国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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のろわれています

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「の・・・呪われている・・・?」


タルカスはこれまでに聞いたこともないようなことを言われ、困惑していた。オミトとてそうだ。呪いというものについてあまり知識を持っていない彼は、ドロシーの言葉に唖然とした。


「ええ、しっかりと呪われています」


そんな二人を前にして、ドロシーはきっぱりとそう言い切った。
そしてタルカスを、その周囲をじっくりと嘗め回すように見て回る。


「私、魔法にも関連するってことなんで、呪いについてもそれなりに調べてあるし、『視る』ことも出来るんですよ」


そう言いつつもじっくりとタルカスの方を見ているドロシーは、今も呪いが『視えて』いるのだろう。そう気づくとタルカスはぶるっと身震いをした。


「の、呪いとはなんだ?俺に何かるのか??」


「えぇ、ます。しっかりと。体調不良の魔法みたいなもの・・・ですかね」


「えぇ・・・?」


タルカスはドロシーの言葉にすっかりと怖くなり、得体の知れないものに体を蝕まれている恐怖に震えた。


「対象を死に誘う呪いもあるのですが、貴方にかかっているのはそこまで強いものではないです。ある程度のところで進行が止まり、そのままその状態を維持するようなものですね。死ぬとしても数年後になると思います」


「死ぬには死ぬかもしれないのか。というか俺はずっとこのままなのか?対処法はあるのか!?」


タルカスは必死だ。
原因不明の病に伏したと思えば、今度は原因が判明してもそれは自分の全然知らぬ未知のものだから、解決方を知るドロシーに泣きつきたい気持ちだった。


「直接この呪いを解けば治ります。あるいはこの呪いをかえた術者が亡くなれば自動的に消滅します。呪いをかけた相手に心当たりは?」


「そんなの・・・すぐにはわからん」


「うーん、それですと・・・現状では何とも言えませんね」


「そんな・・・」


救いを求める手を払いのけられた気分になり、タルカスは愕然とした。


「解決法はないのか?」


見るに堪えなくなったオミトがドロシーに問う。


「呪いを解くには解けるんですけど、呪いというのは魔法と違って術者と結構その念を共有していたりするんです。だから、タルカスさんの呪いを解こうとしているのを術者に察知されると、逆上した術者が呪いを強めて今度こそタルカスさんが死んでしまう可能性があります」


淡々と事実を告げるドロシーを前に、オミトもタルカスも顔が真っ青になった。


「タルカスさんがわざわざ体調不良になる辺りで加減して止めておくってことは、そのほうが都合が良い人の仕業と考えるのがよろしいのでしょうか?誰か心当たりありませんか?」


「・・・あっ・・・」


ドロシーの質問に、オミト達は二人して同時に声を上げた。
怪しいといえばブラホード・・・今タルカスに呪いをかけるとしたら、彼が一番怪しいことに気が付いた。
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