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死戦

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ドォォォン


トマホークで撃沈した武装船は最初にいた数の3分の2まで減っていた。
元の数が大きいので相手にしてみれば壊滅的被害のはずだが、それでもそんなことなど一向に気にしていないかのように武装船の攻撃は続く。
ファランクスで母艦を守っていた戦女神の隊員達も疲弊してきて、矢の連射の速度も下がってきた。そうでなくても矢の数も母艦に保管していたものが心細くなり、このまま武装船が変わらず攻撃を続けてくるのなら、防衛し切れるまでに矢が尽きるということに気付いてしまい、士気の低下も目立ち始める。

ソーアが射っているトマホークももう本数が心もとない。全ての船を沈めるだけの本数はストックしていなかった。バンカーバスターとて同様。いつかは矢が切れるので、敵の全滅など最初から不可能であることはわかっていた。
それでも一点に集中して船を撃沈し、包囲網に穴さえ空けてしまえばと戦っていたが、船を沈めても沈めてもその隙間を埋めるように武装船がソーア達の退路を塞いでくる。
かくなる上は決死の覚悟で突破するしか・・・と考えるが、それでもそうする隙もないほどに連携の取れた船団を前に戦女神の隊員達の顔に絶望の色が浮かび上がっていく。


「どこかでサーラが指揮を執っている・・・そんな気がする」


ソーアは意識してか知らずか、サーラのことを、とは呼ばなくなっていた。
一隻残らずしらみつぶしにサーラを探したいところだが、砲撃をしてくる武装船をとにかく沈めないといけないソーアにそんな余裕はない。


ドォォン


そうこうしているうちに敵の砲撃が至近に落ち、爆風で隊員数人が吹き飛ばされた。


「・・・!」


思わず怒りで我を忘れそうになるソーアだが、それでも必死に感情を抑え込み、淡々と矢をつがえ、そして放つ。


ドォォォン


トマホークが今しがた砲撃を終えた武装船を吹き飛ばした。
目視し切れているわけではないが、こうしてソーアがトマホークを放つたびに多くの人間が消し飛んでいる。実感はないが、ソーアがこれまでに経験したことのない規模での殺し合いだった。

戦女神の隊員達は決死の覚悟で踏ん張ってこそいたが、いよいよ限界に近づいていた。
隊員は元いた数より4人ほど減った。ソーアが殺している数に比べれば比較にならないほどの数だが、それでも元々二十数人しかいない戦女神では大きな損失だ。
その事実が戦女神の隊員達を恐慌状態に陥れようとしていた。


(限界か・・・)


ソーアの心に、諦めの気持ちが湧き始めた。
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