国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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守る約束

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ブラホード達がクーデターを決行していたその頃、大騒ぎになっていたのはオミト達を追い詰めていたドロシー達アルス教の者達だった。

何しろオミト達を武力制圧したと思ったら、今度は逆に制圧されそうになっているからである。
アルス教の騎士達は、予想される相手が持つだけのそれを越えるだけの戦力を揃え、完全に自分達の目的を達したと思っていた。
だが、死人の種の密輸犯として拘束するべきだったリーダー・ブラホードに逃げられたかと思うと、今度はオミト達が引き連れていたそれよりも遥かに大きな数の黒の騎士団の面々が武装蜂起した。

アルス教団側は、いつの間にやらクーデターに巻き込まれた形になってしまったのだ。
死人の種の密輸団を取り締まるどころの話ではなくなった。数では完全にクーデター軍側が上回っている。


「ぐわーっ!」


クーデター軍は、アルス教の騎士達に問答無用で斬りかかってくる。
教団の騎士達はクーデターの障害になりかねないために、皆殺しにせよという指令が出されていた。


「くっ!こいつら・・・我々はアルス教団の・・・」


「うるせぇ!人の庭に入り込んでおきながら、四の五の言うんじゃねぇ!!」


アルス教団の騎士と言えば、世界各国でそれなりの免罪符になり得るはずだった。
だが、クーデターを決行中の黒の騎士団には何の意味もない。ただ障害だから殺す、それだけだ。
投降すら認めない。


「やめろ!お前達、報復が怖くないのか!?」


教団による報復をちらつかせる騎士もいたが、それ以上物を言うことなくその首は落とされた。
世界のアルス教だろうがなんだろうが、この場にいる全員を殺してしまえば本部にそれが伝わることはない。
アルス教の騎士は百戦錬磨の黒の騎士団に適うはずもなく、一方的に蹂躙されていく。


「状況が随分と変わったようだな」


迫りくるクーデター軍を眺めながらオミトは、呆然としているドロシーに皮肉った。
ドロシーは顔を青ざめさせ、何も言葉を発せないでいる。

オミトは溜め息をつき、硬直してしまっているドロシーの腕を引いた。


「仕方がない。逃げるぞ。俺は一応、君を守ると約束したからな」
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