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不調の原因

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「タルカス・・・お前・・・」


ジョセフに促されるまま、オミトは馬車に乗り込んだ。
それはルーデル家で使われている囚人移送用の馬車・・・を改造したものだ。外からではなく、内側から施錠できるようにしてある。
囚人を多人数収容するためにそこそこのスペースがあり、内側から破壊されて脱走できないように頑丈に作られている。外から施錠できないようにさえしてしまえば、搭乗者の身の安全を守りながら運送できるというわけだ。
タルカスはオミトからの手紙が来たとき、彼を迎えに行くにあたり、ブラホードの動向を警戒してこの馬車を用意した。
囚人用の馬車ならば騎士団の長たるタルカスでも融通が出来、万が一にも暗殺のための襲撃があっても安全に移動できると考えたからだ。

その馬車の中で、タルカスは簡易ベッドで横になった状態でオミトを迎えた。


「よう、悪いな。長時間の馬車は、今の体にはキツくてよぉ」


タルカスは笑いながら、力なく手を振る。
オミトはタルカスとは数か月会っていないが、たったそれだけの期間に随分とやつれているように彼には見えた。


「なんだ、一体どうしたんだ!?」


思わずオミトはタルカスに駆け寄る。オミトの知るタルカスは病気知らずで、まるまる一晩の休息すら不要と本人も言ってのけるほどのタフガイであった。だが、今のタルカスは病人だ。


「わからん。ここ最近、急に体調が悪くなった。医者に見せても原因がわからずじまいなんだよ。けどまぁ、今のところこれ以上悪くなる様子はねぇ。なに、そのうち治るだろうよ」


タルカスは力なくだが、それでもオミトに心配かけまいと笑いかけながら言った。


「タルカス・・・すまない。こんな状態とは知らず、無茶なお願いをしてしまった」


「なに、お前さんの手紙の内容が内容だったからな・・・どうしても俺が直接来たかっただけだ。それに気になることもあるしな。お前とすぐにでも話がしたかった」


「気持ちはありがたいが、今は話なんかせず休んでいてくれ。話なんか向こうについてからでも・・・」


「いや、俺は大丈夫だ。だから」


心配するオミトと強がるタルカスで言い合いが無限に続きそうなところで、ドロシーが横から割って入った。


「あの、タルカスさんでしたか?多分、貴方は呪われています・・・はい」


「「え・・・?」」


ドロシーの言葉に、オミトとタルカスは同時に硬直した。
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