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本気
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キアラのあまりの剣幕に、流石のラルスも一瞬動きが止まった。
キアラにすれば今の豹変したラルスは初めて見る姿に戸惑うだろうが、ラルスにしてみても今のキアラはこれまでに抱いていたイメージと大きく違い、衝撃を受けた。
何があっても動じず、感情を大きく出さない。
冷淡かつ不健全とさえ言えるほどのキアラのその慎ましさが、まるで御伽噺に出てくる氷の姫のようで美しいとラルスは思っていた。
だが、その氷も一瞬で解けて消えてしまいそうなほどの熱量を持って、キアラは今ラルスを拒絶している。
こんなキアラは自分の求めたキアラじゃない!ラルスはそのような身勝手な思いを抱いていたが、しかし瞬時に考え直す。
拒否するならそれはそれでいいではないか。後から自分の求める色に染めてしまうのも一興だ、などと普段なら考えもしないような悍ましい考えをするようになっていた。
情緒不安定のせいか、多分に性欲が溜まっているせいか、その両方が原因だろうか・・・ラルスは冷静ではなかった。
「いい加減にしませんと、死にますよ?」
底冷えしてゾッとするほどの、冷たい声でキアラが警告した。
落ち目とはいえ王太子であるラルスに対し不敬ではあるが、キアラはそう言ったことに対して気に留めている様子はない。
ラルスは背筋の凍るような思いをしたが、それでもキアラの手を離すことはなかった。
「やれるものなら、やってみなさい。貴方を手に入れるための障害なら甘んじて受けましょう」
お道化てそんなことを言ってのける余裕まであるようだ。ラルスも変なテンションになっていた。
キアラもラルスも冷静ではない、地獄絵図だった。ラルスが人払いをしておいたのは幸運だったのか、不幸だったのか果たして・・・
『・・・・・・』
「?」
突然キアラが俯き、黙りこくった。その様子を見てラルスは首を傾げる。
何をしているのか、すぐにはわからなかったが、やがて耳がほんの微かにキアラの口から漏れ出る音を聞き取ると、ラルスは漸くキアラが魔法の詠唱をしているのだと気付いた。
「はっ!本当にやるとは」
嘲るように言うラルスは、キアラに攻撃の意思があるのを確認しても手を離さない。
キアラはラルスに腕を掴まれたまま、ついに詠唱を終えた。
「ナパーム!」
躊躇うことなく、キアラは魔法を放った。
キアラにすれば今の豹変したラルスは初めて見る姿に戸惑うだろうが、ラルスにしてみても今のキアラはこれまでに抱いていたイメージと大きく違い、衝撃を受けた。
何があっても動じず、感情を大きく出さない。
冷淡かつ不健全とさえ言えるほどのキアラのその慎ましさが、まるで御伽噺に出てくる氷の姫のようで美しいとラルスは思っていた。
だが、その氷も一瞬で解けて消えてしまいそうなほどの熱量を持って、キアラは今ラルスを拒絶している。
こんなキアラは自分の求めたキアラじゃない!ラルスはそのような身勝手な思いを抱いていたが、しかし瞬時に考え直す。
拒否するならそれはそれでいいではないか。後から自分の求める色に染めてしまうのも一興だ、などと普段なら考えもしないような悍ましい考えをするようになっていた。
情緒不安定のせいか、多分に性欲が溜まっているせいか、その両方が原因だろうか・・・ラルスは冷静ではなかった。
「いい加減にしませんと、死にますよ?」
底冷えしてゾッとするほどの、冷たい声でキアラが警告した。
落ち目とはいえ王太子であるラルスに対し不敬ではあるが、キアラはそう言ったことに対して気に留めている様子はない。
ラルスは背筋の凍るような思いをしたが、それでもキアラの手を離すことはなかった。
「やれるものなら、やってみなさい。貴方を手に入れるための障害なら甘んじて受けましょう」
お道化てそんなことを言ってのける余裕まであるようだ。ラルスも変なテンションになっていた。
キアラもラルスも冷静ではない、地獄絵図だった。ラルスが人払いをしておいたのは幸運だったのか、不幸だったのか果たして・・・
『・・・・・・』
「?」
突然キアラが俯き、黙りこくった。その様子を見てラルスは首を傾げる。
何をしているのか、すぐにはわからなかったが、やがて耳がほんの微かにキアラの口から漏れ出る音を聞き取ると、ラルスは漸くキアラが魔法の詠唱をしているのだと気付いた。
「はっ!本当にやるとは」
嘲るように言うラルスは、キアラに攻撃の意思があるのを確認しても手を離さない。
キアラはラルスに腕を掴まれたまま、ついに詠唱を終えた。
「ナパーム!」
躊躇うことなく、キアラは魔法を放った。
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