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異質な者

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俺達が配置に着いてしばらくすると、上空に魔法による信号弾が放たれた。
赤色の信号弾・・・突撃の合図だ。

瞬間、周囲のいたるところから雄叫びが聞こえ、遠距離ながらも聖騎士達が村に突入するのが見えた。
いよいよ始まったのだ。

俺達はというと、基本的には待機だ。聖騎士団が突っ込むのを見届け、彼らの包囲網をすり抜けて外へ出ようとする感染者を殲滅するのが俺達の仕事である。
前線ではなく後衛に回すのは当然の判断であると思うが、実際前衛に立たされたらまた死人の種の処置に慣れていない今の冒険者達では戦力よりもメンタルの面で問題が起きてしまうだろう。

特にザイル達の様子は、この後衛ですら務まりきるのか不安要素ですらあった。


「きっ、来たぞ!?」


誰かが声を上げる。
まだ聖騎士が突入したばかりで混戦気味なのか、すぐに村の方から一人の男が走ってきた。ざっと見はまだ人間のようだが、実際に近くに行かないと状態のほどはわからない。
俺は誰よりも早く走ってきた男の元に辿り着く。他の連中はまだどうしたらいいかわからなくて出方を伺っていたというのもあるが。


「たっ、助けてくれ!急に村が様子がおかしくなったと思っていたが、今になって騎士に襲われたんだ!!」


混乱のままに村に留まっていた村人だろう。聖騎士団が攻め入ったことでパニックになり、慌てて村の外に逃げ出したというところか。
ーーーと、パッと見は見受けられるが。


「 は れ ? 」


俺はドウダヌキを横に払い、男の首を切り落とした。
男は自分に何が起こっているのかすら理解できずにこと切れたことだろう。苦しまず、せめて楽に送ってやることが俺にできる慈悲だ。


「あ、アニキっ!今のは普通の村人なんじゃないすか!?」


慌てた形相のザイルが走ってやってきた。
後に他の冒険者の続く。


「パッと見はそうだがな。見ろ」


刎ねた首を手に取り、俺はその口内を指さした。
男の舌が紫で変色している。


「これはもう死人の種に憑かれてる。下で感染してるってことは多分位置的に近い脳を既に寄生されてるから、もしかしたら思考を乗っ取られてて俺達を油断させて襲撃しようと考えていた個体かもしれない」


ザイルは俺の言葉を聞いて絶句している。


「感染する箇所ってのは体中全てだが、普通に考えて服を着ている箇所以外のところだ。だからまずはそこを良く見ることだ。相手が口を開いているときはできるだけ口の中も見ておくことだな」


「口の中を見て・・・気付いて斬ったんすか・・・」


「そうだ。けどまぁ、今回みたいに生存者絶望とあったときは・・・片っ端から斬れば一番間違いはないな。健常者である可能性のほうが圧倒的に低い」


ザイルを始めとした、経験のない冒険者達が一斉に俺のことを異質な者を見るような目で見始めた。
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