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オミト、帰ります
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唐突に始まり、そして終わりを見せたマルセイユ家の騒動・・・
それが一件落着したことで、オミトもまた元居たルーデル領に帰ることを決めた。
元よりエーペレスと情報交換だけをするつもりで取った休暇だったが、気が付けば予定を大幅に超えることになってしまっていたし、気になることもあったのでそろそろ帰ろうと思っていたのだ。
「随分とご厄介になってしまいました。ありがとうございました」
出立の日、オミトはソーアとエーペレスに見送られることになった。
その場でオミトはソーアに礼を言う。
オミトの滞在していたホテルの代金をソーアがいつの間にかまとめて払ってくれていたのだ。
「いえ、こちらもお世話になりましたから」
ソーアはそう言って首を横に振る。
オミトはソーアとサーラの会食のときの護衛のみならず、サーラが暗殺を仕掛けてくるまでの間、さり気なく戦女神の詰所の周囲を見回ったり警戒していてくれていたのだ。ソーアはそのことにとても深い恩義を感じていた。故にオミトの滞在費を払うことは当然だと思っていた。
「これからお忙しくなることでしょう。ですが、辺境伯となるからには、寝る間も惜しんで事に当たる必要がございます」
オミトはかつてショウが辺境伯となるべく、必死で努力していたことを脳裏に思い浮かべながら言った。
ショウは頭は悪くなかったが、それでも並み以上の努力無しに渡れるほど辺境伯となる道は緩やかなものではなかった。前当主のトウシが若くして病に倒れたこともあり、ショウの辺境伯としての領主教育は予定を前倒してかなり早いうちから始まった。
「それが、ショウも歩んだ道なのだな」
ソーアは、口元に笑みを浮かべていった。
オミトの考えていることがわかっているようだった。
「もう覚悟は決まった。きっとがっかりさせない結果を出してみせるさ。・・・出せると思う」
まだ少し弱気なところはあるが、それでも前向きなソーアのその発言を聞いてオミトは満足そうに頷いた。
「エーペレス様。どうかお体にはお気をつけて」
次にオミトはエーペレスの方を向いてそう言う。
「オミトこそ。また近いうちにそちらに行くわ。しばらくは、ソーアにいろいろ教えることがありそうだから私はここにいるけどね」
気が向いたらフラッとまたどこかに行く、そんなニュアンスを含んだ言い回し。エーペレスはどこか一つに留まるようなことを断言しない。気が向くままに彼女は動く。
それでもここマルセイユ領んことか、ソーアのことが気に入ったのか、彼女はここを動こうとしない。きっと当面はここにいるのだろう、とオミトは思った。エーペレスの顔を見るためには、また少しばかり長旅をせねばとオミトは苦笑いを浮かべる。
「じゃあ、またね。またそっちからも来てよね」
エーペレスが優しく微笑んだ。
その目は、心なしかここに来る前の彼女と違うなとちょっとだけオミトは感じた。
エーペレスが酔って自分に絡んできた一件・・・あれがきっかけだろうかと一瞬考えたが、馬鹿なことをとオミトはそれを頭から振り払った。
それが一件落着したことで、オミトもまた元居たルーデル領に帰ることを決めた。
元よりエーペレスと情報交換だけをするつもりで取った休暇だったが、気が付けば予定を大幅に超えることになってしまっていたし、気になることもあったのでそろそろ帰ろうと思っていたのだ。
「随分とご厄介になってしまいました。ありがとうございました」
出立の日、オミトはソーアとエーペレスに見送られることになった。
その場でオミトはソーアに礼を言う。
オミトの滞在していたホテルの代金をソーアがいつの間にかまとめて払ってくれていたのだ。
「いえ、こちらもお世話になりましたから」
ソーアはそう言って首を横に振る。
オミトはソーアとサーラの会食のときの護衛のみならず、サーラが暗殺を仕掛けてくるまでの間、さり気なく戦女神の詰所の周囲を見回ったり警戒していてくれていたのだ。ソーアはそのことにとても深い恩義を感じていた。故にオミトの滞在費を払うことは当然だと思っていた。
「これからお忙しくなることでしょう。ですが、辺境伯となるからには、寝る間も惜しんで事に当たる必要がございます」
オミトはかつてショウが辺境伯となるべく、必死で努力していたことを脳裏に思い浮かべながら言った。
ショウは頭は悪くなかったが、それでも並み以上の努力無しに渡れるほど辺境伯となる道は緩やかなものではなかった。前当主のトウシが若くして病に倒れたこともあり、ショウの辺境伯としての領主教育は予定を前倒してかなり早いうちから始まった。
「それが、ショウも歩んだ道なのだな」
ソーアは、口元に笑みを浮かべていった。
オミトの考えていることがわかっているようだった。
「もう覚悟は決まった。きっとがっかりさせない結果を出してみせるさ。・・・出せると思う」
まだ少し弱気なところはあるが、それでも前向きなソーアのその発言を聞いてオミトは満足そうに頷いた。
「エーペレス様。どうかお体にはお気をつけて」
次にオミトはエーペレスの方を向いてそう言う。
「オミトこそ。また近いうちにそちらに行くわ。しばらくは、ソーアにいろいろ教えることがありそうだから私はここにいるけどね」
気が向いたらフラッとまたどこかに行く、そんなニュアンスを含んだ言い回し。エーペレスはどこか一つに留まるようなことを断言しない。気が向くままに彼女は動く。
それでもここマルセイユ領んことか、ソーアのことが気に入ったのか、彼女はここを動こうとしない。きっと当面はここにいるのだろう、とオミトは思った。エーペレスの顔を見るためには、また少しばかり長旅をせねばとオミトは苦笑いを浮かべる。
「じゃあ、またね。またそっちからも来てよね」
エーペレスが優しく微笑んだ。
その目は、心なしかここに来る前の彼女と違うなとちょっとだけオミトは感じた。
エーペレスが酔って自分に絡んできた一件・・・あれがきっかけだろうかと一瞬考えたが、馬鹿なことをとオミトはそれを頭から振り払った。
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