393 / 470
ロクフェルの監視 その2
しおりを挟む
「アミルカのほうはどうしている?」
ロクフェルは空になったグラスに再びワインを注いでから、部下に問う。
「先日ショウ・ルーデルと町に出かけましたが、それ以外は特に外出もなく大人しくしています」
「変わったことは?」
「監視の目を意識して、唇を読まれないように口元を隠しながら何やら会話をしていたとのことですが、閣下が指定していた『おおごと』には当たらぬことと思い、報告はしませんでした」
ロクフェルはアミルカに影による監視を付けている。
それはローザとは違い、あくまで彼女自身に知らせず裏でつけている監視であるが、基本的には『逃亡ないし不貞以外は捨て置け』というロクフェルの方針に従って監視していた。
「ふぅん、一体何を言っているのかねぇ・・・」
ロクフェルはそう言うが、それでも内容にはなんとなく検討がついているのだろうか、彼は口元に笑みを浮かべていた。
そしてワインを口に運ぶ。
(あ・・・)
部下はロクフェルがこうして話の途中にワインを飲むのはどんな時が知っていた。機嫌が良く、自分の意に沿った嬉しい事実を知ったときだ。
(この人は本当に変態だな)
決して表情にも口に出せるはずもないが、部下はそんなことを内心で呟いていた。
仮にも自分の婚約者が他の男と仲睦まじくしており、こっそりと何やら話をしているなどという話を聞いて、それを肴にして酒を飲むというのなら、それはもう変態以外の何物でもないだろう。
「アミルカのほうはわかった。それで、ショウ・ルーデルのほうはどうだ?」
ロクフェルは婚約者と間男の逢瀬からあっさりと意識を移し、その間男のほうの動向について部下に問う。
「こちらも変わらずです。以前報告した通り、何やら一人でわけのわからないことをしているようですが・・・」
ロクフェルはショウにも影をつけていた。
それはアミルカほど念の入った監視ではなかったが、それでもショウが何をしているのか行動の把握が出来る程度には網を広げている。
「ふーん、相変わらず面白い男だなぁ彼は」
そう言って笑みを浮かべるロクフェルに「変な男、なら貴方も負けてませんけどね」と言いたいのを部下は堪えていた。
ロクフェルは空になったグラスに再びワインを注いでから、部下に問う。
「先日ショウ・ルーデルと町に出かけましたが、それ以外は特に外出もなく大人しくしています」
「変わったことは?」
「監視の目を意識して、唇を読まれないように口元を隠しながら何やら会話をしていたとのことですが、閣下が指定していた『おおごと』には当たらぬことと思い、報告はしませんでした」
ロクフェルはアミルカに影による監視を付けている。
それはローザとは違い、あくまで彼女自身に知らせず裏でつけている監視であるが、基本的には『逃亡ないし不貞以外は捨て置け』というロクフェルの方針に従って監視していた。
「ふぅん、一体何を言っているのかねぇ・・・」
ロクフェルはそう言うが、それでも内容にはなんとなく検討がついているのだろうか、彼は口元に笑みを浮かべていた。
そしてワインを口に運ぶ。
(あ・・・)
部下はロクフェルがこうして話の途中にワインを飲むのはどんな時が知っていた。機嫌が良く、自分の意に沿った嬉しい事実を知ったときだ。
(この人は本当に変態だな)
決して表情にも口に出せるはずもないが、部下はそんなことを内心で呟いていた。
仮にも自分の婚約者が他の男と仲睦まじくしており、こっそりと何やら話をしているなどという話を聞いて、それを肴にして酒を飲むというのなら、それはもう変態以外の何物でもないだろう。
「アミルカのほうはわかった。それで、ショウ・ルーデルのほうはどうだ?」
ロクフェルは婚約者と間男の逢瀬からあっさりと意識を移し、その間男のほうの動向について部下に問う。
「こちらも変わらずです。以前報告した通り、何やら一人でわけのわからないことをしているようですが・・・」
ロクフェルはショウにも影をつけていた。
それはアミルカほど念の入った監視ではなかったが、それでもショウが何をしているのか行動の把握が出来る程度には網を広げている。
「ふーん、相変わらず面白い男だなぁ彼は」
そう言って笑みを浮かべるロクフェルに「変な男、なら貴方も負けてませんけどね」と言いたいのを部下は堪えていた。
10
お気に入りに追加
645
あなたにおすすめの小説
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが
別に気にも留めていなかった。
元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。
リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。
最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。
確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。
タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる