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第三十二話 魔龍討滅戦 青龍ケセド
⑤ ティファレトVSケセド
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<次元迷宮>、“赤色区域”の最奥地にて。
並みの――いや、一流の冒険者ですら早々辿り着けないこの場所で、3人の男女が深刻な顔で立往生していた。
その中で唯一の女性であるリアが口を開く。
「……ど、どうしよ。
クロダが奥に行ってから、もう1時間以上経つのよ?」
「どうしようったって――どうしましょうかね?」
相槌を打つのは三下――もとい、サン・シータである。
「…………」
最後の一人、アーニーはただ沈黙し続けている。
「うーん、ジェラルドさんに頼んで援軍を呼んでみるとか」
「それ出来るんならとっくにやってるでしょーよぅ。
六龍と戦えなんて言われて首を縦に振る変人が、あっしら以外にいるとでも?」
「まあ、そうなんだけどさ」
そもそも、今の状況を打破できる人物が冒険者ギルドに居るかどうかも怪しい。
何せ、代理も含めれば勇者2人が手に負えていない案件である。
並大抵の冒険者では、足手まといにしかならないだろう。
「ふむむむむぅ……兄貴は何か考えあります?」
「…………」
サンが話を振るも、なお沈黙を続けるアーニー。
「さっきからあんた、なにずっとだまりこんでんのよ。
なんかこう、建設的な意見は無いわけ?」
「自分にアイデア無いからって兄貴に無茶ぶりすんのは良くねぇぜ、リアちゃん」
半ば八つ当たり気味にリアが言葉を投げつけたのを、サンが窘める。
しかし当の本人は我関せずといった様子で――
「――何か来る」
そう、呟いた。
「え?」
「兄貴、どういうことですか?」
その台詞にリアとサンが戸惑いの声を出す。
そんな2人へアーニーはさらに重ね、
「音だ。お前達にも聞こえるだろう」
「音って――――あっ!?」
訝しむリアだが、すぐに気付いた。
迷宮の壁、その向こうから、何かがぶつかるような、砕けるような音が響いていた。
その“音”はだんだんと大きくなり――
「あれ? ちょっと、なんか揺れてません? 揺れてますよね?
あっしら揺れてますよ!!?」
サンが叫んだ。
彼の言う通り、音と共に床が震えだした。
いや、床だけではない。
「この階層全体が揺れている、だと……!」
アーニーの顔が険しくなった。
揺れは次第に激しさを増していく。
天井にヒビが入り、パラパラと欠片が落ちる。
「何が起こってるのよ!?」
リアの叫びへ、
「知るか!!」
投げやりに返すアーニー。
「お、おお、おおお!? 来ますよっ!?
なんか来ちゃうっ!?」
サンの気色悪い声に誰かが突っ込むよりも先に。
――床が、吹き飛んだ。
「何なのよーーーーっ!!?」
少女の絶叫が響く中、床から2つの――青と黄の“光”が現れ。
誰かが何かをする暇も無く、“光”は天井を突き破って消えた。
程なくして、辺りに静寂が戻る。
「……あ、ありゃあ、ひょっとしてひょっとすると?」
サンが唇を震わせながら、口を開いた。
アーニーはそれに対して一つ頷くと、
「ああ、クロダだったな。
もう片方は、ケセドか?」
今彼らが見た光景を端的に言うならば。
黄色の光に包まれた黒田と、青の光に包まれた巨大な龍が。
取っ組み合いをしながら、迷宮を突き破っていった。
「どうなってんの、クロダ……?」
想像外の出来事に、リアはただ呆けるしかなかった。
「ははははははっ!! なかなかいいもんだな、龍同士の戦いってのも!!」
正直言って、“私”は興奮していた。
同じ龍同士で殺し合いをするという緊張感よりも、己の力を十全に発揮できることに高揚していたのだ。
『ま、六龍が戦うなんて史上初のことだからねぇっ』
ため息交じりのケセドも、こちらの発言を否定はしてこない。
奴もまたこの状況を愉しんでいるのだろう。
「おらぁっ!! ぶっ飛びやがれ!!」
そんな青龍の首根っこを掴んで、力任せに投げ飛ばす。
巨体が吹っ飛び、階層の壁に叩きつけられ――壁を壊して“その向こう”にまで飛んで行った。
「ふんっ!」
“私”もまた、それを追って壁の穴へと跳び込む。
空間が入り乱れた<次元迷宮>において、壁の向こう側とは単純な地続きの場所ではない。
その証拠に鋼鉄製の壁を破った先の光景は、灼熱のマグマが噴き出す地下洞だ。
肌を焦がす熱風を浴びるも、然したる問題はない。
“今の自分”にとってはそよ風以下だ。
『さっきから力任せばかりじゃないか』
階層の中央――溶岩の上に降り立ったケセドがそう呟くと、周囲の“熱”が奴に集まり出した。
熱を奪われたマグマが瞬く間に只の岩へと戻り、青龍の身体が膨大な熱量を帯びる。
『お返しだ』
その“熱”を龍の吐息に乗せて直接こちらへぶつけてきた。
さながらゴジ●の放射熱線――このネタ、通じない人もいたりするのだろうか?
「うおっ!?」
熱線を受け、今度は“私”が吹き飛ばされる。
というか、熱そのものよりもその“勢い”が辛い。
「イテ」
頭から壁に激突し、反射的にそんな言葉を零してしまう。
実際のところ、こんな攻撃でダメージを受けたりしないのだが。
「――と、今度は氷の迷宮か」
先程の熱線で、また別の階層に運ばれた模様。
奴との戦いではずっとこれの繰り返しだ。
龍の力は平然と次元の隔たりを破壊する。
「今度はこっちの番だぞ」
こちらの階層へ飛び込んでくるケセドを見据え、思い切り拳を握る。
“私”の拳と青龍の巨体が激突し――余波で階層の氷が全て蒸発した。
その後も戦いは続く。
砂流が渦巻く階層では、存在する砂全てをガラス状に溶とかし。
巨大な大樹を切り抜いて作られた迷宮では、大樹そのものが枯れ。
触手蠢く生体洞窟では、そこに生きるあらゆる生命体が死滅。
天空回廊では、空に浮かぶ浮島を地に叩き落した。
――幾つもの階層が破壊されていった。
はてさて、戦いを始めてから幾ばくの時間が経ったか。
「あー、まどろっこしい」
悪態をつく。
正確な時間を測っていないが、大分長いこと戦った。
しかし全力で攻撃し合っているといのに、お互い大したダメージを負っていない。
これは六龍が元々このグラドオクス大陸を“守護する”存在であることに起因している。
本質的に“私達”は攻撃性能より防御性能が高いのだ。
「龍同士だと、決め手に欠けて仕方がねぇ。
どうしたって泥仕合になってしまう――全く、面倒だよなぁ?」
『……ハァ……ハァ……ハァ……』
せっかく話しかけてやったと言うのに、ケセドからの反応が無い。
ただ大きく息を吐くのみだ。
『ば、馬鹿げてる――本気で脳筋だな、ティファレト。
まさか<次元迷宮>を崩壊させにかかるなんて』
忌々し気に“私”を見る青龍。
傷こそ負っていないものの、その姿は明らかに弱っていた。
そんなケセドをせせら笑う。
「力押しで潰せるならそうしようと思ってたんだがな。
どうにも決着つきそうにないんで、目標を返させて貰った」
ケセド本体は傷つけられないが、奴の媒介であれば話は別だ。
<次元迷宮>は青龍の媒介ではあるものの、何らかの守護が働いている訳ではない。
壊すことはそう難しくない。
『<次元迷宮>がどれだけ広大だと思ってるんだい?
龍の力をもってしても、早々破壊なんてできない筈なのに』
「お前も一緒になって暴れるからだ」
“私”だけであったなら、もっと時間がかかった。
相手を徹底的におちょくって、戦いが激しくなるよう誘導したのだ。
――頭脳派を気取ってくる癖に、随分とチョロい龍である。
もっとも、事前に奴の媒体が<次元迷宮>であることを知っていなければ、話は違っていただろう。
口は災いのもと、というやつだ。
「まあ、とはいってもまだ半分も壊せてないけどな。
それでもお前の力を減ずるには十分か」
元より互角の力を持つ者同士。
僅かな衰えが、勝負の趨勢を決めてしまう。
「さて――名残惜しいが、おしまいだ。
トドメ刺してやるよ」
『僕の“契約”を使うつもりかい?』
「その通り」
かつてケセドが誠一へ渡した<契約文字>。
今この身体が身につけている籠手と具足には、ソレが刻み込まれている。
契約内容は、『六龍が魔素によって歪められた時、その“神格”を消去し、存在を浄化する』というもの。
勇者の戦いに参加した他の龍共を抹消するため作られた代物だが――その内容上、ケセドも対象に含まれる。
奴の扱う<契約>は非常に強力だ。
ケセド自身であってもその力に逆らえない程に。
「策士策に溺れる、だな。
お前、頭使うの向いてねぇわ」
『僕の契約を利用する身分で、よく言うよ。
っていうか、なんかさっきから勝ち誇った顔してるけど君だってもう色々限界だろ?
足が震えてるし、汗も随分大量に流してるじゃないか』
「……武者震いだ」
確かに、少しだけ――本当に少しだけ、疲れているかもしれないが。
別段、何の支障もない。
……うむ、問題ない。
『まあ、僕達はほぼ不滅に近い存在だけど、媒体はその限りじゃないからね。
物質として存在する以上、消耗は免れない。
100%の力を発揮できても、それを継続できるかどうかはまた別の問題だ。
ましてや、君はまだ黒田誠一の身体を使い慣れていないし』
「いちいちうるさい野郎だな」
どちらにせよ、こちらが有利なのは間違いないのだ。
疲労は溜まっているが、今すぐどうこうなるレベルではない。
ここで“契約文字”を打ち込めば、確実に勝てる――
『もののついでにもう一つ言っておくけど』
――気楽な調子で、さらにケセドが話しかけてきた。
「……なんだ。今更命乞いは聞かねぇぞ」
『そんなことする訳ないだろ。
単に、その契約文字の使用説明をするだけさ』
あ、これは良からぬことを企んでる顔だ。
そう察せたものの、“私”が何かをするまえに奴は言葉を続けた。
『その契約ね、“使用者”にも効果を及ぼすようにしてあるんだ』
「はぁ!?」
変な声が出てしまった。
すると何か。
この契約文字をケセドに撃ち込んだら、“私”もまたその契約が適用される、ということか。
……浄化されちゃう?
「お前、なんでそんな仕様にしやがった!?」
『他の龍に悪用されたく無かったし、こんなこともあろうかとね。
人である黒田誠一が使う分には何のデメリットも無いんだから文句言われる筋合いはないな』
「この野郎」
こうなると、契約文字は使えない。
他の方法を考えなければ――と、そんな思案のところへ。
『まあ、でもさ――』
この期に及んで、まだケセドは喋る。
『――君、どうせ撃つんだろ?』
「はっ?」
奴の言葉を鼻で嗤った。
何を行ってるのか、この龍は。
自分が死ぬと分かっていて、使う阿保がどこにいる。
“私”はケセドを睨み付け、
「――当たり前だ!!」
<射出>行使
目標:原子核
陽子・電子・中性子を無限加速→原子破壊誘発
迷宮を構成する物質が次々と消失、エネルギーへと変換されていく。
瞬く間に“私”の周囲には何も無くなり、代わりに目が眩む程の光が一面を覆う。
『……ベクトル操作を利用した物質の純エネルギー化か。
一芸も、ここまで窮めれば大したもんだ』
物珍しい感嘆の声をしり目に、操作続行。
<射出>再行使
目標:純エネルギー
生成した全エネルギーを戦神の鎧へ注入
籠手と具足が眩い金色に輝く。
無限充電、完了!
「行くぞ!!」
『来い!!』
黄龍の全知全能をもって、自身を青龍へと撃ち放つ。
――決戦奥義が極致
疾風迅雷・殲滅式
<次元迷宮>を、極大の光矢が貫いた。
「げほっ、げほっ――なんだ、元の場所に戻ったのか」
大量の瓦礫――いったいどこの階層のものなのかは分からないが、とにかく瓦礫だ――を押しのけ、周囲を確認した。
ここは、ケセドが居を構えていた階層であり、要するに戦いを始めた最初の場所だ。
疾風迅雷で幾つもの階層を消し飛ばし、最終的にここへ戻ってきてしまったらしい。
「そういや陽葵は……無事か。
すやすや寝てやがる」
視界の端に、未だ倒れ伏した室坂陽葵の姿が見える。
大分派手に戦ったわけだが、幸いなことにその影響を受けていないようだ。
「ま、最低限気を付けてはいたが――ん?」
瓦礫が崩れる音。
その下から、青い“光体”が現れた。
「ハハ、なかなか愉快な姿になったじゃないか、ケセド。
もう龍の形態も保てないか」
『もう現界しているのがやっとって感じだね』
「……そのようだな」
嫌味を素直に受けとる程、弱っているようだ。
輝く契約文字が、“光体”に絡みついている。
もうじき、ケセドは消滅する――正確には、これまでケセドとして振る舞ってきた神格が消滅する。
『でも、消える前にやることはやっておかないと……』
そう言うと、青い光は陽葵の方へ――っておい!
「待て! この期に及んで何しようとしてやがる!!
負けた癖に往生際悪いぞ!?」
『別に警戒しなくていい。
害を加えるつもりは毛頭ないよ』
「…………」
やたら穏やかな口調だった。
奴を止めることを、躊躇ってしまう程に。
『さぁ、最期の一仕事だ……』
ケセドはその身体から、キラキラとした光の粒を陽葵へと降らせた。
少年を淡い光が包み、程なくしてそれは消える。
「何をした?」
『ちょっとした、魂の強化をね。
これから彼へ入り込む六龍の力に押し潰されないように』
「……そういうことできるんなら最初からやれよ」
魂の入れ替えなんてややこしい手段を使いやがって。
穏便に事を治めておけば、こうはならなかったものを。
『そんな大した代物じゃないんだ。
龍の力を安全に留め置けるようになっただけで、その力を行使したなら耐えられずに消滅する。
その程度の強化さ。
アハハ、黒田君には神格を浄化しとけば大丈夫って言ったんだけど、実のところ保管してるだけでもそれなりの負担にはなっちゃうんだよね』
こちらが考えていたことを察したのか、ケセドは自嘲気味にそう告げる。
『結局のところ、ただの延命措置。
僅かばかりの希望を残したに過ぎない』
青い光が明滅を繰り返しながら、言葉を紡いだ。
『色々手を尽くしてみたんだけどねぇ。
結局、僕には“ああいうやり方”しか陽葵を救う方法を見いだせなかった』
「随分とあのガキにご執心だな。
ただの道具じゃなかったのか?」
『道具だよ――でも、愛着はあった。
ほら、やっぱり、一応は僕の子供にあたるわけだからね。
できることなら、この先も無事に生きていって欲しいと思っていたんだよ』
……驚いた。
こいつ、そんな“普通のこと”を考えていたのか。
というか、そういうことを考えながら、あんな発狂してもおかしくない――もとい、発狂しない方が不思議な目に陽葵を遭わせたのか。
「もっと優しく扱ってやれよ、そんな風に想ってるんなら」
『それは無理だ、なんたって僕は――狂ってるんだから。
健やかに生きて欲しいと願う一方で、陽葵の泣き叫ぶ姿を見てみてかったのも本音だよ。
そのために、“青の証”とか造って状況を整えたんだからね。
いや実際、凄くいい声で鳴いてくれたし』
「……酷い親父がいたもんだ」
『君に言われると傷つくなぁ。
息子と親しい女性を片っ端から食い漁ってた癖に』
「馬鹿を言え。
ちゃんと一番美味しいところは誠一に残しておいたぞ」
――と、なんだこの会話は。
仮にも六龍同士の会話だというのに、まるで自分の子供に関する世間話になってしまっている。
『ほんの少し。
本当にほんの少しだけれど、ティファレト、君が羨ましい。
六龍で最も低俗な性質の持ち主だったのに、最も真っ当な感性を獲得した。
生命を司る君は、僕達の中で一番真剣に人と向き合っていたからかもね――向かい合う手段は交尾だけど』
「褒めてんのか? けなしてんのか?」
『褒めてるんだよ、素直に喜べ』
本当か?
どうにも嘲りの臭いがするぞ。
『――うん、初めて君と本音で語り合えた気がするな。
意外なことに――気の迷いかもしれないけれど――危惧していたよりかは悪くない。
でも、ここまでか』
契約文字が、青い光体を覆い尽くていた。
もうじき、奴は消える。
『ハハ、六龍と言ったって大したことは無いね。
自分の子供一人満足に助けられない』
――それが、ケセドの残した最後の台詞だった。
契約文字は消え、何の混じりけも無い光のみがそこに残る。
その光も、室坂陽葵の身体へ吸収されていく。
「……まったくだ」
全て終わり、ため息を吐いた。
視線を落とし、自分の身体を見下ろすと、
「あー、俺様もそろそろか」
契約文字が体表に浮かんでいた。
自身の浄化も始まってしまったらしい。
「こうなった以上、ベターエンドもビターエンドもその可能性は潰えた。
後はベストエンドかバッドエンドだけだ。
やり遂げろよ、誠一」
最期に息子へエールを贈る。
遺言なんて柄じゃないが――ま、これ位いいだろう。
光る文字が増えるに従い、意識が薄れていった。
ティファレトとして生きた幾星霜が消えていく。
ただ純粋に世界を守護していた日々も。
狂って暴虐を働いた日々も。
雌という雌を犯し抜いた日々も。
東京で、嫁と出会ったあの日も。
彼女と一緒に過ごした日常も。
……彼女との別れも。
誠一と暮らした日々も、美咲と出会ってしまったことも、勇者達とバカやった日々も。
一切合切、全て。
ここまで来て不様は曝すまい。
訪れようとする終焉を、ただ黙って待――
「――やっぱ拝み倒してでも美咲と一発ヤっときゃ良かったかなぁ。
いや無理か? 無理だよなぁ、駄目だよなぁ」
つい、愚痴を零してしまった。
仕方ない。
これがティファレトなのだ。
消滅する寸前だからといって、自分が自分であることは止められない。
それで止められるなら、苦労は無い。
ま、ぐだぐだになってしまったが。
これにて俺様はおしまい。
――いざ、さらば。
第三十二話 完
並みの――いや、一流の冒険者ですら早々辿り着けないこの場所で、3人の男女が深刻な顔で立往生していた。
その中で唯一の女性であるリアが口を開く。
「……ど、どうしよ。
クロダが奥に行ってから、もう1時間以上経つのよ?」
「どうしようったって――どうしましょうかね?」
相槌を打つのは三下――もとい、サン・シータである。
「…………」
最後の一人、アーニーはただ沈黙し続けている。
「うーん、ジェラルドさんに頼んで援軍を呼んでみるとか」
「それ出来るんならとっくにやってるでしょーよぅ。
六龍と戦えなんて言われて首を縦に振る変人が、あっしら以外にいるとでも?」
「まあ、そうなんだけどさ」
そもそも、今の状況を打破できる人物が冒険者ギルドに居るかどうかも怪しい。
何せ、代理も含めれば勇者2人が手に負えていない案件である。
並大抵の冒険者では、足手まといにしかならないだろう。
「ふむむむむぅ……兄貴は何か考えあります?」
「…………」
サンが話を振るも、なお沈黙を続けるアーニー。
「さっきからあんた、なにずっとだまりこんでんのよ。
なんかこう、建設的な意見は無いわけ?」
「自分にアイデア無いからって兄貴に無茶ぶりすんのは良くねぇぜ、リアちゃん」
半ば八つ当たり気味にリアが言葉を投げつけたのを、サンが窘める。
しかし当の本人は我関せずといった様子で――
「――何か来る」
そう、呟いた。
「え?」
「兄貴、どういうことですか?」
その台詞にリアとサンが戸惑いの声を出す。
そんな2人へアーニーはさらに重ね、
「音だ。お前達にも聞こえるだろう」
「音って――――あっ!?」
訝しむリアだが、すぐに気付いた。
迷宮の壁、その向こうから、何かがぶつかるような、砕けるような音が響いていた。
その“音”はだんだんと大きくなり――
「あれ? ちょっと、なんか揺れてません? 揺れてますよね?
あっしら揺れてますよ!!?」
サンが叫んだ。
彼の言う通り、音と共に床が震えだした。
いや、床だけではない。
「この階層全体が揺れている、だと……!」
アーニーの顔が険しくなった。
揺れは次第に激しさを増していく。
天井にヒビが入り、パラパラと欠片が落ちる。
「何が起こってるのよ!?」
リアの叫びへ、
「知るか!!」
投げやりに返すアーニー。
「お、おお、おおお!? 来ますよっ!?
なんか来ちゃうっ!?」
サンの気色悪い声に誰かが突っ込むよりも先に。
――床が、吹き飛んだ。
「何なのよーーーーっ!!?」
少女の絶叫が響く中、床から2つの――青と黄の“光”が現れ。
誰かが何かをする暇も無く、“光”は天井を突き破って消えた。
程なくして、辺りに静寂が戻る。
「……あ、ありゃあ、ひょっとしてひょっとすると?」
サンが唇を震わせながら、口を開いた。
アーニーはそれに対して一つ頷くと、
「ああ、クロダだったな。
もう片方は、ケセドか?」
今彼らが見た光景を端的に言うならば。
黄色の光に包まれた黒田と、青の光に包まれた巨大な龍が。
取っ組み合いをしながら、迷宮を突き破っていった。
「どうなってんの、クロダ……?」
想像外の出来事に、リアはただ呆けるしかなかった。
「ははははははっ!! なかなかいいもんだな、龍同士の戦いってのも!!」
正直言って、“私”は興奮していた。
同じ龍同士で殺し合いをするという緊張感よりも、己の力を十全に発揮できることに高揚していたのだ。
『ま、六龍が戦うなんて史上初のことだからねぇっ』
ため息交じりのケセドも、こちらの発言を否定はしてこない。
奴もまたこの状況を愉しんでいるのだろう。
「おらぁっ!! ぶっ飛びやがれ!!」
そんな青龍の首根っこを掴んで、力任せに投げ飛ばす。
巨体が吹っ飛び、階層の壁に叩きつけられ――壁を壊して“その向こう”にまで飛んで行った。
「ふんっ!」
“私”もまた、それを追って壁の穴へと跳び込む。
空間が入り乱れた<次元迷宮>において、壁の向こう側とは単純な地続きの場所ではない。
その証拠に鋼鉄製の壁を破った先の光景は、灼熱のマグマが噴き出す地下洞だ。
肌を焦がす熱風を浴びるも、然したる問題はない。
“今の自分”にとってはそよ風以下だ。
『さっきから力任せばかりじゃないか』
階層の中央――溶岩の上に降り立ったケセドがそう呟くと、周囲の“熱”が奴に集まり出した。
熱を奪われたマグマが瞬く間に只の岩へと戻り、青龍の身体が膨大な熱量を帯びる。
『お返しだ』
その“熱”を龍の吐息に乗せて直接こちらへぶつけてきた。
さながらゴジ●の放射熱線――このネタ、通じない人もいたりするのだろうか?
「うおっ!?」
熱線を受け、今度は“私”が吹き飛ばされる。
というか、熱そのものよりもその“勢い”が辛い。
「イテ」
頭から壁に激突し、反射的にそんな言葉を零してしまう。
実際のところ、こんな攻撃でダメージを受けたりしないのだが。
「――と、今度は氷の迷宮か」
先程の熱線で、また別の階層に運ばれた模様。
奴との戦いではずっとこれの繰り返しだ。
龍の力は平然と次元の隔たりを破壊する。
「今度はこっちの番だぞ」
こちらの階層へ飛び込んでくるケセドを見据え、思い切り拳を握る。
“私”の拳と青龍の巨体が激突し――余波で階層の氷が全て蒸発した。
その後も戦いは続く。
砂流が渦巻く階層では、存在する砂全てをガラス状に溶とかし。
巨大な大樹を切り抜いて作られた迷宮では、大樹そのものが枯れ。
触手蠢く生体洞窟では、そこに生きるあらゆる生命体が死滅。
天空回廊では、空に浮かぶ浮島を地に叩き落した。
――幾つもの階層が破壊されていった。
はてさて、戦いを始めてから幾ばくの時間が経ったか。
「あー、まどろっこしい」
悪態をつく。
正確な時間を測っていないが、大分長いこと戦った。
しかし全力で攻撃し合っているといのに、お互い大したダメージを負っていない。
これは六龍が元々このグラドオクス大陸を“守護する”存在であることに起因している。
本質的に“私達”は攻撃性能より防御性能が高いのだ。
「龍同士だと、決め手に欠けて仕方がねぇ。
どうしたって泥仕合になってしまう――全く、面倒だよなぁ?」
『……ハァ……ハァ……ハァ……』
せっかく話しかけてやったと言うのに、ケセドからの反応が無い。
ただ大きく息を吐くのみだ。
『ば、馬鹿げてる――本気で脳筋だな、ティファレト。
まさか<次元迷宮>を崩壊させにかかるなんて』
忌々し気に“私”を見る青龍。
傷こそ負っていないものの、その姿は明らかに弱っていた。
そんなケセドをせせら笑う。
「力押しで潰せるならそうしようと思ってたんだがな。
どうにも決着つきそうにないんで、目標を返させて貰った」
ケセド本体は傷つけられないが、奴の媒介であれば話は別だ。
<次元迷宮>は青龍の媒介ではあるものの、何らかの守護が働いている訳ではない。
壊すことはそう難しくない。
『<次元迷宮>がどれだけ広大だと思ってるんだい?
龍の力をもってしても、早々破壊なんてできない筈なのに』
「お前も一緒になって暴れるからだ」
“私”だけであったなら、もっと時間がかかった。
相手を徹底的におちょくって、戦いが激しくなるよう誘導したのだ。
――頭脳派を気取ってくる癖に、随分とチョロい龍である。
もっとも、事前に奴の媒体が<次元迷宮>であることを知っていなければ、話は違っていただろう。
口は災いのもと、というやつだ。
「まあ、とはいってもまだ半分も壊せてないけどな。
それでもお前の力を減ずるには十分か」
元より互角の力を持つ者同士。
僅かな衰えが、勝負の趨勢を決めてしまう。
「さて――名残惜しいが、おしまいだ。
トドメ刺してやるよ」
『僕の“契約”を使うつもりかい?』
「その通り」
かつてケセドが誠一へ渡した<契約文字>。
今この身体が身につけている籠手と具足には、ソレが刻み込まれている。
契約内容は、『六龍が魔素によって歪められた時、その“神格”を消去し、存在を浄化する』というもの。
勇者の戦いに参加した他の龍共を抹消するため作られた代物だが――その内容上、ケセドも対象に含まれる。
奴の扱う<契約>は非常に強力だ。
ケセド自身であってもその力に逆らえない程に。
「策士策に溺れる、だな。
お前、頭使うの向いてねぇわ」
『僕の契約を利用する身分で、よく言うよ。
っていうか、なんかさっきから勝ち誇った顔してるけど君だってもう色々限界だろ?
足が震えてるし、汗も随分大量に流してるじゃないか』
「……武者震いだ」
確かに、少しだけ――本当に少しだけ、疲れているかもしれないが。
別段、何の支障もない。
……うむ、問題ない。
『まあ、僕達はほぼ不滅に近い存在だけど、媒体はその限りじゃないからね。
物質として存在する以上、消耗は免れない。
100%の力を発揮できても、それを継続できるかどうかはまた別の問題だ。
ましてや、君はまだ黒田誠一の身体を使い慣れていないし』
「いちいちうるさい野郎だな」
どちらにせよ、こちらが有利なのは間違いないのだ。
疲労は溜まっているが、今すぐどうこうなるレベルではない。
ここで“契約文字”を打ち込めば、確実に勝てる――
『もののついでにもう一つ言っておくけど』
――気楽な調子で、さらにケセドが話しかけてきた。
「……なんだ。今更命乞いは聞かねぇぞ」
『そんなことする訳ないだろ。
単に、その契約文字の使用説明をするだけさ』
あ、これは良からぬことを企んでる顔だ。
そう察せたものの、“私”が何かをするまえに奴は言葉を続けた。
『その契約ね、“使用者”にも効果を及ぼすようにしてあるんだ』
「はぁ!?」
変な声が出てしまった。
すると何か。
この契約文字をケセドに撃ち込んだら、“私”もまたその契約が適用される、ということか。
……浄化されちゃう?
「お前、なんでそんな仕様にしやがった!?」
『他の龍に悪用されたく無かったし、こんなこともあろうかとね。
人である黒田誠一が使う分には何のデメリットも無いんだから文句言われる筋合いはないな』
「この野郎」
こうなると、契約文字は使えない。
他の方法を考えなければ――と、そんな思案のところへ。
『まあ、でもさ――』
この期に及んで、まだケセドは喋る。
『――君、どうせ撃つんだろ?』
「はっ?」
奴の言葉を鼻で嗤った。
何を行ってるのか、この龍は。
自分が死ぬと分かっていて、使う阿保がどこにいる。
“私”はケセドを睨み付け、
「――当たり前だ!!」
<射出>行使
目標:原子核
陽子・電子・中性子を無限加速→原子破壊誘発
迷宮を構成する物質が次々と消失、エネルギーへと変換されていく。
瞬く間に“私”の周囲には何も無くなり、代わりに目が眩む程の光が一面を覆う。
『……ベクトル操作を利用した物質の純エネルギー化か。
一芸も、ここまで窮めれば大したもんだ』
物珍しい感嘆の声をしり目に、操作続行。
<射出>再行使
目標:純エネルギー
生成した全エネルギーを戦神の鎧へ注入
籠手と具足が眩い金色に輝く。
無限充電、完了!
「行くぞ!!」
『来い!!』
黄龍の全知全能をもって、自身を青龍へと撃ち放つ。
――決戦奥義が極致
疾風迅雷・殲滅式
<次元迷宮>を、極大の光矢が貫いた。
「げほっ、げほっ――なんだ、元の場所に戻ったのか」
大量の瓦礫――いったいどこの階層のものなのかは分からないが、とにかく瓦礫だ――を押しのけ、周囲を確認した。
ここは、ケセドが居を構えていた階層であり、要するに戦いを始めた最初の場所だ。
疾風迅雷で幾つもの階層を消し飛ばし、最終的にここへ戻ってきてしまったらしい。
「そういや陽葵は……無事か。
すやすや寝てやがる」
視界の端に、未だ倒れ伏した室坂陽葵の姿が見える。
大分派手に戦ったわけだが、幸いなことにその影響を受けていないようだ。
「ま、最低限気を付けてはいたが――ん?」
瓦礫が崩れる音。
その下から、青い“光体”が現れた。
「ハハ、なかなか愉快な姿になったじゃないか、ケセド。
もう龍の形態も保てないか」
『もう現界しているのがやっとって感じだね』
「……そのようだな」
嫌味を素直に受けとる程、弱っているようだ。
輝く契約文字が、“光体”に絡みついている。
もうじき、ケセドは消滅する――正確には、これまでケセドとして振る舞ってきた神格が消滅する。
『でも、消える前にやることはやっておかないと……』
そう言うと、青い光は陽葵の方へ――っておい!
「待て! この期に及んで何しようとしてやがる!!
負けた癖に往生際悪いぞ!?」
『別に警戒しなくていい。
害を加えるつもりは毛頭ないよ』
「…………」
やたら穏やかな口調だった。
奴を止めることを、躊躇ってしまう程に。
『さぁ、最期の一仕事だ……』
ケセドはその身体から、キラキラとした光の粒を陽葵へと降らせた。
少年を淡い光が包み、程なくしてそれは消える。
「何をした?」
『ちょっとした、魂の強化をね。
これから彼へ入り込む六龍の力に押し潰されないように』
「……そういうことできるんなら最初からやれよ」
魂の入れ替えなんてややこしい手段を使いやがって。
穏便に事を治めておけば、こうはならなかったものを。
『そんな大した代物じゃないんだ。
龍の力を安全に留め置けるようになっただけで、その力を行使したなら耐えられずに消滅する。
その程度の強化さ。
アハハ、黒田君には神格を浄化しとけば大丈夫って言ったんだけど、実のところ保管してるだけでもそれなりの負担にはなっちゃうんだよね』
こちらが考えていたことを察したのか、ケセドは自嘲気味にそう告げる。
『結局のところ、ただの延命措置。
僅かばかりの希望を残したに過ぎない』
青い光が明滅を繰り返しながら、言葉を紡いだ。
『色々手を尽くしてみたんだけどねぇ。
結局、僕には“ああいうやり方”しか陽葵を救う方法を見いだせなかった』
「随分とあのガキにご執心だな。
ただの道具じゃなかったのか?」
『道具だよ――でも、愛着はあった。
ほら、やっぱり、一応は僕の子供にあたるわけだからね。
できることなら、この先も無事に生きていって欲しいと思っていたんだよ』
……驚いた。
こいつ、そんな“普通のこと”を考えていたのか。
というか、そういうことを考えながら、あんな発狂してもおかしくない――もとい、発狂しない方が不思議な目に陽葵を遭わせたのか。
「もっと優しく扱ってやれよ、そんな風に想ってるんなら」
『それは無理だ、なんたって僕は――狂ってるんだから。
健やかに生きて欲しいと願う一方で、陽葵の泣き叫ぶ姿を見てみてかったのも本音だよ。
そのために、“青の証”とか造って状況を整えたんだからね。
いや実際、凄くいい声で鳴いてくれたし』
「……酷い親父がいたもんだ」
『君に言われると傷つくなぁ。
息子と親しい女性を片っ端から食い漁ってた癖に』
「馬鹿を言え。
ちゃんと一番美味しいところは誠一に残しておいたぞ」
――と、なんだこの会話は。
仮にも六龍同士の会話だというのに、まるで自分の子供に関する世間話になってしまっている。
『ほんの少し。
本当にほんの少しだけれど、ティファレト、君が羨ましい。
六龍で最も低俗な性質の持ち主だったのに、最も真っ当な感性を獲得した。
生命を司る君は、僕達の中で一番真剣に人と向き合っていたからかもね――向かい合う手段は交尾だけど』
「褒めてんのか? けなしてんのか?」
『褒めてるんだよ、素直に喜べ』
本当か?
どうにも嘲りの臭いがするぞ。
『――うん、初めて君と本音で語り合えた気がするな。
意外なことに――気の迷いかもしれないけれど――危惧していたよりかは悪くない。
でも、ここまでか』
契約文字が、青い光体を覆い尽くていた。
もうじき、奴は消える。
『ハハ、六龍と言ったって大したことは無いね。
自分の子供一人満足に助けられない』
――それが、ケセドの残した最後の台詞だった。
契約文字は消え、何の混じりけも無い光のみがそこに残る。
その光も、室坂陽葵の身体へ吸収されていく。
「……まったくだ」
全て終わり、ため息を吐いた。
視線を落とし、自分の身体を見下ろすと、
「あー、俺様もそろそろか」
契約文字が体表に浮かんでいた。
自身の浄化も始まってしまったらしい。
「こうなった以上、ベターエンドもビターエンドもその可能性は潰えた。
後はベストエンドかバッドエンドだけだ。
やり遂げろよ、誠一」
最期に息子へエールを贈る。
遺言なんて柄じゃないが――ま、これ位いいだろう。
光る文字が増えるに従い、意識が薄れていった。
ティファレトとして生きた幾星霜が消えていく。
ただ純粋に世界を守護していた日々も。
狂って暴虐を働いた日々も。
雌という雌を犯し抜いた日々も。
東京で、嫁と出会ったあの日も。
彼女と一緒に過ごした日常も。
……彼女との別れも。
誠一と暮らした日々も、美咲と出会ってしまったことも、勇者達とバカやった日々も。
一切合切、全て。
ここまで来て不様は曝すまい。
訪れようとする終焉を、ただ黙って待――
「――やっぱ拝み倒してでも美咲と一発ヤっときゃ良かったかなぁ。
いや無理か? 無理だよなぁ、駄目だよなぁ」
つい、愚痴を零してしまった。
仕方ない。
これがティファレトなのだ。
消滅する寸前だからといって、自分が自分であることは止められない。
それで止められるなら、苦労は無い。
ま、ぐだぐだになってしまったが。
これにて俺様はおしまい。
――いざ、さらば。
第三十二話 完
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