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別に熟年が好きだって良いじゃないか

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「ドロシーが僕に対して探りを入れてる?いやいや、そんなバカな」


リュートはブラホードにドロシーが探りを入れてきているであると指摘されたが、やや時間を置いてから乾いた笑みを浮かべて否定した。


「あの子はそんな人じゃないと思うな。ただいろいろなことに興味津々な普通の女の子だよ。王都にだってああいう子はたくさんいた」


かつて王都に住んでいたとき、いろいろな女性と関係のあったリュートは当時を思い出すように言った。辺境伯を実家に持つ彼は、それこそいろいろな女性からあれこれ聞かれたものだった。ドロシーは確かにいろいろと聞いてはきたが、別に違和感があるほどではないと思っていた。


「普通の女の子はオミトのような熟年と付き合ったりはしませんよ。この辺りで既に怪しいじゃないですか」


ブラホードの言葉に、盗み聞きしているオミトが「余計なお世話だ」と憤慨する。


(とはいえやはりそう思うよな)


と、オミトは最初から無理があった偽装カップルだったなと溜め息をつきたくなった。


「そうかな」


しかし、リュートはブラホードの指摘に対して懐疑的な態度である。



「それを言うならエーペレスさんだっておかしいことになる。あの人だってドロシーほどの歳の差があるわけじゃないけど、オミトのことを意識していた。オミトは若い女性を惹きつける何かを持っているんだと思うよ。僕には当然よくわからないけどね・・・けど、ああいう前例を見ているから、ドロシーのことをそこまで不自然だなんて思わないな」


(えっ!)


オミトはリュートの言葉を聞いて驚愕のあまり声を上げそうになった。
エーペレスがオミトに対して懸想しているようなことは、オミトとてマルセイユ領で起きたことをきっかけとして何となく察してはいた。しかしそれほどエーペレスと密にしていたわけではないリュートですらオミトとのことに気付いていたとは信じられなかったのだ。


「・・・エーペレスお嬢様は普通の女性ではないと思いますがね。あの人と比較するのもどうかと」


「・・・ふっ、まぁ違いない」


ブラホードの言葉にリュートは失笑する。
ルーデル始まって以来の奇人変人と言われたエーペレスと比較しては、大抵の女性の素行など何の違和感も感じなくなるだろう。


「ではこう言い換えよう。オミトに惹かれるような趣味の女性もいるにはいるが、そこまで違和感のあるほどではない。そう言う人もいるってことだ。ただ、今回は僕のことで上書きできる機会が巡ってきただけであって、そこまで怪しむことではないのさ」


あくまでドロシーのことを信じるリュートに、取り付く島もないことを察したブラホードは「そうですか」と溜め息交じりに返すのみだった。
それらのやり取りを聞いていたオミトは「ほっとけ」と好き勝手言われていることに対してモノ申したい気持ちでいっぱいになっていた。
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