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殲滅の覚悟

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「は?ちょっと待て・・・俺達に一般人を斬れってか?」

「お前は出来るのかよ!」



冒険者達にリーダーとして俺がこれからやることを伝えたとき、彼らの中にはそう言って食って掛かる者がいた。実際に口には出さないが、同じようなことを考えているだろう人間も大勢いた。ザイル達も終始神妙な顔をして聞いていたが、俺に何か意見することはなかった。


「俺はやるよ。やるしかねぇんだ。死人の種に憑りつかれだら、もう思考はアンデッドのそれを変わらないし、それを治すことは叶わない。だったらせめて楽にしてやるのが供養なんだ」


俺がそう言ったことに、納得したような表情を見せたのはそれほどいなかった。釈然としない顔をしている者がほとんどだ。


「ショウの言う通りだ。割り切るしかない。見た目は人間だが、中身は別物と考えたほうがいいんだよ。納得はしづらいかもしれないけど、これが現実なんだよ」


中にはこういったことも経験したことがある冒険者もいた。俺より早く極秘依頼をこなしていくうちに、今日のようなことがあったのだという。
彼らの援護があったからなのかはわからないが、それでもとりあえず今回出動した冒険者は全員が掃討作戦に参加することになった。極秘依頼の性質上、とりあえず強制参加にはなるんだが、それでも自分の意志で来てくれたことは助かった。




「アニキ・・・」


移動中、ザイルが低く小さな声で俺に話しかけてきた。


「死人の種に憑りつかれた人間と、そうでない人間の区別の仕方はあるんですか?」


絞り出すような声だった。
作戦には参加するが、それでも可能な限り救いたい人は救いたい。そう考えているんだろう。


「相手を拘束して全裸にして隅々まで体を調べるという方法になる。一カ所でも死人の種に憑りつかれている場所があれば、例え自我があったとしても殺すしかない。手遅れだ」



ザイルを含め、近くで聞いたいた冒険者が息を飲むのを感じた。
だが、彼らには悪いが俺は言わなければならないことがある。


「・・・きっと助かっている人もいるんです・・・よね?」


ドロシーが縋るような瞳で俺を見ながらそう聞いてくる。
まるで先回りしたかのような彼女からの質問に、これはどのみち言わなければならないことだとわかりつつも、俺は答える。



「・・・いるかもしれねぇが、いないかもしれねぇ。だが、今回は斥候の情報によると、生存者がいる確率は絶望的だそうだ」


現地で小さな希望を抱いたまま中途半端な心意気で挑まれたのではいけない。
最初から全てを殲滅するつもりで行ってもらわなくてはいけない。元はただの村の住民だった人間をだ。


ドロシーは泣きそうな顔になっていた。
ザイルも近くで聞いていた冒険者達も何とも言えないような悲痛な顔になっていた。


そして俺達はついに事故が起きた村へとたどり着いた。
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