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話合い

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ソーアが自分の今後のことも頼むと泣きついたものの、エーペレスが今後どうするかは、結局彼女のそのときの気分次第ということになった。だが、何となくだがオミトはエーペレスがソーアに力を貸してやると、そんな予感がしていた。
とりあえずは今は今後続く辺境伯としての教育についての地獄のような日々を過ごさねばならないが、ソーアはその前にどうしてもやらねばならぬことがあった。バタバタしていたために先送りになってしまっていたが、そのやるべきことをやるためにソーアはある場所へ向かっていた。




ーーーーー




「随分待たせてしまったな」


ソーアが入ったのは、港町にある高級ホテル。海が見渡せるスイートルームに、ソーアが約束した人物はいた。


「別に」


特に気にした様子もなくそう言うのは、黒のドレスに身を包んだキアラ・ルーベルト。キアラはバルコニーから海を眺めていた。


「この町は居心地も良かったから、別に待つのは苦痛ではなかったわ」


手にはワイングラスを持っていて、それを口に運ぶ。



「ソーアもいかが?」


「・・・やめておく」


キアラの勧めにソーアは固辞する。酒で失敗して以来、もう飲まないと決めていた。だがこれからは辺境伯として生きることにした以上、最低限の付き合いは必要になるだろうから、そうも言っていられないだろうが。


「そちらはもう落ち着いたのかしら?」


「当面のところは話はまとまった。しばらくは落ち着くだろう」


「そう、案外早かったのね。ここは魚料理も美味しいし、景色も良いし、別に何泊してもよかったのだけど」


キアラはどこか少し残念そうにそう言った。その様子を見てソーアが訝しむ。
こんなことを言うような人間だっただろうか?と。ソーアが以前から知るキアラという人間は、もっとあらゆることに淡泊で、料理の感想など話を振られればするといった程度であった。例外的なのは舞台劇くらいだったか、とソーアは思い出す。


「命の恩人をあまり待たせるわけにはいかないからな。早く話をつけねばと思っていた」


ソーアの言い方は素っ気ない。どう見ても友人が地元に滞在しているときの態度ではなかった。ソーアの中では既にキアラは友人ですらないのだと、暗に示しているようなものだった
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