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出せない答え

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「は・・・?な、なんだって・・・?」


ドロシーの言葉にオミトは唖然とした。
マナー違反ではあるが、思わず思考停止し、ついそのようにドロシーに聞き返してしまう。


「に、二度も言わせないでくださいよ。その、お礼に私と特別な関係になって欲しいと言う事です・・・」


顔を真っ赤にしながら恥じらうドロシーは、それでも勇気を出して再度用件を口にする。
そうまでされると、流石にオミトとしては情けないリアクションをするわけには行かなかった。


「そうか、俺とな・・・そ、そうか・・・」


が、どうしてもオミトはこうした状況が不慣れであるせいで、情けない対応になってしまう。
マルセイユ領でエーペレスとあった一件でもオミトはポンコツになってしまったのだから、これはある意味仕方がないと言えた。
なにしろオミトは長年色恋とは無縁の生活を送って来たわけだし、初老となった今、犯罪奴隷から解放された身だとしても、流石に伴侶を持つことなどないとすら考えていたのだ。


「私、オミトさんに一目ぼれだったんです。それに見た目だけじゃなくて、中身も私の期待する通りのとても素晴らしい男性でした。私は、本気でオミトさんの特別な人になりたいんです!」


ズイッと顔を近づけ、再度そう言うドロシーにオミトは何も返事をすることが出来なかった。
ドロシーを悪く思っているわけではない。むしろその逆だからこそ、オミトは返答に困っていた。
なんと答えたら良いのか、彼自身答えが出ていないからである。

そんなオミトの様子を見て察したのか、ドロシーはスッと彼から離れて言った。


「すみません。困らせるつもりはなかったんです。流石に、今突然こんな話をするのはいけませんよね。答えは後で良いので、考えておいてもらえませんか?」


微笑みながらそう言うドロシーに、オミトは自分を情けないと思いながらも「ああ・・・」と、返事をすることしか出来なかった。

そして既に予感していた。
ドロシーの求愛に答えを出すことなど、自分には出来ないのではないかと。
それこそ一生悩み続けてしまうのではないか?そうとすら考えていた。
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