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実は凄いアミルカ

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「ショウさん、アミルカさんがあの馬車に乗ってたって・・・」


唖然としていたクリフが呟く。俺は現段階で話していいことかはわからないので、今は適当に「なんだろうな」と言って濁した。まぁこの後すぐにわかることかもしれないが、あるいは浄化という作業は冒険者達には見せないつもりなのかもしれない。


「あの馬車はアルス教団の特別仕様車だぞ。VIPしか乗られないやつだ。あのお嬢さんはそれなりの立場だってことさ」


クリフが唸っていると、横から熟練の冒険者であるケニーが教えてくれた。


「あの馬車は素材が頑丈なだけでなく、聖魔法によって防壁が作られて力づくでは絶対に破ることが出来ないとされている装甲車だ。馬も立派なやつじゃないか?かなり速いぞあれは」


特別仕様車についていくらか明るいようで、ケニーは他にも細々と述べていき、それをクリフは熱心に聞いていた。
ランドールの王都で使っていたルーデルの特別仕様の馬車も、確かエーペレスさんに言われてそこそこ頑丈に作った気がする。襲撃を警戒して、というよりも、武闘派貴族の存在感をアピールするための宣伝車両だったが。
今アミルカが乗ってきたそれは、どうやら宣伝のためでも何でもなく本当に搭乗者を護るために作られたもののようだ。
護衛を伴って現れた段階で無論、わかってはいたのだが、それだけの特別車両に乗ってやってくるアミルカに対し、今更だが俺なんぞが及びもつかないような高位の人物であった事実を認識する。


「凄い・・・まさか、アミルカさんがあんなに凄い人だったなんて」


ドロシーは呆然と呟いた。
だが、彼女がそう感じたのはクリフ達とは違う観点からのようだ。


「あれだけの魔力を完璧に制御して、完全に隠しきれてた。今まで全く気配すら感じなかった。私なんか到底足元にも及ばない・・・」


魔力使いとしての技量でドロシーはアミルカに圧倒されたようだ。確かに溢れるだけの膨大な魔力は抑え込むのに相当な技量が必要で、無意識にそれをコントロールするには通常は魔力を得るのに必要なだけの倍の時間をかけて修練する必要があるという。まぁ、これを教えてくれたキアラは才能のせいかあまり修練しないうちに身についていたらしいが。

アミルカもキアラにはやや及ばないものの、強大な魔力を放っていた。だがそれをコントロールする力も持っているようだ。
とすれば、アミルカもまたキアラのように類稀なる才能の持ち主ということか。

俺はアミルカを普通の女の子としか思っていなかった。人の本質を見抜く目を持っているというのも正直眉唾なところがあった。
だが実際にはこれほど周囲を畏怖させるだけの力を持つ女だったとは、俺の盲目っぷりが情けなくて仕方がなかった。
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