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ダグラス・ルーベルトという男
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ルーベルト公爵家はランドールで最も歴史の長い公爵家である。初代王の血筋を受け継ぐ唯一の公爵家だ。
通常ならば国内において強大な影響力を持ちそうなものであるが、実際のところはそうではなかった。それには理由がある。
ランドールでは大昔に一度クーデターによる政変が起き、当時の王家は皆処刑されている。初代王の血筋は王宮からは一掃され、新しい王が誕生した。今現在のランドールの王家は、その王の血筋だ。
本来ならば旧王家の血を持つルーベルトも一族郎党処刑される立ち位置なのだが、そうはならなかった。それはルーベルト家はクーデターに協力し、旧王家の打倒に貢献したからである。
ルーベルト家が協力したことの理由に、痴情のもつれがあったとかなかったとか言われているが、それは定かではない。
こうしてルーベルト家は、旧王家の血筋でありながらにして例外的に公爵家として存続することを許された。
間違いなくランドールの政変の勝利者であったはずのルーベルト家だが、それでもその後の風当たりは強かった。
保守派からは裏切り者扱いされ、革新派からもいつ裏切るともわからない信用に値しない者どもとして見られ、その後今の代に至るまでルーベルトは公爵家でありながら肩身の狭い思いをしてきた。
ダグラスは少年の時よりずっと考えていた。
いつかルーベルト家を発展させ、ランドール中の貴族達を見返してやるぞと。
だが先代ルーベルト公爵は特にそんな野心は抱いていなかった。ただ国のためにあろうと身を粉にしていた。
オマケに先代は騎士だったが、ダグラスはそれに倣わず魔法使いとしての道を進む。そんな正反対の先代とダグラスは反りが合わず、仲違いが続いていた。
ダグラスは父と、世間を見返してやるぞと魔法の勉強に心血を注いだ。だが、不幸なことに彼は魔法使いとしての素質は並のものでしかなかった。熱意と知識は並外れたものがあったが、しかし残念ながらダグラスの肉体は魔力との順応性に優れていなかったのである。順応性が低ければいかに術式を知ろうと、強力な魔法を使うことはできない。発動に必要な魔力を練れず、魔法は不発に終わる。
ダグラスは絶望することなく、それでも魔法の勉強に邁進し続けた。
自分に魔法使いとしての才能が無いのなら、魔法使いを育てる側として国に貢献し、成果を出せば良いのだと。
先代ルーベルト公はそんなダグラスを冷めた目で見ていた。ランドールは魔法強国だが、こと魔法学の研究や教育についての舵取りは別の公爵家とその派閥が取り仕切っている。ダグラスがいかに努力しようと、彼がその輪に加わることは出来ないだろう。凡人なれば尚更である。
だが、そんなダグラスにも転機が訪れる。
稀代の才女と呼ばれた魔法使いにして侯爵家令嬢のブレアとの縁談が決まったからである。
通常ならば国内において強大な影響力を持ちそうなものであるが、実際のところはそうではなかった。それには理由がある。
ランドールでは大昔に一度クーデターによる政変が起き、当時の王家は皆処刑されている。初代王の血筋は王宮からは一掃され、新しい王が誕生した。今現在のランドールの王家は、その王の血筋だ。
本来ならば旧王家の血を持つルーベルトも一族郎党処刑される立ち位置なのだが、そうはならなかった。それはルーベルト家はクーデターに協力し、旧王家の打倒に貢献したからである。
ルーベルト家が協力したことの理由に、痴情のもつれがあったとかなかったとか言われているが、それは定かではない。
こうしてルーベルト家は、旧王家の血筋でありながらにして例外的に公爵家として存続することを許された。
間違いなくランドールの政変の勝利者であったはずのルーベルト家だが、それでもその後の風当たりは強かった。
保守派からは裏切り者扱いされ、革新派からもいつ裏切るともわからない信用に値しない者どもとして見られ、その後今の代に至るまでルーベルトは公爵家でありながら肩身の狭い思いをしてきた。
ダグラスは少年の時よりずっと考えていた。
いつかルーベルト家を発展させ、ランドール中の貴族達を見返してやるぞと。
だが先代ルーベルト公爵は特にそんな野心は抱いていなかった。ただ国のためにあろうと身を粉にしていた。
オマケに先代は騎士だったが、ダグラスはそれに倣わず魔法使いとしての道を進む。そんな正反対の先代とダグラスは反りが合わず、仲違いが続いていた。
ダグラスは父と、世間を見返してやるぞと魔法の勉強に心血を注いだ。だが、不幸なことに彼は魔法使いとしての素質は並のものでしかなかった。熱意と知識は並外れたものがあったが、しかし残念ながらダグラスの肉体は魔力との順応性に優れていなかったのである。順応性が低ければいかに術式を知ろうと、強力な魔法を使うことはできない。発動に必要な魔力を練れず、魔法は不発に終わる。
ダグラスは絶望することなく、それでも魔法の勉強に邁進し続けた。
自分に魔法使いとしての才能が無いのなら、魔法使いを育てる側として国に貢献し、成果を出せば良いのだと。
先代ルーベルト公はそんなダグラスを冷めた目で見ていた。ランドールは魔法強国だが、こと魔法学の研究や教育についての舵取りは別の公爵家とその派閥が取り仕切っている。ダグラスがいかに努力しようと、彼がその輪に加わることは出来ないだろう。凡人なれば尚更である。
だが、そんなダグラスにも転機が訪れる。
稀代の才女と呼ばれた魔法使いにして侯爵家令嬢のブレアとの縁談が決まったからである。
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