国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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答えの知っている質問

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「実を言うと、最初はサーラが私を殺そうしているということなど知りもしなかった」


とつとつと語るソーアを見て、ミルツは眉を顰める。


「私は多数の武装船に砲撃された。そのいずれの船も見たことのないものだった。だから、まさかその船の一つにサーラが乗っているだなんて思ってもみなかったんだ」


ソーアはそう言って、サーラの首のある木箱を見つめた。


「私の決死の反撃が、たまたま船上にいたサーラを射殺した。私が実際に彼女にいた船を確認したときには、もう既に絶命した後だったんだ。本当であれば、裁判にかけなければならなかったんだろうが・・・」


なるほど。事実はわからないが、ソーアは裁判にかけることなくサーラを殺したのは、あくまで不可抗力であると言いたいのだろうとミルツは察した。
裁判にかけることなく私刑を下したことに、責められまいとしてこう言っているのだろうと。


「遺体をどうこうする時間もなく、船は既に炎上していた。遺体を移す時間はなかったが、せめて首だけでもと思って持ってきたわけだ」


ミルツにはソーアの言うことの全てが本当かどうかはわからなかったが、特に証拠もない以上は突っ込むようなことはしなかった。
いや、ここでソーアの言い分に対し、ミルツが物言いをつけることなどどうしてできよう。


「ところでミルツは、どうしてサーラが私を襲うなどという暴挙に出たか、何か知っていないか?」


ギンと、探るような視線を向けられ、ミルツは言葉を失った。
ミルツはソーアがサーラに私刑を下したことに対して物言いをつけるどころか、サーラの行いに対して自分は関与していないということをソーアに対して明らかにしなければならない。
もしサーラと自分が関与していることがわかってしまったら、次に首を狩られることになるのは自分だーー

ミルツは震え、冷や汗を流し、ソーアの問いに対しどう答えれば良いかを考えていた。
ここで手を間違えれば自分の命はない。目の前の小娘によって、今自分は喉元に剣を突きつけられている状態なのだということを察していた。


「なぁ、ミルツは何か知っていないか?」


ミルツは唾をごくりを飲み込んだ。ソーアは恐らく全てを知っている。知っていながらにして、それでもあえてミルツに問うている。
そのことの意味を知っている以上、もはやミルツの答えは決まっていた。
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