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アニドル1『ばれてた!』
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最近デビュー三周年を迎えたアイドルグループ、hoper。今日のCDのジャケット撮影の上がり時刻は二十六時。
「おつかれっしたー。」
「おつかれさまでしたー!」
雲母、真玉がいつものように最初に帰る。二人は中学の時からの親友だ。
「おつかれさまでしたー、また明日ー。」
永穂が帰る。最年長の永穂は、hoperのまとめ役だ。みんな分のゴミを持ち帰る。
「おつかれさまっしたー。」
淳田も控室を出る。淳田はいじられ担当だ。つけられたあだ名は、色鉛筆しんちゃん。
「おつかれさまでした。」
桜小路も帰る。桜小路はhoper一の真面目で、雲母に次ぐ人気者だ。こうして、いつも最後に残るのは蓼丸。蓼丸は、正直言ってまだまだな若造。しかし人気は衰えをまったく見せない。デビュー前からまぁまぁ人気だ。
「た、蓼丸さん?」
「あ、すみません。今出ます。おつかれさまでしたー。」
今回の主役はこの男、蓼丸賢太郎だ。蓼丸には、未だに誰も知らない秘密がある……。
今日は歌番組の収録だ。歌のうまさは、桜小路が一番。聞くに堪えないくらい下手な奴はいない。今日歌うのは、雲母が主演を務めるドラマの主題歌だ。
「hoperさん入りまーすっ!」
「お願いしまーす。」
収録が始まった。
「最初に歌っていただくのは、初登場のhoperです!」
「よろしくお願いしまーす。」
「今日は、雲母さんが主演を務める『これからもずっと』の主題歌をうたっていただきます!」
ステージに上る。なんだかんだこの瞬間が嬉しい、と蓼丸は思った。
「どうぞ!」
前奏が流れ、ファンの歓声が響く。
「この世にこの空気を遮るものはないから、同じ空気を吸って生きているんだよと。」
今日の撮影も、無事終わった。今から久しぶりに六人で打ち上げだ。
「よっしゃどこ行く!」
「きらがきめてー。」
「駿ちゃん何食べたい?」
「ぼ、僕?」
「無難に焼肉でよくない?」
「焼肉ね!いいんじゃない?」
「えー、昼から?」
「じゃあしんのすけは何がいいんだよ。」
「野原じゃねーよ。」
「「「「「(笑)」」」」」
結果焼肉屋に決まり、サングラスに帽子で楽屋を出た。
「何名様ですか?」
「あ、六人です。」
努めて低い声で永穂は言った。
「六名様ですね~!いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー!」
久しぶりの六人で外食にhoperはキンチョー気味に店員さんについて行った。
「お飲み物は?」
「あー、どうする?」
「俺ウーロン茶。」
「俺もー。」
「僕も。」
「カルピス。」
「えー、ウーロン茶でいいや。」
「えーと、ウーロン茶四つにカルピス二つ。」
「かしこまりました!」
ゾロゾロと掘りごたつに座る。
「えっとさぁ、ケンシロウ。」
緊張した面持ちで、淳田が切り出す。
「あ、俺?ケンタロウだけど。」
今度は永穂が口を開く。
「実はおれら知ってんだ。」
「え、何を!?」
「お前が……アニヲタな事……。」
「え、そうなの!?」
真玉がでかい声を出す。
「そ、そうだよ。なんで知ってんの?」
今度は桜小路が話し出す。
「いや、この間賢ちゃんの待ち受け画面がさぁ、見えちゃったんだよ。」
「み、ミタノ!?」
蓼丸がスマホをポッケに隠す。それを雲母が素早く奪うと、待ち受け画面を開いた。
「ぶふっ、何これ。」
この事実を知らなかった「きらまた」は画面をガン見する。そこにうつっていたのは、大人気アニメ「☆ごぉです☆」のれいれいこと新島麗亜だ。
「れ、麗亜ちゃんだよっ!!可愛いだろ!!」
……。メンバーからの意味深な視線。
「それでさぁ、賢太郎。」
「はい。」
突然最年少ぶる蓼丸。
「アニヲタでいいよ、麗亜ちゃんが好きでいいよ。ただ、世にその情報流さないようにしよう。」
「はい、それはもう。」
「ファンの気持ち、分かるでしょ?」
「はい、もちろんです。」
「賢ちゃんのイメージはクールで且つ優しいんだよ。」
「はい。」
「気をつけて、麗亜ちゃんとお幸せに。」
「は、はい。えへ。」
そう、この男、「☆ごぉです☆」のガチファンだ。
アニドル2『☆ごぉです☆』へ続く!
「おつかれっしたー。」
「おつかれさまでしたー!」
雲母、真玉がいつものように最初に帰る。二人は中学の時からの親友だ。
「おつかれさまでしたー、また明日ー。」
永穂が帰る。最年長の永穂は、hoperのまとめ役だ。みんな分のゴミを持ち帰る。
「おつかれさまっしたー。」
淳田も控室を出る。淳田はいじられ担当だ。つけられたあだ名は、色鉛筆しんちゃん。
「おつかれさまでした。」
桜小路も帰る。桜小路はhoper一の真面目で、雲母に次ぐ人気者だ。こうして、いつも最後に残るのは蓼丸。蓼丸は、正直言ってまだまだな若造。しかし人気は衰えをまったく見せない。デビュー前からまぁまぁ人気だ。
「た、蓼丸さん?」
「あ、すみません。今出ます。おつかれさまでしたー。」
今回の主役はこの男、蓼丸賢太郎だ。蓼丸には、未だに誰も知らない秘密がある……。
今日は歌番組の収録だ。歌のうまさは、桜小路が一番。聞くに堪えないくらい下手な奴はいない。今日歌うのは、雲母が主演を務めるドラマの主題歌だ。
「hoperさん入りまーすっ!」
「お願いしまーす。」
収録が始まった。
「最初に歌っていただくのは、初登場のhoperです!」
「よろしくお願いしまーす。」
「今日は、雲母さんが主演を務める『これからもずっと』の主題歌をうたっていただきます!」
ステージに上る。なんだかんだこの瞬間が嬉しい、と蓼丸は思った。
「どうぞ!」
前奏が流れ、ファンの歓声が響く。
「この世にこの空気を遮るものはないから、同じ空気を吸って生きているんだよと。」
今日の撮影も、無事終わった。今から久しぶりに六人で打ち上げだ。
「よっしゃどこ行く!」
「きらがきめてー。」
「駿ちゃん何食べたい?」
「ぼ、僕?」
「無難に焼肉でよくない?」
「焼肉ね!いいんじゃない?」
「えー、昼から?」
「じゃあしんのすけは何がいいんだよ。」
「野原じゃねーよ。」
「「「「「(笑)」」」」」
結果焼肉屋に決まり、サングラスに帽子で楽屋を出た。
「何名様ですか?」
「あ、六人です。」
努めて低い声で永穂は言った。
「六名様ですね~!いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー!」
久しぶりの六人で外食にhoperはキンチョー気味に店員さんについて行った。
「お飲み物は?」
「あー、どうする?」
「俺ウーロン茶。」
「俺もー。」
「僕も。」
「カルピス。」
「えー、ウーロン茶でいいや。」
「えーと、ウーロン茶四つにカルピス二つ。」
「かしこまりました!」
ゾロゾロと掘りごたつに座る。
「えっとさぁ、ケンシロウ。」
緊張した面持ちで、淳田が切り出す。
「あ、俺?ケンタロウだけど。」
今度は永穂が口を開く。
「実はおれら知ってんだ。」
「え、何を!?」
「お前が……アニヲタな事……。」
「え、そうなの!?」
真玉がでかい声を出す。
「そ、そうだよ。なんで知ってんの?」
今度は桜小路が話し出す。
「いや、この間賢ちゃんの待ち受け画面がさぁ、見えちゃったんだよ。」
「み、ミタノ!?」
蓼丸がスマホをポッケに隠す。それを雲母が素早く奪うと、待ち受け画面を開いた。
「ぶふっ、何これ。」
この事実を知らなかった「きらまた」は画面をガン見する。そこにうつっていたのは、大人気アニメ「☆ごぉです☆」のれいれいこと新島麗亜だ。
「れ、麗亜ちゃんだよっ!!可愛いだろ!!」
……。メンバーからの意味深な視線。
「それでさぁ、賢太郎。」
「はい。」
突然最年少ぶる蓼丸。
「アニヲタでいいよ、麗亜ちゃんが好きでいいよ。ただ、世にその情報流さないようにしよう。」
「はい、それはもう。」
「ファンの気持ち、分かるでしょ?」
「はい、もちろんです。」
「賢ちゃんのイメージはクールで且つ優しいんだよ。」
「はい。」
「気をつけて、麗亜ちゃんとお幸せに。」
「は、はい。えへ。」
そう、この男、「☆ごぉです☆」のガチファンだ。
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