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おおごと

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アミルカの言った言葉は抽象的ではあったが、その意味は理解できた。
ロクフェルの言っていたことと、今アミルカが言ったことは恐らく同じことなのだ。アミルカもロクフェルと同じく、普通の人では知りえない何かを知っている?

アミルカの声は喧騒に飲まれて、集中していないと聞き逃してしまいそうなほどの小さな声だった。手を口元を隠すように添え、口の動きが見えないようにしている。
これは俺にだけ聞こえるように、俺達を監視をしている者にもわからないように人だかりの多い場所を選んで、こうして俺に話をふってきたのだろうか。


「最近出た、アルス教団の聖女だけに出ている通達があるの」


アミルカは話を続ける。
俺は聞くことに集中し、黙っていた。
物凄く大事な話をしようとしている、それがアミルカの目から、かもし出す雰囲気から感じられたからだ。
アルス教団の中でも最重要人物とされているであろう聖女だけに回っている通達・・・それは無論、俺なんかが聞いていいことなんかではないだろう。
、ということを知ること自体がアウトだと言ってもいいだろう。
本当ならここでアミルカに話をさせるのも、彼女にとっては良くないことに違いない。だが、俺はどうしても彼女の話の内容が気になってしまい、話すのを止めることが出来なかった。


「通達の内容は、アルス教の全ての聖女は調整を終え次第、今私達がいるオールヨークの町に集結すること・・・そういう命令よ」


そう語るアミルカの表情が強張った。
俺はごくりと唾を飲む。
アルス教団の聖女とは、災害救助から病魔の癒し、そしてアミルカのやっているような死人の種に汚染された地域の浄化・・・その多岐に渡る使命を負った、非常に希少で重要な存在のはずだ。
そんな聖女をこのオールヨークに集める。一体どんな理由で?
と、理由も気になるが、今回出されたという命令がアルス教団にとってはかなりのおおごとになるものであることの方が、俺には気がかりだった。いや、下手をするとアルス教団だけではなく、世界レベルにおおごとになるのでは・・・?


ここで俺はロクフェルの言葉を思い出した。
あいつが言っていた大きな事とは、俺の想像を遥かに超えるほど大きな事で・・・そしてそれは俺にとって無関係ではないということ。

それを自覚した瞬間、俺の頬を冷や汗が伝った。
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