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既に巻き込まれ

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「君はここで私とは行動を別にするべきだ」


襲撃者の撃退によって一日足止めをくらったオミト達であったが、やれ次の宿場町に行くとなったタイミングになってオミトはライラに向かってそう言った。
これから向かおうとしているルーデル領の黒の騎士団の団員がオミトを狙っていた・・・それはつまりはこれから頻繁に襲撃されるようになるということが予想されるからだ。
そうなるとともに同行しているライラの身がこれから危険に晒され続けてしまうことになってしまう。そう考えてオミトはライラに自分から離れるよう、話を切り出した。


「これからまた同じように襲撃をされることが多くなる可能性が高い。そうしたら、次は今回のように撃退できるのかもわからないし、君のことも危険に巻き込んでしまうかもしれない」


諭すようにオミトはそう言った。
だが、ライラはその言葉を聞いてきょとんとしていた。


「巻き込まれる・・・って、でも、前に襲撃されたときにあの場で多分襲撃者の仲間と思われる気配が逃げていくのを感じましたよ。多分、私のことも見られていると思うんですよね」


「・・・なに?」


「だから、既に顔を見られている以上、私のこともこれからターゲットになっちゃう可能性があるのかな・・・なんて。そうすると、もう既に巻き込まれているのと同じ状況ですよね」


「・・・」


オミトは絶句した。
襲撃者を撃退したときに、他に人の気配があったことになど気づかなかったからだ。


「・・・他に襲撃者の気配があったのか?」


呆然としてオミトはそう漏らしていた。


「ええ。魔法使いって、感覚が鋭くなるっていうか、そういうのに敏感な人が多いんですよ。魔法を使うとき、結構大気中の魔素の流れを読んだりするから、それが感覚を研ぎ澄ます訓練になるとかって言われてますけど。それで、前の襲撃のとき、誰かが私たちを見ていて、そして襲撃者が自害したときに離れていくのを感じていたんです。てっきりオミトさんも気づいているかと思っていました」


あっけらかんとして言うライラに、オミトは言葉を詰まらせた。
危険に巻き込むことになるから遠ざけようとしていた相手を、実は既に巻き込んでしまっていたことにショックを隠すことが出来なかった。
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