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ソーアの決心

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「私が辺境伯になるなど・・・私は・・・その、頭が良くないので・・・」


ソーアがフニフニと言い訳するが、シオンはしっかりと頷いて言った。


「そんなことはわかっている」


ガーン

シオンの言葉にソーアは少しショックを受けた。


「私が中継ぎで当面は取り仕切る。その間にソーアには領主教育を徹底的に叩き込む。成人までに間に合わせたいが、難しいところだ。明日からでも急ピッチで進めていかねばなるまい。それとソーアの補佐が出来る人間も同時進行で進めていかねば」


「その、お父様がそのまま辺境伯であり続けるわけには・・・」


「候補者が誰もいないのであれば、それも選択肢の一つだろう。だが、お前がいる。マルセイユの領主は女というのが暗黙の了解だし、お前は領民の支持も厚いし、適任だ」


「そんな・・・でも私の他に適した姉が・・・」


ソーアの上には他にも姉がいる。順当にいけばそちらにお鉢が回るはずだった。



「いや。むしろサーラを破ったお前でしか、今後の青の騎士団をまとめることはできん」


シオンの言葉にソーアは絶句した。
確かにこれまでの支配者たるサーラを破ったソーアが次期辺境伯になる方が反乱分子も出にくいだろう。逆に他の姉妹が後継をやるとなると、また以前のような腐敗の横行した組織になってしまう懸念があった。


「いい加減にしろソーア!お前は確かに少しばかり頭の足りないところがあるかもしれん。だが、それを補ってあまりある気合は持っているはずだろう?」


気合馬鹿って言われているみたいでソーアは再びショックを受ける。


「お前が権力を持つことは、愛しい人を迎えることが出来るチャンスが手に入るということなのだぞ。お前の本来の目的を忘れるな」


ソーアはハッとしてショウのことを思い出す。
自分がここまで頑張ってきた理由。国外追放されたショウを再び呼び戻すことが出来るだけの環境を整えるーーそう誓ってやってきたはずだった。


「そう・・・でした。そうでしたね」


自分に言い聞かすように、ソーアは呟いた。


「そうですね!ショウのためでもあります。私がお母様の跡を継ぎます」


ショウのためとなると渋っていたはずのソーアがあっさりと頷いたのを見て、シオンとシーラは少しだけ複雑な気持ちになった。
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