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唐突な宣告
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「おお、ショウじゃねぇか。お前さん、最近町にあまりいないみたいだが、一体何してんだ?」
「あぁ、ちょっといろいろやることがあってな」
俺が新聞社に最初に遊びにいってから数週間後、ある日冒険者ギルドに行ったら知り合いの冒険者に話しかけられた。
一時はそれこそ毎日のようにギルドに顔を見せていた俺が、ここ最近はほとんど顔を見せなくなっていたことで何人かの冒険者に心配されるようになっていた。
「紅茶を飲みに来るでもいいからよぉ。たまには顔を出せよな」
併設された酒場のバーテンも心配そうに言っていた。
ここ最近の俺は新聞社に行って最新の(といっても新聞記事にはならない数日前のものを)ランドールのニュースに目を通し、それから町の外に出てあることをやるのが日常になっていた。
ギルドからの死人の種関連の依頼は更に件数を落とし、今では一週間に一度ほどになった。
少し前の俺なら時間が増えたことで一気に腐っていたかもしれないが、それでも今は腐っている暇などない。やるべきことがあるのである。
「あらぁ、久しぶりに見る顔じゃない」
艶のある、聞いているだけでドキリと心の高鳴る声で俺は話しかけられた。
こんな心臓に悪い声で話しかけてくる知り合いは一人しかいない・・・絶世の美女にして俺の心を手玉に取ろうとする悪女、エルフのローザがそこにいた。
「よう、しばらくだな」
ローザが言うように、俺と彼女が会うのは久しぶりだ。
アルス教団として死人の種の取り締まりにアミルカが同行するにあたり、ローザもドレッドもそれについていくわけだが、俺の出動が減る一方で彼らの出動は増えているので、自然と会える回数は減っていた。よく考えると最後に会ってから一月近く経っているかもしれない。
「そっちは相変わらず忙しいかい?」
「暇そうに見える?」
「いや、全然」
わかりきった質問をする俺に、ローザは少しだけ目を細めて答える。意地悪な質問をしたことを咎められたようで、俺は少しバツが悪くなって眉を顰める。
「最近ひっきりなしに忙しくて、アミルカのことが心配だわ」
ローザは溜め息をつきながら、酒場の椅子に腰を掛ける。
そして悪戯っぽく微笑みながら言った。
「付き合いなさいよ」
ローザに促され、俺は苦笑いを浮かべてテーブルの反対側の椅子に座る。
久しぶりにローザと飲むのもいいか、と何を頼もうか考えていると、対面に座る彼女が唐突に切り出してきた。
「あぁショウ。そろそろ貴方、クビになるかもしれないわ」
「あぁ、ちょっといろいろやることがあってな」
俺が新聞社に最初に遊びにいってから数週間後、ある日冒険者ギルドに行ったら知り合いの冒険者に話しかけられた。
一時はそれこそ毎日のようにギルドに顔を見せていた俺が、ここ最近はほとんど顔を見せなくなっていたことで何人かの冒険者に心配されるようになっていた。
「紅茶を飲みに来るでもいいからよぉ。たまには顔を出せよな」
併設された酒場のバーテンも心配そうに言っていた。
ここ最近の俺は新聞社に行って最新の(といっても新聞記事にはならない数日前のものを)ランドールのニュースに目を通し、それから町の外に出てあることをやるのが日常になっていた。
ギルドからの死人の種関連の依頼は更に件数を落とし、今では一週間に一度ほどになった。
少し前の俺なら時間が増えたことで一気に腐っていたかもしれないが、それでも今は腐っている暇などない。やるべきことがあるのである。
「あらぁ、久しぶりに見る顔じゃない」
艶のある、聞いているだけでドキリと心の高鳴る声で俺は話しかけられた。
こんな心臓に悪い声で話しかけてくる知り合いは一人しかいない・・・絶世の美女にして俺の心を手玉に取ろうとする悪女、エルフのローザがそこにいた。
「よう、しばらくだな」
ローザが言うように、俺と彼女が会うのは久しぶりだ。
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そして悪戯っぽく微笑みながら言った。
「付き合いなさいよ」
ローザに促され、俺は苦笑いを浮かべてテーブルの反対側の椅子に座る。
久しぶりにローザと飲むのもいいか、と何を頼もうか考えていると、対面に座る彼女が唐突に切り出してきた。
「あぁショウ。そろそろ貴方、クビになるかもしれないわ」
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