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アニドル20『凛奈&翔』
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「2人が繋がって、ファンは喜んでくれるのか……なって。」
桜小路と真玉は顔を見合わせた。
「賢ちゃんは……全力を尽くすのみ、なんじゃないかな。」
桜小路がそうつぶやいた。hoper唯一の現役彼氏の言う事は、なんだか凡人とは違う。気がする。
「そうだな……。」
しんみりとした空気の中、蟹がグツグツと煮えたぎった。
こうして、再び「☆ごぉです☆」の日がやって来た。蓼丸は、テレビの前に座っている。……のだが、少々へこみ気味だ。
「……麗亜ちゃーーーーん!!!!!!!!!!どこに行ってしまったのー!」
蓼丸は、携帯を取り出すと、電話を始めた。
トゥルルルルルルルトゥルルルルルルル
おかけになったでんわをおよびしましたがおでになりません
「はぁ……だよなぁ……。今更出ないよなぁ……。」
麗亜からの連絡がここ数日途絶えている。とりあえず、このアニメを観たら何か分かるかもしれない、とスタンバイしているのだ。
「☆ごぉです☆始まるよっ!」
凛奈が、きゃるんっとそう言った。只今時刻0時。
「あれ、今日は凛奈ちゃんだ。」
少々不満そうに蓼丸は呟いた。
爽やかな朝。麗亜が1人、通学路を歩いている。暗い顔だ。それもそのはず。昨日、翔に好きな人がいることがバレてしまったのだ。それも、国民的アイドルと言っても過言ではないくらいのレベルの人だ。
「よぉ、麗亜。おはよ。」
後ろからふと、翔の声がした。振り向くと、翔はいつもと変わらない、何食わぬ顔で歩いていた。
「あぁ、翔くん。おはよ。」
麗亜もいつも通り話そうとしたが、難しかった。
「れいれーい!おっはよう!」
何も知らない凛奈が、いつも通り吹っ飛んできた。
「凛ちゃん。おはよ。」
「あ、滝本くんも!おはよう!」
「おう。」
こうして3人で歩く通学路も、残り1年となった。高校卒業後は、おそらくみんな別々の場所で過ごすことになる。それでも、この固い絆は壊れないだろう。3人は学校に着いた。入口から1番近い教室は麗亜のクラスだ。
「じゃあねー!」
翔と凛奈の2人になる。
「ねぇ、滝本くん。」
凛奈が話し掛けた。凛奈から話し掛けることは、滅多にない。
「ん?」
「あのさ……後で、話したいことがあるんだ。放課後、屋上来てくれない?」
「お?おう。」
「ありがとっ!じゃね!」
凛奈も自分のクラスに入った。翔も、不審に思いながら、その隣の教室に入った。凛奈が翔に、一体何の用があるのだろうか。
蓼丸は、意外な展開に目を丸くしていた。というより、テンションが上がっていた。
「え?これは絶対告白パターンでしょ!屋上とか!ベタだし!え?凛奈ちゃんは翔が好きなのか!そうなのか!?え!?」
『☆ごぉです☆』が今度の3月で終わるとこの間発表されたが、ここに来てこの展開は誰も予想だにしていなかっただろう。……まぁ、まだ告白すると決まったわけではないが。
屋上に向かって、翔が階段を上っていく。ドアを開けると、風に髪をなびかせながら凛奈が後ろ向きで立っていた。
「お待たせ。」
凛奈は、おもむろに振り返ると、翔に真っ直ぐ立った。
「滝本くん。私、た、滝本くんのことが……好き……です……。」
「え!?」
翔が心底驚いた声を出した。
「滝本くんが、れいれいと付き合ってることも、れいれいのことが好きなことも、もちろん知ってる。でも、やっぱり好き……です……。この気持ちだけ、伝えたくてっ……れいれいには、悪いなと思ってるんだけど……。」
「……。俺は、麗亜の事が好き。ごめん。でも、麗亜は俺のことが好きじゃないんだ。」
「えっ!?」
凛奈が素っ頓狂な声を出した。麗亜と翔は完全に両思いだと思っていた。
「麗亜は、hoperの蓼丸さんが好きなんだって。」
「なんだ。アイドルじゃない。」
安堵した凛奈に翔は首を降った。
「……連絡取りあってるんだよねー。」
「どういうこと?」
凛奈がまたもや素っ頓狂な声を出した。
「分からない。でも、もう俺には興味が無いんだよ。」
「そっか……じゃ、じゃあ、私にも、チャンスはある?」
「……うん。」
「やった!って……喜んじゃダメだよね。」
「良いよ。」
2人は、屋上を出た。
「えー!?凛奈ちゃん!?予想通りに告った!?告るの!告白しちゃうの!?えー!?」
部屋で1人取り乱す蓼丸。CM明け、一体どうなるのか……。
「って今週もう、☆ごぉです☆終わりじゃん!」
[どう?この感じ。]
[ダメでしょ。]
[あ、あのさ。もう、手は打っちゃったんですが……。]
[[えっ!?]]
アニドル21『2人の秘密』に続く!
桜小路と真玉は顔を見合わせた。
「賢ちゃんは……全力を尽くすのみ、なんじゃないかな。」
桜小路がそうつぶやいた。hoper唯一の現役彼氏の言う事は、なんだか凡人とは違う。気がする。
「そうだな……。」
しんみりとした空気の中、蟹がグツグツと煮えたぎった。
こうして、再び「☆ごぉです☆」の日がやって来た。蓼丸は、テレビの前に座っている。……のだが、少々へこみ気味だ。
「……麗亜ちゃーーーーん!!!!!!!!!!どこに行ってしまったのー!」
蓼丸は、携帯を取り出すと、電話を始めた。
トゥルルルルルルルトゥルルルルルルル
おかけになったでんわをおよびしましたがおでになりません
「はぁ……だよなぁ……。今更出ないよなぁ……。」
麗亜からの連絡がここ数日途絶えている。とりあえず、このアニメを観たら何か分かるかもしれない、とスタンバイしているのだ。
「☆ごぉです☆始まるよっ!」
凛奈が、きゃるんっとそう言った。只今時刻0時。
「あれ、今日は凛奈ちゃんだ。」
少々不満そうに蓼丸は呟いた。
爽やかな朝。麗亜が1人、通学路を歩いている。暗い顔だ。それもそのはず。昨日、翔に好きな人がいることがバレてしまったのだ。それも、国民的アイドルと言っても過言ではないくらいのレベルの人だ。
「よぉ、麗亜。おはよ。」
後ろからふと、翔の声がした。振り向くと、翔はいつもと変わらない、何食わぬ顔で歩いていた。
「あぁ、翔くん。おはよ。」
麗亜もいつも通り話そうとしたが、難しかった。
「れいれーい!おっはよう!」
何も知らない凛奈が、いつも通り吹っ飛んできた。
「凛ちゃん。おはよ。」
「あ、滝本くんも!おはよう!」
「おう。」
こうして3人で歩く通学路も、残り1年となった。高校卒業後は、おそらくみんな別々の場所で過ごすことになる。それでも、この固い絆は壊れないだろう。3人は学校に着いた。入口から1番近い教室は麗亜のクラスだ。
「じゃあねー!」
翔と凛奈の2人になる。
「ねぇ、滝本くん。」
凛奈が話し掛けた。凛奈から話し掛けることは、滅多にない。
「ん?」
「あのさ……後で、話したいことがあるんだ。放課後、屋上来てくれない?」
「お?おう。」
「ありがとっ!じゃね!」
凛奈も自分のクラスに入った。翔も、不審に思いながら、その隣の教室に入った。凛奈が翔に、一体何の用があるのだろうか。
蓼丸は、意外な展開に目を丸くしていた。というより、テンションが上がっていた。
「え?これは絶対告白パターンでしょ!屋上とか!ベタだし!え?凛奈ちゃんは翔が好きなのか!そうなのか!?え!?」
『☆ごぉです☆』が今度の3月で終わるとこの間発表されたが、ここに来てこの展開は誰も予想だにしていなかっただろう。……まぁ、まだ告白すると決まったわけではないが。
屋上に向かって、翔が階段を上っていく。ドアを開けると、風に髪をなびかせながら凛奈が後ろ向きで立っていた。
「お待たせ。」
凛奈は、おもむろに振り返ると、翔に真っ直ぐ立った。
「滝本くん。私、た、滝本くんのことが……好き……です……。」
「え!?」
翔が心底驚いた声を出した。
「滝本くんが、れいれいと付き合ってることも、れいれいのことが好きなことも、もちろん知ってる。でも、やっぱり好き……です……。この気持ちだけ、伝えたくてっ……れいれいには、悪いなと思ってるんだけど……。」
「……。俺は、麗亜の事が好き。ごめん。でも、麗亜は俺のことが好きじゃないんだ。」
「えっ!?」
凛奈が素っ頓狂な声を出した。麗亜と翔は完全に両思いだと思っていた。
「麗亜は、hoperの蓼丸さんが好きなんだって。」
「なんだ。アイドルじゃない。」
安堵した凛奈に翔は首を降った。
「……連絡取りあってるんだよねー。」
「どういうこと?」
凛奈がまたもや素っ頓狂な声を出した。
「分からない。でも、もう俺には興味が無いんだよ。」
「そっか……じゃ、じゃあ、私にも、チャンスはある?」
「……うん。」
「やった!って……喜んじゃダメだよね。」
「良いよ。」
2人は、屋上を出た。
「えー!?凛奈ちゃん!?予想通りに告った!?告るの!告白しちゃうの!?えー!?」
部屋で1人取り乱す蓼丸。CM明け、一体どうなるのか……。
「って今週もう、☆ごぉです☆終わりじゃん!」
[どう?この感じ。]
[ダメでしょ。]
[あ、あのさ。もう、手は打っちゃったんですが……。]
[[えっ!?]]
アニドル21『2人の秘密』に続く!
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