国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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先代の呪い

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ショウやリュートの父親であり、先代のルーデル辺境伯であるトウシ。
彼の死因は病死だった。

戦に出て大怪我をしたことは数あれど、ただの一度も病気をしたことのないはずだったトウシは、あるとき突然に体調を崩した。
どの医者に診てもらっても原因がわからず、戦による疲れかと思われだが、徐々にトウシは衰弱していき、そして最初の体調不良から概ね一年後に亡くなった。
ついにはっきりした原因こそわからなかったが、領地にある「黒の森」にて未知なる病気に感染したのではないか、そのような噂も流れた。


「先代はもしかしたら、俺と同じことになって・・・ってことはないのか?」


タルカスが言うと、オミトは口に手を当てて考え込む。
オミトはトウシが寝込んで屋敷で療養しているとき、常に彼の様子を気にかけていた。だからトウシの当時の状態についてはしっかりと記憶に残っている。


「確かに・・・今のタルカスの状態に似ていたかもしれん」


そう疑い出すと、オミトは既に他の可能性については考えられなくなってきた。


「先代は・・・呪いによって亡き者にされた・・・そういうことか?」


そう言うオミトの声は震えていた。口に出すにも恐ろしい仮説だった。


「ブラホードさんにとって、その先代さんのことが邪魔になる・・・そのようなことがあったのかもしれませんね」


ドロシーの言葉にオミトもタルカスも顔を顰める。
今のタルカスの状態もブラホードの手によるものだとすれば、トウシが呪いによって暗殺された可能性とて否定することが出来ない。


「先代の頃からブラホードさんは死人の種について不正を行っていた・・・そしてそのことについて気付かれた・・・などという可能性がありますね」


「・・・」


しばし俯いていたオミトだが、やがてゆっくりと顔を上げた。


「調べるぞ。ブラホードのことを。私達が疑っていないように見せつつ・・・どうにか尻尾を掴む」


「オミト・・・」


「タルカス。お前はまだ何も知らぬふりをして、療養していてくれ。ブラホードの思惑がうまくいっているようにみせかけて、時間を稼ぐ必要がある」


「だが・・・そうやって調べるんだ?俺に呪いとやらをかけている奴をどうやって見つけるつもりだ?」


タルカスの質問に対しオミトは渋面するが、それを聞いていたドロシーが横から言った。


「呪い使いでしたら、普通の魔法使いと違って波長が独特なので、私なら多分近くにいけばわかると思います」


「え?そうなの?」


難題にぶつかったと思いきや、あっさり解決したことに拍子抜けするオミト。


「ですから、私から怪しまれないで調べものをするにあたって提案があるんです。聞いてもらっていいですか?」


ドロシーが悪戯っぽい笑みを浮かべながら提案したそれに、オミトは仰天して腰を抜かしそうになることになる。
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