国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ

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死人の種の処理

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「おかしいな・・・全然来ないじゃないか」


俺はいつものように冒険者達と死人の種の密輸業者と思われる隊商を待ち伏せていたが、そのターゲットがいつまで経っても姿を現さなくて首を傾げていた。
隊商の動きは把握されていて、予定通りなら既に休憩地である村を出て、今頃は俺達が待ち構えるこの渓谷に姿を現すはずだった。
断崖絶壁に囲まれ、迂回などできるはずもなく、それこそ引き返しでもしなければ遅かれ早かれどうあってもここに辿り着く、そういう地形になっているはずだった。それが既に5時間以上待っていても現れない。


「情報が間違っていたとか?」


クリフがそう言うが、隊商のルートやタイムテーブルを確認するのは極秘依頼の依頼人であるアルス教団・・・の諜報部だ。聖騎士団がオークヨークにやってきて俺らと活動をするようになってから、彼らの情報の精度は向上した。それからは情報が大きく間違えることなど無かったのだが。

だがそんなこんなでしばらく待ちぼうけを食らっていたら、慌ただしく土煙を上げて馬に乗った聖騎士がやってきた。どうやら聖騎士団の伝令兵のようだ。


「緊急事態です」


冒険者チームのリーダーである俺の元までやってきた伝令兵は、淡々と俺にロクフェルからの言伝を告げた。
俺はその内容に戦慄することになる。




ーーーーー




「まぁ、時としてこういうことはある」


冒険者の中でリーダーである俺だけが、聖騎士団が展開する野営地の指揮官用のテントに通されていた。
ロクフェルの声は少しばかり重苦しい感じがした。それが今の状況の深刻さを嫌でも感じさせられる。


俺が聞かされた事実、それは『密輸していた隊商が事故により、死人の種を村にばら蒔いてしまった』というものだった。
休憩地から出発するタイミングなのか、休憩している最中なのか、性格なことはわからない。
だが少なくとも、死人の種がばらまかれたことによって、村民も隊商も生存者は絶望的であるということ、そして村をただちにということ。それだけは明確になっていることであった。


「あぁ、くそ、マジか」


正直なところ、この仕事をやっていればいつかはこういったことにも出くわすのだろうと思っていた。だが、聖騎士団がやってきて、問題なく依頼をこなせるようになったことで、俺は感覚がマヒしていたのだろう。死人の種に関わる案件は、いつだって命がけで事故が起こりえるものであるということを忘れていたのかもしれない。


「黒の森では死人の種を放出する魔物がいると聞く。ならば手慣れているだろう?ショウ・ルーデル。悪いが、付き合ってもらうぞ」


非道とも言える死人の種の処理に、俺は久しぶりに取り掛かることになりそうだった。
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