国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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ご挨拶代わり

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「変わったとアーヴィガからの手紙に書いてあったが、まさかこんなところから変わっているとは思わなかった」


キアラを服装をマジマジと見ながら、ソーアは溜め息交じりにそう言った。
「今そんな話をするんですか?」と戦女神の隊員達は心の中で皆同じことを考える。


「変わったところをいろいろ見せたくて先触れを何度か出させてもらったわ。けど、返事がないからいてもたってもいられなくなって、不躾だけど直接会いに来ることにしたの。けど詰所のほうへ行ってみたら留守にしているって聞いたから、海の方まで探しに来てみたのよ。何だか取り込み中だったけど、見つかって良かったわ」


さらりと言ってのけるキアラに対し、隊員達は「この人もこの人で何かずれているかも」と考えていた。


「・・・何はともあれ、助かった。礼を言う」


流れとしては滅茶苦茶だが、ここで唐突にソーアはキアラに対して頭を下げた。
ソーアにしてみれば憎き相手であるキアラだが、今、この場で確かにソーアの、そして彼女の仲間達の命が大勢助けられたのだ。このことに対して礼を言うだけの分別は持ち合わせていた。流れは滅茶苦茶だが。


「私のお話を聞いてくれるのかしら?」


「あぁ、ここでのことが済めば、いくらでも時間を作ろう」


ソーアの了承の言葉を聞いてキアラは口角を上げると、戦女神を包囲している武装船団の方へ視界を移した。


「あら・・・?」


キアラが何かに気付いて驚いた顔をする。ソーアも気付いた。
武装船がどれも慌てて引き返そうとしているのだ。
それだけソーアに反撃を受けていても、決して隙を見せなかった武装船団が、唐突のキアラの乱入により混乱していた。ソーアの魔法の矢も脅威ではあるが、キアラの魔法は攻撃範囲も攻撃回数も段違いだ。ソーアの矢が切れると踏んでいたからこそサーラの突撃命令もかろうじて聞けていたのに、キアラの登場により確実に自分達も海の藻屑となることを察すると、一目散に武装船団も撤退を開始したのである。


「あいつらっ!」


ソーアが矢をつがえようとするが、それをキアラが手で制した。


「今回は私が先触れもなく押しかけて来たのだから、挨拶代わりにここは私に任せて頂戴」


「キアラ・・・」


堂々と前に進み出るキアラを見て、ソーアは呟いた。


「随分雰囲気変わったんだな」


(え、そっち?)

戦女神の隊員達はまたも心の中でソーアに突っ込みかけた。
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