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突破した先に

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不可解なことが起きた。
オミト達を取り囲み、絶対的に優位な立場にいたブラホード達クーデター軍から、突然四方八方で悲鳴が上がり出したからだ。


「一体なんだというのだ・・・?」


決死の覚悟で突破を試みていたオミト達も、いきなり起きた状況に唖然とする。


「どうした!状況を報告しろ!!」


心を乱しているのはオミト達だけではない。
騒乱が起きている側のブラホードも当然、泡を食って状況確認している。


「攻撃です!攻撃を受けています!」


ブラホードの元へやってきた伝令兵が、悲痛な叫びを上げた。
オミト達を待ち伏せし、確実に取りこぼさないために包囲まで仕掛けていたブラホード。彼の心にあったのは、絶対的な勝利への確信のみのはずだった。それが一転して身に危険に迫っているのだから、動揺は相当のものであった。


(一日のうちに二転三転と状況が変わる・・・ブラホードも大変だな)


ころころと状況が変わっててんやわんやするブラホードを見て、オミトは少しだけ同情をする。
だが、ただ見ているわけにはいかない。クーデター軍に何が起きているのかはわからないが、これはオミト達も包囲網を脱する絶好の機会だった。


「今が最大のチャンスだ。包囲網の薄いところを突くぞ」


小声でオミトが仲間に言う。
そしてその時は来た。


「行くぞっ!!」


慌てふためくクーデター軍の包囲網の中から、最も薄いと思われるところを見極めてオミトが突撃の号令をかける。
一瞬遅れてオミト達の突撃に気付いた目の前に立ちはだかるクーデター軍の騎士は、まずドロシーの火炎魔法を浴びせられて怯んだところに、抜刀したオミトに首をはねられた。
そして更に一人、二人・・・
スタミナ切れになる寸前までオミトが剣を振るったところで、漸く包囲網を突破することができた。


「さぁ、行くっすよ!」


オミトより遥かに大柄な仲間の騎士が、スタミナ切れで動けなくなったオミトを担ぎ上げて逃走しようとする。
だが、そうしようと思ったところでオミト達は動きを止めた。
彼らの前に更に立ちはだかる者達がおり、壁となっていたからだ。


「・・・なっ・・・?」


オミトは立ちはだかっている人間を見て、驚愕に目を見開いた。
そこにいたのは、この場にはいないはずのエーペレスだったからだ。
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