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君の傍にいる

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「これ以上リュートに近づくのは危険だ」


オミトとドロシーは、オミトの馴染みの酒場でリュートに探りを入れた件の反省会をしていた。
ドロシーは既にブラホードに怪しまれているために、もうこれ以上はリスクを背負ってまで情報を引き出す必要はないだろうと考え、オミトはもうリュートに対しては探りを入れなくても良いと考えていた。


「いえ、オミトさんの話通りですと、リュートさんは私を信用しきっているんですよね?ならば、後少しは引っ張れると思うんです」


しかし、ドロシーはオミトの言葉には頷かなかった。


「既にリュートが死人の種の密売に関わっていることはわかった。だったら時が経てばあれは必ずボロを出す。今はそれだけでも十分だ。今リスクを背負ってまで、一体他に何を調べる必要がある?」


ブラホードがドロシーを警戒している以上、彼女の身の安全が確保し切れるかは不透明になってきた。だからオミトはこれ以上ドロシーにリスクを背負わせたくはなかったが、しかしそれでもドロシーは首を縦には振らなかった。


「調べなくてはいけないものだったらありますよ。死人の種だけじゃない・・・『呪い』についても、です」



「呪い・・・」


ドロシーが険しい顔をしながらそう言うので、オミトはそれ以上に言葉を紡ぐことが出来なかった。


「今日会ったとき、近くに比較的長く一緒にたせいかリュートさんからもブラホードさんからも強い呪いの残滓を感じました。もしかしたら・・・私達が思った以上に二人は呪いに深入りしているのかもしれません。例えば、タルカスさん以外にも呪いをかけている、もしくはかけようとしている最中だとか」


ドロシーは顎に手を当てながらそう語る。


「タルカスさんのことだけじゃなく、他の可能性も考慮して呪いについても探りを深める入れるべきです。何だか嫌な予感がするんです・・・」


「ドロシー・・・」


根が真面目な性格なのだろうか。
呪いに対する学術的探究心とは別に、ドロシーは何か執念に近いようなものを持っていることにオミトは気付いた。
命を狙われたとはいえ、自分とは本来関係のない事案であり、さっさと遠ざかりたいと考えるのが自然であるはずなのに、ドロシーはより距離を深め追及しようとしている。
それはオミトのためというよりも、あくまで自分の欲求に従っての行動にオミトには見えた。


「わかった」


オミトはふぅと溜め息をついてそう言った。
お節介ではなく自身の欲求に従ってのことなら、ここでオミトが強く制止したところで彼の知らぬところで無茶をするかもしれないと考えてのことだった。


「だが一人では決して無茶をしないように。何を調査するときも俺が必ず君の傍にいる・・・それでいいね?」


オミトは特に考えずにそう言ったつもりだったが、ドロシーの受け止め方は少し違ったようで顔を紅潮させながら「わ、わかりました・・・」とどもりながら返事をした。
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