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お見通し

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「おぉ、聞いていた通り読書が趣味なんだね」


部屋に入ったロクフェルは、本がぎっしりと詰まった本棚を見て感嘆の声を上げた。


「聞いていた通り?」


「そうだよ。ショウ・ルーデルは読書が趣味だとランドールではそう有名ではなかったかい?」


そういえばランドールにいた頃は、人気集めのために読書が趣味であると捏造されたこともあったなと思い出す。途中から本当に読書が好きになったわけだが、どうやらロクフェルは俺がランドールにいたときの情報を良く知っているらしい。


「俺のことを良く知ってるんだな」


「あぁ、良く知っている。君は有名人だし、それに僕も立場上知らねばならなかった」


「立場上?」


俺の疑問に対し、ロクフェルは特に何も答えることはなかった。
変わりにどっかりと椅子に座ると、ロクフェルは何やら含み笑いをし、試すような視線を俺に向けて聞いてくる。


「それよりも、だ。アミルカの浄化を目の当たりにしてどう思ったかい?」




「・・・」


何故そんなことを聞いてくるのか。
俺はロクフェルの心の内がわからなかったが、それでも思ったままを答えることにした。


「見ていられないくらいきつかったよ。まぁ見たけどな・・・」


何度も目を背けそうになった。だが見た。ローザがそうしろと言ったから。そうするべきだと思ったから。


「ロクフェルさん、あんた俺にあれを見せてどうしたかったんだい?」


今度は俺が質問を返す。
ロクフェルが強権を使ってまで元来部外者であるはずの俺に見せた浄化。
恐らくこれが知れればアルス教団での立場はまずいものになるはずだった。そんなリスクを背負ってまで、どうして俺にあれを見せたのだろう。それがずっと気になっていた。
ただ俺にあれを見せて、反応を知りたかった・・・そんな悪趣味のために多大なリスクを背負うような愚か者にはロクフェルは見えなかった。


「・・・君はどうしたいと思った?」


どうも今日のロクフェルは俺の質問に答えたがらない日なのだろうか。質問を質問で返してばかりだ。そろそろイライラしてきたぞ。


「アミルカをあんな風に苦しませたくないと、きっと君はそう思ったはずだ」


怒りの意を表してやろうかと思ったところに、ロクフェルがそんなことを言ってきて毒気を抜かれた。
何故なら図星であるからだ。だが、それはあんな局面に遭えば誰だって考えることのはずだと俺は思う。だが、ロクフェルが言いたいことは、どうやらそういうことではなかったらしい。


「今以上にアミルカの力になりたい。彼女を守りたいと思っただろう?何故なら、君はアミルカを愛しているからだ」


ロクフェルの言葉に思わず「げっ」と口から出そうになるのを、俺は必死に堪えた。
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