迷宮に潜っているので、他の冒険者との接触は少ない。
有用な情報が手に入るかもしれないし、迷宮探索についてアドバイスも聞けるかもしれないし。
――彼女が登っている最中にどこか怪我したりしていないか、気になるところでもあるし!
そんなわけで、私は彼らと合流すべく、上の段へ進路を取ったのであった。
第二話②へ続く
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