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突入前

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オミト達が呪術を使っているアジトを突き留めてから数日・・・

タルカスが選んだ信頼でき、実力の高い精鋭の騎士数名と、オミト達はアジト突入の準備を整え、その期を伺っていた。
呪術のアジトを潰すだけでは意味がない。現場にはブラフォードが来ているときに飛び込み、身柄を抑えなければならないということで、今は彼がやってくるのを待っているところだった。

何日にも及ぶ入念な下調べの結果、この日はブラフォードがアジトに出入りする可能性が高いとされる日であり、全ての片をつける絶好の機会となっている。


「ブラフォードがどんな隠し玉を持っているかわからん。慎重に、そして油断するなよ」


オミトが言うと、精鋭の騎士達は無言で頷いた。
タルカスに心酔し、決してブラフォードの息がかかっていないと断言できる騎士達なのでオミトも安心してこの極秘作戦を決行することが出来た。

オミトは純粋な剣の腕だけならルーデルの騎士団の中でも右に出る者はそうそういない。
だが、周知の通り彼には致命的なまでにスタミナがない。アジトの見張りを片付けることすら困難である故に、どうしても仲間が必要だった。
だが・・・


「ドロシー。君まで来ることはないだろう・・・」


あくまでアジトの突入には同行したいと言って譲らないドロシーを、オミトはついに断り切れず彼女の願いを聞き入れた。


「言いましたよね?呪術の現場には私がいないと駄目だって。心配しないでください。向こうが呪術でどんな抵抗をしてきても、大丈夫なように対策をしてきましたから」


「そうかもしれないが、それでもある程度の安全が確保出来てから・・・」


それでもなお食い下がって心配するオミトの様子を見て、騎士達は「プッ」と噴き出した。


「・・・何が可笑しい?」


オミトがじと目になって言うと、騎士達は笑いながら


「いや、あのオミトさんがまさかエーペレスさん以外にそこまで人のことを心配するようになるなんて・・・と思いまして」


「まさかだよなぁ」


などと言い、オミトは羞恥で顔を赤らめた。
オミトは優しさを持っていないわけではない。だが、今ドロシーに向けているそれのように露骨に人にそれを態度に表すのは珍しいことだった。例外といえばエーペレスくらいだったので、騎士達はとても意外だと思ったのだ。


「オミトさんも隅に置けませんね」


「バカなことを・・・!」


揶揄われてますます顔を赤らめるオミトだったが、やがて騎士の一人の報告が場の空気を変えた。


「ブラフォードさんが来ました」


ターゲットであるブラフォードが姿を現したのだ。
オミト達は得物に手をかけ、臨戦態勢に入った。
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