国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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婚約者 ショウ・ルーデル

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「キアラ。ご挨拶なさい。この人がお前の将来の結婚相手となる人だ」


ある日、キアラは祖父であるルーベルト公へ外へ連れられた。父ダグラスには内緒だと言われ少しばかり疑問に思ったが、それでも特に異論を唱えずにキアラは黙ってついていった。
馬車に乗って行った先は貴族街にある一つの屋敷だったが、そこで一人の同じくらいの歳ごろの少年と引き合わされた。


「キアラ・ルーベルトです」


キアラはカーテシーをしながらそう自己紹介すると、対面にいた少年は笑いながら


「ショウ・ルーデルです。どうかよろしく」


と言った。




ーーーーー



「ショウ君はどうだった?キアラ」


ルーベルト公の問いに、キアラは少し悩んだ後


「まだよくわかりません。あの人が私の結婚相手なのですか?」


そう答える。



「そうだ。これはもう決まったことだ」


「そうですか」


自分の意思とは関係なく、有無を言わさず結婚相手を決められる。
貴族では別に変な話ではないし、キアラもそのように聞いていたから特に文句を言うこともなかった。むしろ・・・


「嫌な感じがしたか?」


一方的に婚約相手を決めておきながら、それでもルーベルト公は少しだけ心配そうにキアラに訊ねる。
だがキアラは無表情のまま答えた。


「いえ、そう言ったものはちっとも感じませんでした。ただ・・・」


「・・・ただ?」


「なんだか少しだけ、ほんの少しだけ母と雰囲気が似てました」


そう言ってキアラは、会ったばかりの少年ショウ・ルーデルの顔を思い出す。屈託のない笑顔で話をしてくれたショウ。
特に気の利いた返事が出来なかったけれど、それでも自然な笑顔でキアラに話しかけてきてくれた。
キアラはそんなショウにどこか亡き母の面影を感じていた。また見てみたい、そんな笑顔を向けてくれる人間。

キアラは特に多くは語らなかったが、ルーベルト公は彼女の反応を見て直感的に婚約者選びに間違いは無かったと確信した。


「そうか。これから何度も会うことになるから、ゆっくり時間をかけて彼のことを知っていきなさい」


「はい」


そう返事をしたキアラは、珍しく・・・それはもう非常に珍しく少しばかり声が弾んでいた。
感情の起伏が乏しく、人にあまり心を開かないキアラが、初対面のショウに心を開いた。ルーベルト公はそれがとても嬉しかった。
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