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執拗なキアラの手紙
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「またか・・・」
とある昼下がり。ソーアは自分宛に届いた手紙の差出人を見て、うんざりしたような溜め息をついた。
ルーベルト家の印が押してある綺麗な便箋には、キアラ・ルーベルトの名が記されている。
「ポイーで」
ソーアはそれを手に取って、何のためらいもなくゴミ箱に放り投げてしまう。ソーアはアーヴィガと違い、徹底してキアラと決別した態度を崩さないでいた。彼女はショウを裏切った敵。それ以外の何物でもなく、相容れるはおろか相手をする気すらソーアには無かった。
何度も送られてくるキアラからの手紙を、開封することもなくゴミ箱へ放り投げ、当然返事を書くこともない。そんな対応を続けているソーアだが、キアラからの手紙が途絶えることはなかった。
「こんなもので私の手を煩わせないで欲しいな」
はぁと溜め息をついて、ソーアは詰所の休憩所のソファにどっかりと腰を下ろした。
サーラと決別してから数十日。今はサーラが何か仕掛けて来ないか、いろいろと警戒しているところであり、余計なことにリソースを割いている余裕など無かった。まぁ平時であってもキアラの手紙をどうするかは変わらないであろうが、ソーアにとってこのタイミングで手紙を何度も送られるのは嫌がらせ以外の何物でもない。
淡泊なキアラがこれほどまでに執拗に返事の送られてこない手紙を送ってくることにアーヴィガなら疑問を抱いていろいろと考えるのだろうが、ソーアは一切合切興味もなく捨て置いていた。好意の対義語が無関心、というがまさにそれだ。
「ふぅ・・・」
休憩室に汗をぬぐいながらオミトがやってきた。
女の園であるソーア率いる戦女神の詰所に唯一出入りする男性である。オミトは今詰所周辺を見回っていたのであった。
「どうでしたか?」
「いや・・・」
ソーアの問いかけに対し、オミトは首を横に振る。
「特に何も異常はありませんな。不審な者もいないし、本当に拍子抜けするくらい何もない・・・平穏そのものです」
サーラとの決別以降、何か仕掛けてこないか詰所周辺を朝昼晩の一日中見回っていたが、そうしたソーア達を嘲笑うかのように特にサーラからのアクションは何も無かった。
「何もない・・・か。本当にサーラお姉様は何もいないつもりなのだろうか・・・」
自分で言って、そんなわけはないだろうなとソーアは考え直す。
きっと何か動き出してくるだろう。そういう確信があった。こうしてある意味サーラに翻弄されているソーアは、キアラのことなど微塵も考えてはいなかった。
だが、事態は大きく動き出すことになる。
とある昼下がり。ソーアは自分宛に届いた手紙の差出人を見て、うんざりしたような溜め息をついた。
ルーベルト家の印が押してある綺麗な便箋には、キアラ・ルーベルトの名が記されている。
「ポイーで」
ソーアはそれを手に取って、何のためらいもなくゴミ箱に放り投げてしまう。ソーアはアーヴィガと違い、徹底してキアラと決別した態度を崩さないでいた。彼女はショウを裏切った敵。それ以外の何物でもなく、相容れるはおろか相手をする気すらソーアには無かった。
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「こんなもので私の手を煩わせないで欲しいな」
はぁと溜め息をついて、ソーアは詰所の休憩所のソファにどっかりと腰を下ろした。
サーラと決別してから数十日。今はサーラが何か仕掛けて来ないか、いろいろと警戒しているところであり、余計なことにリソースを割いている余裕など無かった。まぁ平時であってもキアラの手紙をどうするかは変わらないであろうが、ソーアにとってこのタイミングで手紙を何度も送られるのは嫌がらせ以外の何物でもない。
淡泊なキアラがこれほどまでに執拗に返事の送られてこない手紙を送ってくることにアーヴィガなら疑問を抱いていろいろと考えるのだろうが、ソーアは一切合切興味もなく捨て置いていた。好意の対義語が無関心、というがまさにそれだ。
「ふぅ・・・」
休憩室に汗をぬぐいながらオミトがやってきた。
女の園であるソーア率いる戦女神の詰所に唯一出入りする男性である。オミトは今詰所周辺を見回っていたのであった。
「どうでしたか?」
「いや・・・」
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「特に何も異常はありませんな。不審な者もいないし、本当に拍子抜けするくらい何もない・・・平穏そのものです」
サーラとの決別以降、何か仕掛けてこないか詰所周辺を朝昼晩の一日中見回っていたが、そうしたソーア達を嘲笑うかのように特にサーラからのアクションは何も無かった。
「何もない・・・か。本当にサーラお姉様は何もいないつもりなのだろうか・・・」
自分で言って、そんなわけはないだろうなとソーアは考え直す。
きっと何か動き出してくるだろう。そういう確信があった。こうしてある意味サーラに翻弄されているソーアは、キアラのことなど微塵も考えてはいなかった。
だが、事態は大きく動き出すことになる。
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