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派閥あれこれ面倒な話 その2

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「ただ危険なものを管理するだけじゃない。死人の種は、その粒一つ一つが大きな魔力を持っていることがわかっているから、魔法学の研究に大きく影響を与えるということも革新派が訴えるメリットの一つね。むしろ殲滅論は死人の種をメリットを度外視してただ危険なものとして忌避し、人類の魔法学の発展を妨げたとも言っているわ」


なるほど、確かにメリットを考えれば、ただ単に危険だからと遠ざけるというのは考えものだというのはわかる。本当にきちんと徹底して管理出来たら、だが。
死人の種にあるメリットは知らずとも、危険性だけは熟知していたはずの俺・・・そして黒の騎士団は、それでもたびたび処理に失敗し、犠牲者を出したことがある。管理論はメリットのある夢のような話だと思うが、どうしても悍ましい犠牲の記憶が蘇ってしまい、同調できないところがある。


「万が一管理が出来なかったら大変じゃないか」


俺がそれを口にすると


「全世界で死人の種による知識を共有し、知恵を出し合えば、管理が今よりも簡単になるだろうと革新派は訴えているわ」


というローザの返答。
俺はそれを聞いて思わず吹き出しそうになった。確かに可能性はゼロではない、だがあまりにも願望じみた話であると思わずにいられない。


「それこそ夢物語になるかもしれねぇな」


「そうかもしれない。けど、極端なことを言えばそれを試してももし失敗して管理システムが構築出来なかったところで、今現在の死人の種からの脅威は何も変わらないのよ。それなら駄目で元々、それならやってみようというのが革新派ね。何にせよ、少なくとも死人の種についての知識を即座に全世界に共有させるべきだと言っているわ」


「まぁ・・・」


知識を共有して、意識が変えるということは大事かもしれないとは思う。
死人の種についての知識を広めないことについては、何やら教団側の事情があるという話と聞いていたが、問題があるとは思っていた。
そもそも俺のような冒険者に簡単に死人の種についての依頼を出せないのも、このアルス教団が今現在掲げている秘密主義のせいだ。だから聖騎士団を派遣するか、死人の種について知ってしまっている一部の冒険者に極秘で依頼をかけるしかない・・・そんな流れになってしまっているのだから。

いずれにせよ死人の種についての知識を一部の人間だけで独占していることが、死人の種の殲滅の弊害になっていることについては否定しようもない事実だと俺は思っていた。
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