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世界を揺るがすフラグ

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「どうしたショウ?君だってアミルカは嫌いじゃないだろう。婚約者である私が良いと言ってるんだ。一線さえ越えなければどれだけ仲良くしても・・・」


返答しづらいようなとんでもないことを口走るロクフェルだが、やや言葉に呂律が回っていないことに気付いた。
どうやら酔いが深くなってきているようで、それからのウザ絡みになっているかと察する。


「本当にご機嫌なんだな。一体何があった?」


ロクフェルにとってめでたい・・・いや、尋常じゃないくらいめでたい何かがあったのだと俺は察した。
ここまで上機嫌になるほど飲むとは、よほどのことがあったに違いない。


「ふふっ・・・ショウ・ルーデルよ。君は流石に察しが良いな」


ロクフェルは機嫌良さそうに笑い、また一口ワインを飲んだ。
察しが良くなくとも今のロクフェルが普通じゃないことは誰にだってわかるだろうと思ったが、面倒くさいので口に出さないでおく。この手の手合いは一言余計なことを言えばそれから無限に絡まれるのだ。


「何があったかと聞かれれば、あったさ。それも大きなことがね」


「それはなんだ?」


「それを言うことはできん。それだけ重大なことなんだ」


酔ってはいるのに口が固い。
俺はげんなりしつつも、このロクフェルという世間体を気にしそうな男が、昼からこれだけ酔えるのだから相当にそれは大きなことで彼にとって嬉しいことがあったのだということを察した。


「正確に言うと、大きなことが決まった・・・なんだ。だが君にも決して他人事じゃない、大きな出来事が起きる・・・数年以内にね」


意味ありげにそう言って口角を上げるロクフェル。


「俺に関係があるのなら、すぐに話してくれたっていいだろう?」


ロクフェルが聖騎士団を取り仕切るほどの立場でなければ、この場で締め上げてでも聞き出したいところだったが、それをやると俺が袋叩きにあうので辛抱強く俺はロクフェルに問う。


「駄目だ。まだ機密中の機密なんだ。話すわけにはいかないな。時が来れば嫌でもわかる。君は傍観者にはなれん」


お前そこまで話しておいて機密もないだろうが!と俺は思ったが、気付いてしまった。
ロクフェルの瞳に、怪しげな光が灯っているのを。

このときのロクフェルの話が、世界を揺るがすほどの騒ぎになることになるとは俺は思ってもみなかった。
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