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待ち伏せ
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オミトとドロシーによる調査はその後も進められた。
特にリュートに狙いを定めたハニートラップは、細心の注意を払いつつも、『ガードの抜け穴』として可能な限り積極的に行われた。ブラホードを含めルーデル領の上層部がどれだけ機密情報をガードしようとも、リュート一人のガードが甘ければ、そこから芋づる式に情報を引き出せるからだ。
積極的な攻勢が実を結んでか、ドロシーはリュートの晩酌に良く誘われるようになった。
高い酒を勧められ、饒舌に自分の仕事についてもベラベラと話すリュートは本当に『ガードの抜け穴』と言うに相応しい様である。従来ならば辺境伯の仕事内容を他人・・・それも自領民でもない平民に聞かせることなど、あってはならないことだからだ。
リュートは謀略により、ショウから辺境伯という座を強引にかすめ取った。故に辺境伯になるのに必要な根回しや人脈、能力どころか、心構えすらが足りていない。
しかし酒が入ったとはいえ、簡単に女にうつつを抜かし、迂闊にも領地運営を含めて常陽な情報をベラベラと話すリュートを盗み見ていたオミトは、元来よりリュートには辺境伯としての器ではなかったのだと思い知らされた。
(こんな男が辺境伯のままであって良いはずがない)
死人の種や呪いの話を置いておいても、リュートがこのままルーデル家の当主でいれば、遠からずこの領は滅びるとオミトは危機感を抱く。
今は死人の種の密売で金回りは一時的に良くなっているかもしれないが、リュートの今の散財ぶりを見るにやがて再び行き詰ることは目に見えていた。
そして財政危機が訪れれば、今度は金のためにより密売を無茶をして繰り返し、領地を危険に晒すことになるだろうと。
そもそも辺境伯の仕事は金稼ぎだけではない。他国や魔物からの領地を防衛することが大事だが、リュートには全くその能力も覚悟も足りていない。
(若・・・)
オミトは追放された、かつての辺境伯候補だったショウのことを思い出す。
婚約者のキアラからの色仕掛けで失態を見せたのは手痛い事実だが、それでも確実に領地を繁栄させ、そして外敵からの防衛も何の懸念もなく任せられた存在となるはずだった。
(あの小僧・・・)
オミトの中では元よりリュートへのヘイトはそこそこに溜まっていた。
だが、こうして隣部屋からずっとリュートの様子を眺めるだけで、どんどん彼の中でリュートへの憤りが渦巻いていく。
(む・・・)
オミトがじっとリュート達の歓談を注視していると、リュートがドロシーの隣に近づき、そっと腰に手を回そうとしていることに気が付いた。
(頃合いだな)
多少でも強引にリュートがドロシーに迫ったときは、オミトが家令としてリュートの部屋を訪ね、妨害するという手はずになっている。リュートと何度か接触して情報を引き出すために、ドロシーが角を立てることなく、その場から退散できるようにしなければならないからだ。
オミトは覗き穴から離れ、すぐに隣のリュートの部屋へ向かう。
「む・・・」
しかし部屋から廊下に出たところで、オミトは思いがけない人物に出会うことになり驚愕することになった。
ブラホードがリュートの部屋の前に立っていたのである。
特にリュートに狙いを定めたハニートラップは、細心の注意を払いつつも、『ガードの抜け穴』として可能な限り積極的に行われた。ブラホードを含めルーデル領の上層部がどれだけ機密情報をガードしようとも、リュート一人のガードが甘ければ、そこから芋づる式に情報を引き出せるからだ。
積極的な攻勢が実を結んでか、ドロシーはリュートの晩酌に良く誘われるようになった。
高い酒を勧められ、饒舌に自分の仕事についてもベラベラと話すリュートは本当に『ガードの抜け穴』と言うに相応しい様である。従来ならば辺境伯の仕事内容を他人・・・それも自領民でもない平民に聞かせることなど、あってはならないことだからだ。
リュートは謀略により、ショウから辺境伯という座を強引にかすめ取った。故に辺境伯になるのに必要な根回しや人脈、能力どころか、心構えすらが足りていない。
しかし酒が入ったとはいえ、簡単に女にうつつを抜かし、迂闊にも領地運営を含めて常陽な情報をベラベラと話すリュートを盗み見ていたオミトは、元来よりリュートには辺境伯としての器ではなかったのだと思い知らされた。
(こんな男が辺境伯のままであって良いはずがない)
死人の種や呪いの話を置いておいても、リュートがこのままルーデル家の当主でいれば、遠からずこの領は滅びるとオミトは危機感を抱く。
今は死人の種の密売で金回りは一時的に良くなっているかもしれないが、リュートの今の散財ぶりを見るにやがて再び行き詰ることは目に見えていた。
そして財政危機が訪れれば、今度は金のためにより密売を無茶をして繰り返し、領地を危険に晒すことになるだろうと。
そもそも辺境伯の仕事は金稼ぎだけではない。他国や魔物からの領地を防衛することが大事だが、リュートには全くその能力も覚悟も足りていない。
(若・・・)
オミトは追放された、かつての辺境伯候補だったショウのことを思い出す。
婚約者のキアラからの色仕掛けで失態を見せたのは手痛い事実だが、それでも確実に領地を繁栄させ、そして外敵からの防衛も何の懸念もなく任せられた存在となるはずだった。
(あの小僧・・・)
オミトの中では元よりリュートへのヘイトはそこそこに溜まっていた。
だが、こうして隣部屋からずっとリュートの様子を眺めるだけで、どんどん彼の中でリュートへの憤りが渦巻いていく。
(む・・・)
オミトがじっとリュート達の歓談を注視していると、リュートがドロシーの隣に近づき、そっと腰に手を回そうとしていることに気が付いた。
(頃合いだな)
多少でも強引にリュートがドロシーに迫ったときは、オミトが家令としてリュートの部屋を訪ね、妨害するという手はずになっている。リュートと何度か接触して情報を引き出すために、ドロシーが角を立てることなく、その場から退散できるようにしなければならないからだ。
オミトは覗き穴から離れ、すぐに隣のリュートの部屋へ向かう。
「む・・・」
しかし部屋から廊下に出たところで、オミトは思いがけない人物に出会うことになり驚愕することになった。
ブラホードがリュートの部屋の前に立っていたのである。
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