国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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派閥あれこれ面倒な話 その1

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「まずアルス教団の派閥というのは、細かくあるけど、その中で死人の種について考え方の違いで対立している大きな派閥が二つあるの」


俺が煎れた粗茶を口につけながら、ローザは語り出した。


「一つは死人の種を絶対悪として、死人の種もそれを利用する存在も、何があっても殲滅させようと考えているロクフェルが属している法王を主軸とした保守派。もう一つは、死人の種について考え方を変え、新しい付き合い方を模索している枢機卿を中心とした革新派ね。両者勢力としては拮抗していたけど、ここ数年は革新派が伸びを見せようとしていたの」


ローザを話を聞いて、俺は訝しんだ。


「死人の種との新しい付き合い方・・・?」


俺にとって死人の種とは災悪の元だ。付き合い方も何もない、殲滅して然るべき存在だと考えている。死人の種に関してはランドールでもここでも地獄を何度か見ているわけで、殲滅以外にアレに対して起こるアクションなどあるのか?という感じだ。


「死人の種は、元は錬金術師が隠れて所有し、実験に使ったことがあるほど魔法学の研究には有効的な物質なの。きちんと管理し、適切に使用すれば人類の魔法学の新たな可能性を見出せる、それが革新派の考え方なの」


「・・・ふぅん」


ローザの言葉に俺は曖昧に頷くしかなかった。
俺は魔法に関しては無知だ。才能がなかった。だから死人の種の有用性を説かれたところで、まだ本当の意味ではそれを理解ができない。
今はまだ俺にとって革新派とやらは「そういう価値観の人もいるのか」程度の認識だ。
だが


「わかってると思うけど、元々保守派が・・・従来のアルス教団がやってきた死人の種の殲滅というのは、イタチごっこのようなものだし、コストも物凄くかかるの。人的消耗も決して軽くはないわ。革新派は、このイタチごっこに延々と不必要な消耗を強いられることに疑問を抱いているの。莫大な時間とコストをかけても殲滅は出来ない、だったら死人の種との付き合い方を変えましょうと」


「ふぅむ・・・」


「まず全世界では今だに死人の種についての認知度は低いものだわ。それは混乱を避けるために、保守派が情報制限をしているから。けど、革新派はそれをあえて情報を解禁することで、世界中に認知させ、皆で協力して死人の種を管理して危険から遠ざけようとしているの。どちらも方法こそ真逆だけど、死人の種の脅威をなくそうと考えているのは同じなのよ」



ローザの話を聞いているうちに、それでも少しだけ革新派の気持ちがわかってきた。
死人の種殲滅という終わらない事業のために、貴重な金も人も浪費するのはやめたい。だが死人の種はなくならない。ならば、いっそ管理していこうという逆転の発想に至ったというわけだ。
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