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光明

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「はぁっ・・・はぁ・・・ようやく、ここまで来たか」


オミト達が時折クーデター兵の襲撃に遭いながらも、どうにか目指していた場所へと近づくことが出来ていた。
オミト達が目指していた場所・・・それはルーデル家の屋敷である。
どうにか裏道という裏道を使い極力敵との接触を避けながら、屋敷を見下ろせる丘の上までやってきていた。


「やはり、あそこはまだ落ちていない」


オミトは双眼鏡を使い、屋敷の様子を伺いながら言った。
ルーデル家の屋敷・・・それは真っ先にブラホード達が落としそうでいて、実のところまだ攻略出来ていない場所であったのだ。


「騎士団本部は落ちている様子だったのに、どうして屋敷が・・・」


これまでずっと死人の種の調査でこの近辺に詳しくなったドロシーは、騎士団本部に近いルーデル邸がいまだ独立を保っていることに疑問を抱いた。
ルーデル邸はクーデター軍からすれば、まず優先して押さえておきたいところの一つだろう。
領主であるリュートがブラホード側とはいえ、ルーデル家の象徴である屋敷を押さえすればそれが両軍の士気に大きく影響する。
ルーデルの戦力の集う騎士団本部と、ルーデルの象徴であるルーデル邸・・・この二つがブラホードの手に落ちれば、このクーデターは一段落するところまで一気に近づくはずだった。


「屋敷にいる使用人達は、あれでいて武芸に長けているからな」


クーデター軍がルーデル邸を攻略出来なかったのには、屋敷の使用人達の抵抗が凄まじいことが理由にあった。
ルーデルに仕える使用人達の中に、非戦闘員は実のところ一割にも満たない。
そして屋敷は百戦錬磨の辺境伯家だけあって、いざという時に籠城できるように作られている。

使用人達は戦に直接出ることはないが、万が一にルーデル邸に攻め入られたときには抗戦出来るように訓練されていた。
皮肉なことに、その訓練の成果が今、かつての仲間であったクーデター軍に対して発揮されているのだ。
屋敷にいるリュートや彼に従う一部の者がいたところで、防衛戦の障害にはなってはいないようだった。



「よし、どうにか隙を突き、あそこで合流するぞ」


オミトの声に少しばかり張りが出た。
この絶望的な状況から脱出できる光明を見いだせたからだ。


だが、そんなにすんなりとはオミトの思う通りには行かなかった。
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