国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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余興の終わり

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オミトからはっきりと拒絶の言葉を向けられたドロシーは、あからさまに落胆した表情を見せた。
それを見てオミトも思うところはあるが、それでも彼がしっかりと持っている数十年ルーデル家に仕えてきた矜持は揺るがない。
ルーデルに害なる者は、いかなる者とて相手になるし、決して屈することはない。
それが例え、一時心を許したドロシーが相手であっても、オミトは考えを変えるつもりはなかった。


「・・・そうですか。残念です」


はぁ、と小さく溜め息をついてから、ドロシーはそう言った。


「まぁ、オミトさんを捕らえさせていただいて、じっくり時間をかけて説得するという方法もありますしね」


微笑を浮かべてそう続けるドロシーに、オミトはニヤリと笑みを浮かべながら返す。


「はてさて、そう上手くいくかな?俺とて、大人しくしているつもりはないぞ」


得物のコテツに手をかけオミトがそう言うと、ラルス教の神官達が武器を向け緊迫した空気になる。

オミトとて、この神官達の包囲網を突破できるとは考えていなかった。
一人一人の腕前は未知数だが、もしオミトより下であったとしても数が違い過ぎる。包囲網を突破しようと奮闘している最中に、スタミナ切れになって動けなくなるのがオチである。

そして、ドロシーはオミトがすぐにスタミナ切れを起こすことも知っている。
オミトが例えハッタリをかましたとしても、それは不発に終わるだろう。ドロシーはこの場での勝利を確信しており、本気でオミトを捕らえるつもりなのだ。


(まさか、ドロシーを相手にすることになろうとはな)


オミトは思わず苦笑いを浮かべる。
一緒にリュートのことを探っているときは、何があっても彼女を守るとまで考えていたのに、今では剣を向ける相手になってしまっている。

ブラホードの言う事を、少しは信じていればこんなことにならなかったのだろうか?
そんなことを頭の片隅で考えていた・・・そのときだった。


「さてさて・・・余興は終わったかな?」


それまで大人しくしていたブラホードが、急にそう言いだした。


「初老の男と若い女のドラマ・・・面白いものを見せてもらった。だが、こちらにも予定というのがあるのでね。これからはこちらの番ということで、次の予定の方へ入らせてもらって良いだろうか」


オミトもドロシーも神官も、皆が怪訝な顔でブラホードを見る。
こいつ、何を始めるつもりだ?と、皆が同じことを考えた。
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