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悪魔の密約
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「これまでずっとそうしてきたのです。リスクなど無いと言っても過言ではありませんし、万が一にトラブルが起きた際にも、何重にも対策は考えてあります」
ブラホードは安心させるように、ゆっくり丁寧にリュートに説明をする。
「これまでもずっとそうしてきました・・・が、やはりご領主様に許可を取っているのといないのとでは、効率に雲泥の差がございます」
微笑みながら、ちらりとブラホードはリュートの目を見て言った。
「領主・・・」
ブラホードにそう呼ばれ、思わず反芻するリュート。ルーデル家の当主であるというのに、お飾りとすら言えない扱いをされているリュート。誰一人敬うこともなく、領土運営の苦労もわかってくれない。
寝る間も惜しんで執務に取り組んでいるのに、誰一人として自分に寄り添ってはくれないーー中央から派遣されてきた騎士達は早々に逃げ帰るか自分から離れるスタンスを取っている。
そんな状況にある中で、唯一自分のことを認めてくれ、領主として敬ってくれる人間が現れた。
これにリュートは天にも昇るような感動を覚えていた。
「ご領主様の仕事ぶりを私はずっと拝見していました。そして、これほどしっかりと仕事をしているご領主様なら、死人の種のビジネスについてお話しても大丈夫ではないかと思ったのです。機密を漏らさず、きっと今までとは比較にならない利益を上げることができるようになると・・・そう考えたわけです」
「なっ・・・」
リュートは言葉を失った。
死人の種という禁忌の品を扱ったビジネスをするなど正気ではない。だが、それゆえに成功させれば莫大な利益が転がり込むことになる。領地運営は今よりずっと楽になるだろうし、トラブルを起こさぬようこれまでやってこられているうえに防止策も用意されているーーー
そこまで言われて、心がぐらつかないわけがない。
どうせこのまま真面目に辺境伯として生きていても、無限に地獄が続くだけなのだ。
ならば、今目の前にいる自分のことを評価し信頼してくれる者の提案に乗るのも良いのではないか。
ブラホードに口説かれ、ついにリュートの考えは決まった。
「で、僕はどうすればいいんだい?」
ブラホードは安心させるように、ゆっくり丁寧にリュートに説明をする。
「これまでもずっとそうしてきました・・・が、やはりご領主様に許可を取っているのといないのとでは、効率に雲泥の差がございます」
微笑みながら、ちらりとブラホードはリュートの目を見て言った。
「領主・・・」
ブラホードにそう呼ばれ、思わず反芻するリュート。ルーデル家の当主であるというのに、お飾りとすら言えない扱いをされているリュート。誰一人敬うこともなく、領土運営の苦労もわかってくれない。
寝る間も惜しんで執務に取り組んでいるのに、誰一人として自分に寄り添ってはくれないーー中央から派遣されてきた騎士達は早々に逃げ帰るか自分から離れるスタンスを取っている。
そんな状況にある中で、唯一自分のことを認めてくれ、領主として敬ってくれる人間が現れた。
これにリュートは天にも昇るような感動を覚えていた。
「ご領主様の仕事ぶりを私はずっと拝見していました。そして、これほどしっかりと仕事をしているご領主様なら、死人の種のビジネスについてお話しても大丈夫ではないかと思ったのです。機密を漏らさず、きっと今までとは比較にならない利益を上げることができるようになると・・・そう考えたわけです」
「なっ・・・」
リュートは言葉を失った。
死人の種という禁忌の品を扱ったビジネスをするなど正気ではない。だが、それゆえに成功させれば莫大な利益が転がり込むことになる。領地運営は今よりずっと楽になるだろうし、トラブルを起こさぬようこれまでやってこられているうえに防止策も用意されているーーー
そこまで言われて、心がぐらつかないわけがない。
どうせこのまま真面目に辺境伯として生きていても、無限に地獄が続くだけなのだ。
ならば、今目の前にいる自分のことを評価し信頼してくれる者の提案に乗るのも良いのではないか。
ブラホードに口説かれ、ついにリュートの考えは決まった。
「で、僕はどうすればいいんだい?」
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