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かくしごと

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オミトはエーペレス達と別れた後、乗り合い馬車の出ているところに向かう前に、待ち合わせに良く使われる広場へと移動した。なぜならそこに人を待たせているからである。


「オミトさん!」


その相手はオミトの姿を見つけて、嬉しそうに声を上げた。相手は道中出会ったルーベルト魔法学校の学生であるライラだった。何故かオミトに気のある素振りを見せ、やけに距離の近い少女である。


「楽しみですルーデル領。どんなところなんでしょう」


「・・・ここと比べると、本当に面白いものは何もないんだが・・・本当の本当について来るのかい?」


「えぇ、オミトさんが暮らしているところがどんなところなのか気になるんです」


そのキャラクター故、オミトは何となく彼女と一緒にルーデル領へ戻ることをエーペレスには告げていなかった。
「聞かれたら答えよう」程度に考えていたが、結局最後まで聞かれることはなくてオミトは胸を撫でおろした。とはいえそんなこと聞かれるはずもないのは当然といえば当然である。


「どうしたんですかオミトさん、何だか浮かない顔して」


どこか気まずいオミトは、何だか自分が悪いことをしているような気がして気が気でなかった。いや、実際ライラからはアプローチを受け、エーペレスからも不完全ながらもアプローチを受けている。
二人の女性からそのように迫られておきながら、態度を曖昧にし続けているのだから罪といえば十分に罪と言える。とはいえ免疫のないオミトも「いや、もしやからかわれているだけなのかも」と疑心になっていて踏み込めないのも仕方がないといえば仕方がないことかもしれない。


「いや、何でもない。馬車が出るようだから行こうか」


オミトはそう言って、ライラと共に乗り合い馬車のいるところに向かう。
ライラはぴったりと横に寄り添って歩いており、カップルとは見えずとも親子か何かには見える。

しかし、そんな二人を双眼鏡越しにジッと見ている目があった。
先ほどオミトと別れたはずのエーペレスである。


「やっぱりあの子も一緒にいくのね」


そう言うエーペレスの声は、不機嫌そうだった。


「どうしてくれようかしら」


無表情でそう言うエーペレスのことを、ソーアは後ろから少し震えながら見ていた。
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