国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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間者

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「い、一体なんだ!?」


突然起きた出来事に、オミトは得物に手をかけ身構えた。
ブラホードが仕組んだ伏兵か?と思い戦闘体勢を取ろうとしたオミトだったが、そこへ横からドロシーの手が得物に触れているオミトの手に添えられる。


「ドロシー・・・?」


オミトが怪訝な目でドロシーを見ると、彼女は神妙な顔をしながら言った。


「大丈夫です。今は大人しくしていてください、オミトさん」


「なんだって・・・?」


まるで今起きていることが理解出来ているようなドロシーの態度に、オミトは頭の中が混乱する。
そんなオミトを見ていたブラホードが、くっくっくっと肩を揺らして笑っていた。


「いよいよ種明かしのときのようだね、オミト」


「何・・・?」


ドロシーだけでなく、ブラホードの今の状況を理解出来ているだろうことに、ますますオミトの混乱が深まった。
知らないのは自分だけ。

当事者から突然にして部外者になってしまったかのようなこの状況に、オミトだけでなく共に突入してきた騎士達も困惑していた。

そして建物入口の方から聞こえてきた喧騒が、ついにオミト達のいるところまでやってくる。


「むっ・・・!」


オミト達のいる部屋になだれ込んできたのは、剣で武装した男達であった。
だが、目を引いたのは剣ではない。着ている服だ。


「これは・・・」


突入してきた男達の着ている服・・・それは、アルス教の神官の着る法衣だったのだ。


「動くな!我々はアルス教聖騎士団である!大人しくすれば危害は加えないが、動けば斬る!!」


アルス教神官と思わしき男がそう叫び、オミト達に剣が突きつけられた。


「・・・」


オミトは手が出せなかった。
別に実力的には問題なく斬り伏せることが出来るだろう相手だった。

だが、アルス教の神官を相手にするとなると、国際的なものを含め様々な問題が起きるのだ。
だからオミトは刀を抜くことが出来なかった。


「我々は禁忌の物とされている『死人の種』について調査をする者である。今この建物に『死人の種』があるとの情報があったため、この建物内にある物、そして人について全て調べさせてもらう」


神官の言う言葉が、オミトにはどこか遠くで言われているように感じた。
一体何が起きているのか、理解が追い付いていないからだ。

横でブラホードが笑いながら言った。


「オミト。そこのお嬢ちゃんは、アルス教の間者なんだよ」


と。
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