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ホームルーム
しおりを挟む転校初日、分かったことが2つ。
一つ目は、能力者以外の人間も存在すること。
二つ目はこの学校が無駄に広くデカイということ。
変な男の子と遭遇したあと、走って逃げてた私は、自分がどこにいるのかわからなくなり
担任に見つけ出されるまで迷子になっていた。
ホームルームの時間に近かったので慌てて二人で教室に向かう。
私のクラスの担任は若い美人な女教師。花園先生。
ショートカットの藍色の髪の毛、色白の頬に赤い唇。目元がキリッとしていて厳しそう...。
「すいません。広くて...」思わず謝ってしまった。
「いーのよ。この学校無駄に広いから迷って当然よ。」といいながら歯を見せて笑った。
良かった見かけによらず優しそう、それに、
先生の声ちょうどいい高さで心地がいい。
そんなことを考えていると、足が止まる。
【2―E】
ここだ。緊張する。
「だいじょーぶよ?みんな優しいから。」
震える私を心配したのか、先生が扉を開く前にこえをかけてくれた。
「ふぅ...ダイジョーブデス。」
覚悟を決めて先生をみる。
先生は笑いながら教室に入った。
ざわっ...
私が足を踏み入れた瞬間、教室が騒がしくなった。途端、混ざり合う不協和音に顔をしかめてしまった。すると、
ガタン
「うるせーぞおまえら!」と言って後ろの席の男の子が椅子を蹴り、立ち上がった。
赤い髪の毛と吸い込まれそうな赤い瞳、長身の男の子だ。
大きい音が苦手な私は、思わず悲鳴をあげてしまった。
すると、椅子を蹴った男の子はばつが悪そうに頭をかいた。そして何故か、こっちに向かってくる。
「来い...」彼は、短く私にいい放ち、
腕をつかんで後ろの空席に引きずっていった。
何が起こったかいまいち理解できてない私は、
先生の方を見た。
でも、何故か先生はなにも言わずにニヤニヤしてるだけで...。
「おいっ...」
いきなり赤い髪の毛の男の子に呼ばれた。
低い声にからだをビクッとさせた。
「ごめん、びびらせて...でもお前目立つの嫌そうだったから。」と言って優しく笑った。
あまりの変貌に思わず開いた口が塞がらない。
よくよくみるとまつげ長い、笑うと犬みたい
可愛い!
怖くて本人には言えないけど...
いつまでたっても喋り出さない私に彼は、
「夏目 力...」と呟いた。どうやら自己紹介らしい。
「なつめ..くん?」
「力でいい。」視線をこちらに向けずぶっきらぼうにいい放つ彼。
どーしよう?自己紹介した方がいいよね?
でもみんなにもまだしてないし、
慌てて先生に視線を向けた。
すると、「いやー、転校初日におもしろいもんみれたわー。夏目くんって意外と...」
「うるせぇ」
先生がからかい?の視線を含めて力くんをみると力くんは間髪を入れずに、突っ込んだ。
二人のやり取りに教室がどっと沸く
よくわからなかったけど、良かった。このクラスに馴染めそう。このクラスの音は暖かい。
ホッとしている私に花園先生は、自己紹介するようにと促してくれた。
立ち上がって「不律 舞桜です。」と早口で言って座った。目立ちたくなかったんだもん。
そんな雑な自己紹介だったけど、成功したみたい。
教室はあたたかい拍手に包まれた。
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