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制裁

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ズシャリ


宙に浮くキアラを唖然として見ていたソーア達戦女神の面々は、無造作に放り投げられて母艦の甲板に転がったを見て更に開いた口が塞がらなかった。


「サーラ・・・」


甲板に転がったサーラを見落ろしながら、ソーアは呆然として呟く。


「・・・ソーアっ!」


サーラはソーアの顔を見て目を見開いた。


「その傷は・・・」


ふと、ソーアがサーラの傷に気付く。新人隊員に刺された傷口だった。一体何が起こったのかソーアには全く理解できない。


「何だか向こうの船ががあったみたい。詳しいことは知らないわ」


わけがわからなくて混乱するソーアにキアラがそう教える。
実際にはある程度事情を察することを新人隊員は口走っていたが、それを言ったところでソーアが更に混乱するだけだしキアラにはどうでも良いことなので黙っていた。いずれせよ刺した本人は今頃海の藻屑だ。


「この女が司令塔かなと思って連れてきたわ。後の事は貴方がやればいい」


「そうか。何にせよ、礼を言う」


ソーアはキアラに礼を言うと、つかつかとサーラの元に歩み寄る。サーラは「ひっ」と情けない声を上げて後ずさった。これまでソーアに対して見せていた威厳は微塵も今の彼女からは感じられない。


「よくもやってくれたなサーラ」


胸倉を掴み、サーラを力づくで引き起こすと、ソーアは思いっきり彼女の額に頭突きをかました。


「がっ」


頭に走る強烈な痛み、そして刺された傷のそれもあって、サーラは言葉を発することも出来ずにのたうち回る。


「しかも私を仕留めるのに軍を動員したな?貴重なマルセイユの戦力を使うなんて以ての外だ!」


倒れ込んでいるサーラを思いっきり蹴っ飛ばす。蹴っ飛ばして、更にぶん殴る。顔を何度もぶん殴る。
怪我人であろうと一切の容赦はない。痛めつけるように、苦痛に顔をくしゃくしゃに歪ませるサーラをとにかくソーアはどつき回した。何本か歯が折れたようで、いくつかそれが甲板の上に転がった。


「お前には地獄すら生ぬるい。覚悟しろ」


目が据わり、溢れんばかりの殺気の静かに静かに体に乗せて発散させようとしているソーアを見て、キアラはかつてのショウのことを思い出していた。
自分が罠にかけてしまった、あのときのショウを。


(こういうとき似るのね、ショウとソーアは)


キアラは少しだけ何とも言えない気持ちになった。
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