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ご機嫌なロクフェル

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「おぉ、久しぶりだなショウ・ルーデル」


久々に聖騎士団の陣まで足を運んだ俺を、ロクフェルの陽気な声が迎えた。


「元気してたか?こっちはまぁまぁだよ」


やけにテンションの高いロクフェルを怪訝にそうに見ながら、俺は案内されるままロクフェルの使っている部屋まで通される。


(・・・これは・・・)


ここで鼻を突くある匂いに気付く。酒の匂いだ。
匂いの発生源はなんとロクフェルのようであった。こいつは昼間から酒を飲んでいるのか?道理でテンションが高いわけだ。


「よう、どうだ駆け付け一杯」


ロクフェルはそう言って、テーブルの上にあるワインを俺に勧めようとする。
よく見ると彼の顔は少し赤い。どうやら今手に持っているワインを飲んでいたらしい。


「俺はやめとくわ。今日もこれからやることがあるんでな」


へべれけになって動けなくなるわけにはいかない俺は、ロクフェルの誘いを断った。ロクフェルは「そうか」とだけ答え、そして勧めようとしたワインをグラスに注ぎ、口に運ぶ。
昼間だというのに良い飲みっぷりだった。


「随分とご機嫌だな。昼間から聖騎士団様が飲酒していていいのかい?」


俺が問うと、ロクフェルは悪びれる様子もなく、口角を上げて言った。



「大丈夫さ。俺の部下は口が固い」


・・・ロクフェルの言いっぷりからすると、どうやら本当は良くないことのようである。



「ところでどうした今日は?珍しいな君が俺を訪ねてくるなんて」


「小耳にはさんだからさ。冒険者を死人の種の仕事から外すって。だが、そうなっても俺は離れることはできないと聞いた。どうしてそうなるのかとな」


ローザ達に聞いた話の真偽を確かめるため、俺は速やかにロクフェルの元を訪れていた。
冒険者は死人の種関連の仕事から外すのに、どうして俺だけが残らないといけないのか。どうしてもそれが疑問だったからだ。


「あぁ、そんなことか。そりゃあれだよ。ショウ・ルーデルは聖女様の『浄化』の現場に立ち会っただろ?あれは秘匿中の秘匿だからな。一度見てしまった以上は、君をもう部外者にすることはできん」


はぁ?と絶句する俺に対し、「普通ならあれを見たらこれもんだゾ」と言ってロクフェルは首を搔っ切る仕草をして見せる。そっちから俺に見ろと言って見せたくせに、随分と一方的である。


「それとアミルカが君を痛く気に入っているようだからね。君を遠ざけてしまうのは彼女のコンディションを保つためにはよろしくない」


そう言ってアミルカの婚約者であるはずのロクフェルが俺を意味ありげな目で見てくるのを、俺はどう返せば良いかわからなかった。反応に困るぞ・・・
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